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斎藤葵神戸大学志望校説

 葵ちゃん!受験勉強で忙しいだろうけれど、こういう本の著者なので、ちょっと時間をもらえるかな?損はさせないよ。

『【受験小説】併願早稲田2020(2021年版)』(Kindle)http://www.amazon.co.jp/dp/B09NM9V1PF


「私の志望校は、あすかの滑り止め」

 あすかは、志望校と滑り止めを設定しているのだね。私見では、「母親に文句を言われない大学」かな。あと、田中あすかの本棚には『法学入門』というテキストがうつりこんでいるので、「六法全書」はアンティークだとしても(←暴言w)、おそらく法学部志望。大阪大学法学部を第一志望にしても、母親に文句を言われないという意味で、ユーフォニアム演奏のために合理的だと思う(←大阪大学法学部の皆さん、すんません。筆者は阪大法学部OBです)。

 退部をした後は、数学の授業を受けていた葵ちゃん。京都大学の併願先として同志社大学が選ばれるのは知っているけれど、京都大学受験生は二次試験・数学で合格を決めようとする一発屋が一定数いると思われるので、同志社大学・文系学部を数学選択で受験するのは、かなり危険。

 筆者が注目しているのは、「あすかの『志望校』は、母親の価値観に従って設定されている可能性がある」ということ。筆者(1980生)は、あすかの母親より少し下の生まれ。当時の大阪では、「京阪神(けいはんしん)=京都大学・大阪大学・神戸大学」が大学の序列として存在していた。全国的なレベルでは、「難関十国立大学」として、東京・京都・北海道・東北・名古屋・大阪・九州の旧七帝国大学に加えて東京工業・一橋・神戸が数えられていた。

 志望校を親の価値観に沿って考えると、

「医学部は別として、東大・京大以外は認めてもらえない」

という超進学校の卒業生(浪人生時代の級友)がつぶやいていた(1998年)という世界があることも、筆者は知っている。北宇治高校は、そこまではいかないと思われるので、「大阪大学を志望校に設定しても親に『反対されない』」と推察される。

 筆者が言うのもアレだけど、偏差値とかランキングとか、つまらない。あすかは、退部騒動の中で小笠原晴香部長と中世古香織先輩に

「部活なんだから」

と投げやり口調で放っているけれど、

「受験勉強なんだから」

と投げやり口調に言ってやればいい。オープンキャンパスなどで大学は高校生へのPRを一生懸命やっているけれど、親の世代の価値観にしばられて、「志望校」も親の時代の偏差値序列である程度において形成されていくのは、田中あすかや葵ちゃんの学年(2016年受験)でもそうは変わっていないと思う。・・・・・・マジメに書いておくと、2021年1月にセンター試験を廃して新時代の共通テスト(記述式導入や、英語での民間資格導入)を想定していた学年以降、特に首都圏では学年で学力の質の変化があるという話はさておくとして。

 筆者の母校(大阪明星学園、めいせい。男子校)は神戸大学を第一志望とする同級生が多かったのだけれど、オープンキャンパスで神戸大学の施設と標高を仰ぎ見て、志望校を大阪市立大学に変更した友達が複数いた。彼らが見ていたのは、偏差値や世間的な評価ではなく、新しくて立派で清潔なキャンパス。でも、神戸大学合格者の喜びは爆発的だった。

 本稿を発表する2021年12月25日には、「大阪公立大学」が不確定要因になっているけれど、田中あすかの母親が、娘の「志望校」と「滑り止め」を設定するとすれば、それぞれ大阪大学と神戸大学になると思う。

田中あすかの母親が、「成績が下がった」と言って教頭先生と滝先生に怒鳴り込むけれど、合格基準の総得点のうちセンター試験の配点が相対的に大きな大阪大学・神戸大学では、二次試験対策と併行しながらの受験勉強スケジュールで臨まないといけないので、成績が上がったり下がったり、ある時に突然に上がったり(たとえば全国模試30位以内や偏差値80を出したり)するのは、よくある話。

 執筆した筆者自身が驚いているのだけれど、「田中あすか 志望校」で検索すると、筆者の書いたnoteがグーグルで1位になる(2021年11月25日アクセス)。アニメ『響け!ユーフォニアム』『響け!ユーフォニアム2』ではあれだけ「受験勉強」が物語の展開、特に斎藤葵の意思決定に影響を与えているのだから、「田中あすかの志望校は京都大学で、田中あすかの滑り止めを志望校としている斎藤葵の志望校は原作者・武田綾乃先生の母校の同志社大学」という思い込みではなく、「田中あすか・大阪大学志望校説」「斎藤葵・神戸大学志望校説」に反論してほしい、かな。

 怒っている?、と行間から感じている人に向けて言いたいこと。
 本音を言うとね、ガッカリかな。
 もっと、#anime_eupho を鑑賞しようぜ。
 退部した後の葵ちゃんの授業、数学だよね?
 志望校として同じ平面上で葵ちゃんがあすかを意識しているということは、文系・理系なのかは同じだと思うし、黄前久美子が田中あすかの自宅を訪問した時の田中あすかの本棚には数学IIIのテキストがないことから推察して、文系だろう。もっといえば、法学部。

日本史の標準的そうな装丁の問題集をクリアしたところで、京都大学日本史には太刀打ちできない。レベル的にはクリア可能だけれども、いくつかの知識を組み合わせないと正答できない、つまり、まぐれでは正答に到達できない出題法が京大日本史ではされている。

田中あすかがユーフォニアムを吹くために(成績を理由とした、母親からの介入を阻むために)必死で努力をしているけれども、英語では英文解釈にとどまっていて、英作文までは手が回っていないこと。こういうことを考えたら、「田中あすかは京都大学を志望校とはしていない」ということを導くことが可能だと思うけれど、どうだろう。少なくとも、京都大学英語には太刀打ちできない。

以上は、関西圏外ならば、この展開は簡単に覆るのだけれど、
舞台は、北宇治高校吹奏楽部。つまりは、京都大学が「地元」という設定。

田中あすかは、退部届を田中あすかに書かせた上で、職員室に怒鳴り込んでいる。そこまでやるのだったら、「田中あすかの滑り止め」は、たとえば、京都府立大学や大阪市立大学では済まないのではないだろうか。

なぜ、同志社大学ではないのか。田中あすかの部屋にびっしりと配置されたセンター試験対策問題集。推薦方式ではなく一般方式で、センター試験で同志社大学合格を狙うのだったら、国立大の二次試験失敗組が大挙して押し寄せるだろうから、科目をしぼって(ついでにガチ難度で数学の配点が高く、4題超完答の一発逆転狙いの京大受験生が選択するであろう、同志社大学の数学を回避して)、というくらいの受験指導は受けているだろう。

というわけで、「田中あすかの滑り止め」は、センター試験対策が十分に功を奏することができ、母親からの介入を阻止できる、神戸大学。「私の志望校は、あすかの滑り止め」。葵ちゃんが受験に専念するために吹部を退部する決断までしたのだから、神戸大学から夜景を見下ろして、リア充を満喫してほしい。快晴の冬空は空気が澄んでいるし、大吉山と違って眼下に神戸の海があるぞ。

受験勉強は、一生懸命に取り組むだけの価値がある。
でも、「受験」というものに闇落ちした人をみるのは、受験業界の筆者としては、悲しい。

葵ちゃん。
今は、受験勉強を頑張って。
大学入学後は、偏差値とか序列とかつまらんこと抜かしている人々をサラりと流して、写真のように、誰にもしばられずに、自分だけの人生を切り開いて!
たとえば、想定した法学部。判例百選で勉強していても、筆者(1999入学、2003卒業)の卒業後に出た判例も多数収録されている。法学部で学んだ過程を活かしながら、卒業後15年後くらいに「判例百選」を買ってみると、専門としていない分野のアップデートは必要だなと、おじさん・おばさんになっても勉強は必要だな、楽しいな、と思うことができる。

「法学部」は、法律だけを勉強するところではない。
筆者の場合、政治学を学びたくて法学部を選んだ。
飛行機に乗るのが怖いのに「国際政治学」を選んだ。
高校生当時としては大きな決断(吹奏楽部退部)をしてまで受験勉強したことが役に立たない、なんてことはゼッタイにないから、俺氏みたいな人生なら。

葵ちゃんなら、神戸大学に合格できる。

試験会場にたどりつくまでの標高を知って

「これから4年間通学するのか・・・・・・」
「私、関西学院大学、合格しているんだよね・・・・・・」

数学の試験時間中に、場合分けの面倒な出題や、三次元のベクトルが出題された受験生は、ふと、「人生」について考えて、試験時間を空費する。

葵ちゃんは、そこで彼ら彼女らを追い抜けばよい。
キミならできる!高校受験のリベンジ、大学入学後に解き放て!

 ロシア情報機関員とやりとりをする人生もあれば、

 神奈川県警をバトルにする人生もあれば、


我が身の境遇を笑い飛ばす受験小説も書けるようになるさ!


【受験小説】併願早稲田2020(2021年版)
 

http://www.amazon.co.jp/dp/B09NM9V1PF


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