読書回 (読書会の変換ミスではない)
最近読む本の舞台は京都が多い。
京都駅へ行っても乗り換えだけ。
私は改札を通り、観光したり、宿泊したことは過去に一度しかない。
今年は京都方面へ行くこともないだろう。
京都には長い歴史があり、歴史は奥深くて好きだ。
だからといって元々歴史(特に日本史)は好きでもないし、京都の地理に詳しい訳でもない。どこが好きなのか、はっきりしない。
強いて言うなら、良く知らない京都を小説で観光するのが好きだと思う。
最近は、
『京都なぞとき四季報』 円居 挽 著
を読んだので紹介します。
「謎解き青春ミステリー」
京大生の主人公の周りでミステリーが起きる。
京大キャンパス内をさまよう謎のバー「三号館」のカクテルを飲むと、謎が解けるという不思議な連作短編。
カクテルの名前が短編のタイトルで、そのレシピも書かれている。これも参考になるかも。
主人公の名前は遠近倫人。遠近は京大の一回生。
賀茂川乱歩というサークルに入っている。
そこで出会った青河幸という同級生に心惹かれる。
なかなか進展しない恋愛を全体の時間軸にした短編である。
三号館の女主人の蒼馬美希も謎めいており、気になる人物。
美希はカクテルについて造詣が深く、ホームズのような鋭い観察眼で遠近の推理を導く。遠近は美希に憧れのような恋ごころを抱く。
カクテルのお代は謎で支払うというのも面白い。謎の持ち合わせがない時は三号館はなぜ見つからないのだろうか?
美希の正体と、三号館も謎のままで話が進む。
個性豊かな登場人物が、京都の風物や大学生活を織り込んだ謎を生みだす。その設定も面白い。
最初は謎が好きな青河の気を引くために、謎解きに夢中になる遠近であるが、次第に謎解きの中であることに気づいていく。
短編の一話完結でちょっと読むにはちょうど良い(酔い)サイズ。それでいて心に響くものがありました。
よろしければ、どうぞ。
京都なぞとき四季報 町を歩いて不思議なバーへ(2017年12月 角川文庫 ISBN 978-4-04-106136-7)
京都なぞとき四季報 古書と誤解と銀河鉄道(2018年8月 角川文庫 ISBN 978-4-04-106997-4)