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【映画『HOKUSAI』感想文】絵のような映画だった

映画『HOKUSAI』を見てきました!
……ので、自分の中で浮かんだ想いをまとめようかな、と思って感想文を書いてみました。
ちょっとだけネタバレ含む(映画公開中なので、ストーリーに関わる大きなネタバレはしないようにしたいですが)感想なので、ご注意を。

【映画 あらすじ】
豪華絢爛な町人文化に彩られた江戸の町の片隅で芽の出ない1人の絵師がいた。勝川春朗、のちの葛飾北斎がその貧乏絵師である。絵師になったはいいが、あまりの傍若無人ぶりに師匠である勝川春章から破門を命じられる始末。ついには1日の飯すらろくに食べられない貧乏生活を送る羽目に。ところが「捨てる神あれば拾う神あり」とはよく言ったもので、この貧乏絵師に才能を見出した人物がいたのだ。喜多川歌麿や東洲斎写楽を世に送り出した希代の版元である蔦屋重三郎が北斎の隠れた才能を引っ張り出したのだ。蔦屋重三郎によって本能が開花した北斎は次々と革新的な画を世に送り出し、たちまち江戸の人気者にのし上がる。しかし、そのことが江戸幕府の反感を大いに買うことになってしまう。
(Wikipedia 引用)

感想

最初にこの作品に興味を持ったのは、YouTubeで流れてきた予告動画を見たときでした。


とてもインパクトがあって、壮大で面白そうな作品だなぁ、と思って興味を惹かれた。
あと蔦屋重三郎が実はちょっとばかし好きだったりするので、「おあ。蔦屋重三郎いる。阿部寛やんけ」って感じで興味を持った感じでした笑

なので『北斎』に関する予備知識は、学生時代に歴史の授業で学んだ程度の知識のみを持って映画に臨んできました。

映画の構成そのものは、北斎の少年期から晩年期(メインは青年期から晩年期って感じでした)までを全四章にわけて、2時間9分ほどでその生涯を描ききられた形になっていました。

大型スクリーンを通して「壱の章」「弐の章」という風に章が字幕で出てくるのは凄い不思議な光景で、こういう見せ方もあるのか、と思いました。
映画って言ったら、やっぱり最初から最後まで、全部勢いでババババーンッ!って感じに流れが繋がってできてる、というイメージがあったので。
でも章わけをされている事で、北斎の約90年分の長い人生が綺麗にわかりやすく、北斎を知らない人間でも「この章は、北斎の人生において起きた、こういう大きな出来事を重点的に描きだしてくれているのか」と簡単に理解することができました。

さて、作品全体を見て1番印象に残った、思ったことは「思ったよりセリフが少ないな」というものでした。

作品全体を通して、セリフが少ない。北斎が1人で旅をするシーンが多い、というのもその理由なのかもしれしませんが、登場人物が2人以上いるシーンでも、セリフが全体的に少なかった。

セリフ以上に登場人物の動作や目での訴え、といった表現で対話をするシーンが多かった印象があります。登場人物達の心の機微を、演者達の演技から理解するというのは映像ものとしては当たり前のことだとは思いますが、この作品は、それが非常に濃く行われていたように思います。

映画を見終わった後に、近くの書店で売ってた映画のシナリオブックを買った(買っちゃった☆)ので、この感想を書く前に読んだのですが、やっぱり三点リーダーが多かったり、目や動作を用いて行う演出が多く書かれていたりで、やっぱりこの作品はそういう「言葉(セリフ)」以外に重きを置いていたのかもしれない、と改めて思いました。

まさに「絵」のような映画でした。

言葉はないのに、何かこちらの心を掴み揺さぶる、感情に訴えてくるものがある不思議な芸術「絵」。
それに生涯を賭けた絵師の生き様を映画という「絵」で描き出した。――そんな事を、こうやって感想を書き出してみて思い至ってみたり。

以上。映画『HOKUSAI』の感想でした。
ネタバレしないで(?)書けたぞ~。


P.S 非常に個人的な感想

映画内には江戸を代表する浮世絵師の1人、「喜多川歌麿」も出てきます。

この歌麿がめちゃくちゃエロい

喋り方がとか、手の動かし方がとか、そういうわかりやすいのじゃないんですよ。
むしろ喋り方とかは普通。この作品の時代・世界観にあった喋り方になっています。

そうじゃない。雰囲気がエロい。色気がやばい。

美しい女の絵を描き続けた歌麿は、劇中で若き頃の北斎が描いた絵を見た感想として「お前の描く女には色気がねぇ」と言うんですけど、「色気があるのはお前自体じゃ」って思いました。

眼力、細かい動作、セリフ1つ1つの力強さ、全部エロい。空気がエロい。その場にいるだけでエロい。エロスが服着て絵を描いてる。
お前が優勝、お前が1等賞。

なお演じたのは、俳優・歌手の玉木宏さんです。
私自身があまり俳優・女優に詳しくないので、ウィキペディア先生のお力を借りて、どんな方なのか調べてみたら「極道役が似合う俳優ランキング」で1位を取ったとか。

今思い返せば確かに、歌麿のあのエロスは「ただ者じゃない」って人に思わせるタイプの色気だったなぁ。
そうか「極道役が似合う」か、そうかなるほどなぁ~。

以上。


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勝哉道花|創作家(小説)
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