認知行動療法、認知療法、行動療法 公認心理士試験過去問解説

認知行動療法

認知行動療法(Cognitive behavioral therapy:CBT)は、従来の行動に焦点をあてた行動療法から、アルバート・エリスの論理療法や、アーロン・ベックの認知療法の登場によって、思考など認知に焦点をあてることで発展してきた心理療法の技法の総称である。


認知行動療法成立の歴史的経緯

1950年代以降、第一世代(行動療法)
行動療法が科学的な臨床心理学の確立を目指して生まれた。H.J.Eysenck(アイゼンク,人格心理学,アイゼンク性格検査)は精神分析に反対する立場から行動療法を提唱、体系化した。
行動療法には、古典的条件付けによる系統的脱感作法(リラックス後,緊張場面を想像)、主張訓練(主張の練習)、モデリング(セラピストが手本を示すことも)などがある。

1960年代 第二世代(認知療法)
認知療法(cognitive therapy)とは、非合理的信念を変容させる方法である。人が成長するにつれ固定的なスキーマが形成され、それに基づいて歪んだ思考方法や考えが自然に浮かぶ自動思考が起こっており、そうした認知の歪みに焦点を当てて、認知を修正することで症状が改善されるとされる心理療法である。1960年代にA.T.Beck(アーロン・ベック)が提唱した。尚、彼の娘彼の娘、J.S.Beck(ジュディス・ベック)は認知療法の研究者でベック認知行動療法研究所の所長。

1955年、
論理療法(ろんりりょうほう、英語: rational therapy)とは、A.Ellis(エリス)が1955年に提唱した。
出来事(A)、ビリーフ(Belief、信念)、結果(C)のビリーフ(B)のうち、非合理的なイラショナル・ビリーフを論駁する。
1990年代より名称が変わり、Rational emotive behavior therapy ; REBTとなり、論理情動行動療法や理性感情行動療法と訳されている。

1967年にU.Neisser(ナイサー)が『認知心理学』という著作を公開し、新分野に名称を与え形作り、認知心理学が行動主義を引き継いでいった。この成果を取り入れ、

1990年代頃より、認知行動療法の概念が登場し、現在では、上記の療法はここに分類される。
認知行動療法の中で、行動療法の側面の強いのは、曝露反応妨害法(強迫性障害向け)や、「トラウマに焦点化した認知行動療法」に含まれる持続エクスポージャー療法(心的外傷後ストレス障害(PTSD)向け)である。

第三世代の認知行動療法としてマインドフルネスなどが注目されている。


うつ病患者への治療としての認知行動療法

認知行動療法は鬱病と不安症に対する有効性が科学的手法によって確認されている。日本うつ病学会治療ガイドラインによると、体系化された心理療法のうち、保険適用でかつ有効性が認められている物は認知療法・認知行動療法であると示されている。
認知行動療法はうつ病治療のための心理療法の中で、最も標準的な選択である。自己や環境、将来に対するネガティブな自動思考を断ち切ることで気分の軽快を目指すため、自己の客観視が必要で、重症患者には向かないが、軽症・中等症の患者には効果が高い。また、プロセスが構造的なので短期的な効果も見込める。


認知行動療法の主な理論と技法

機能分析(functional analysis)とは、問題(標的)行動の維持要因と、行動が環境にもたらす効果を明らかにする。
三項随伴性 three-term contingency を前提に、問題行動(標的行動)の維持要因を、行動の連鎖にそって明確化する
A どんな状況で起こるのか:
弁別刺激 Antecedent・確立操作 Establishing operation、条件刺激
B どんな行動か:
標的(ターゲット)行動 Behavior
C 直後(60秒以内)にどのような結果が起こっているか:
結果 Consequence、長期的結果 Delayed outcome


ソクラテス式問答とは、患者自身が真実を発見する(Guided Discovery)ような質問。今日、どんな良いことがあった?のように、Yes,Noで答えられるクローズな質問とオープンな質問の中間の質問特定の方向性を質問者が決め、その方向性に沿って話し手が自由に答えるといったもの。
より具体的には、次の項目を呼び覚ます質問がある
1. 変化の必要性:現状が望ましくない客観的理由について検討してもらうための質問。
2. 懸念の感情 :現状が悪くないことの主観的理由や懸念について検討してもらうための質問。
3. 変化の願望 :行動変容の希望を増加させるための質問。
4. 変化の自信 :自己効力感(自分はやれるという気持ち)に焦点を当てる質問。


D.Meichenbaum(マイケンバウム)の自己教示法とストレス免疫訓練
自己教示法(自己教示訓練法)とは、1971年に創始されたD.Meichenbaum(マイケンバウム)による理論。言葉による行動調節機能を用い、クライエントが自分自身に適切な教示を与えることによって治療効果を引き出す。
修正したい自分の行動上の問題や、認知・感情を、自分に言い聞かせる。

ストレス免疫訓練(stress inoculation training)は、まず、狭義には1985年に創始されたD.H.Meichenbaum(マイケンバウム)による治療パッケージ。ストレス・モデルの教授 = 学習に始まり(教育の段階)、リラクセーション法や社会的スキルの獲得といった行動的対処、および否定的な自己陳述の修正といった認知的対処の方策を治療セッションのなかで獲得し(リハーサルの段階)、それらを実生活のなかで実践することができるための援助を行う(適用訓練の段階)という多段階のプログラムが構成されている。

また、広義には、ストレスに対する適切な対処(コーピング)行動を身につけるとともに、ストレスに関連する諸問題を予防するための行動を学習し、健康な生活習慣を獲得することをねらった指導プログラム。自律訓練法や筋弛緩法、呼吸法等を用いたリラクセーション・トレーニング(弛緩訓練)による心身の機能調整、ストレス刺激の脅威性や対処可能性の評価の修正、個人に応じた対処行動の積極的獲得、新しい問題解決法や社会的スキルの習得、刺激統制(スティミュラス・コントロール)と環境調整といった多面的な指導。


G.H.Bower(バウワー)の感情ネットワークモデル

ネットワークモデル
人間の膨大な情報・記憶が、ネットワークになっているとする。個々の情報であるノード同士を結びつける要素をリンクとする。
あるノードが呼び出されたとき、そのノードとリンクが形成されているノードは記憶の中で取り出されやすい状態になり、ノードが取り出された状態や取り出されやすい状態は知識の活性化と呼ばれる。特定の知識や概念が活性化しやすいことは、接近可能性(アクセシビリティ,アクセス可能性)が高いという。

自宅にいるときと学校や会社にいるときとでは、活性化する自己概念(作動自己概念)が異なることも、プライミングや接近可能性という概念を用いることで説明できる。

プライミング効果
プライミング効果とは、先行する刺激(プライマー)の処理によって、後続刺激(ターゲット)の処理が促進または抑制される効果と定義される。サブリミナル効果的な閾下提示でも有効である。
 直接(反復)プライミング は、学習時に提示した単語と同じ単語の一部の文字を空白に置き換えた単語完成テストなど、プライムとターゲットが同じ場合に見出される効果。プライマー「ライオン」で、ターゲットが「ラ□□ン」の提示など。
 間接プライミング は、これに対してプライムとターゲットが異なる場合に示される効果である。「「ライオン」と「トラ」の提示など。


感情ネットワークモデル
G.H.Bower(バウワー)はネットワークモデルの中に感情をノードとして組み込んだ感情ネットワークモデルを提示した。喜びや怒り、悲しみなどの感情はそれに伴う自律的反応や表出行動、その感情を引き起こすできごとなどの知識とリンクしており、ある感情が生起するとその感情とリンクする行動や知識が活性化される。喜びと怒りなどの相反する感情は抑制的なリンクが想定されており、喜びの感情が活性化されると怒りの感情とリンクしている知識は抑制される。

暴露療法(Exposure therapy,エクスポージャー法)
不安障害,パニック障害,広場恐怖症に用いられる。患者が恐怖を抱いている物や状況に対して、危険を伴うことなく直面させる。
バス内で動悸と息苦しさに見舞われ、バスに乗れなくなってしまった第1回問60の問題では、広場恐怖症(バス内や広場で動悸が起こるとすぐ助けてもらえないからまずいと思う)や不安症が予測される。

反応妨害
強迫行為や儀式行為を行わせない。


暴露反応妨害法(ERP; Exposure and Response Prevention)
ERP(暴露反応妨害法)は、暴露法と反応妨害方を組み合わせた技法。レスポンデント反応とオペランと反応の両面から不適応反応の除去を目指す。

洗浄脅迫(またこれらの典型的な強迫症)の場合、ERPが基本。
具体的には、不潔だと感じる物に意図的に触れさせ、手洗い行動をしないように指示し、時間の経過とともに不安が弱まっていくことを確認させる。
1.様々な物を条件刺激とし、不潔という不快感情が条件反応(レスポンデント(古典的)条件づけ:R)として生じる。
2.その不快を消すことを目的とした洗浄行為が強化される(オペラント条件づけ:O)。
これらの削除を目指す。
3.不快感情を発生させる刺激で暴露法を行う(Rの消去)、同時に、
4.触れたその手の洗浄行為をしないことを経験させる(オペラント条件付け)手続き。
これを繰り返し、モノに触れる不快感と洗浄という脅迫行為の両者が除去される。実際には薬物療法や認知療法も併用したりする。

1.レスポンデント(古典的)条件付け 成立済: 条件刺激[様々な物に触れる] → 不潔感情[条件反応]
2.オペラント条件付け 成立済: 不快を消すことを目的とした手の洗浄行為
3.1の削除:不快感情を発生させる刺激(汚いものに触っても大丈夫なことを経験する)
4.2の削除:触れたその手を洗浄行為をさせない反応妨害法を行う。

2については下記の流れなので負の強化と言える
手を洗ったら  汚い手がキレイになったので 手を洗うようになった
オペラント行動 嫌子  消失(負) 増加=強化

4についてはオペラント条件付けとされているが、考察すると次のように、混乱する。正の罰?
手を洗わなかったら 大丈夫だったので 手を洗わなくなった
オペラント行動   好子出現(正)?   減少=罰? 増加=強化?

認知行動療法の関連用語

セルフモニタリングとは、自分の認知・行動・感情(行動、思考、感情)を自分で観察したり、記録したりすることをいう。

トークンエコノミー法とは、適応的行動(望ましい行動)を示した場合にトークン(代用貨幣,報酬と交換可)を与える方法であり、オペラント条件付けの原理が用いられている。

モデリングとは、他者(モデル)が適応的行動を起こして報酬を得る場面(代理強化)を観察することにより、本人が実際に経験しなくても新しい行動様式(適応的行動)を学習すること。

実験行動(Behavioural Experiments)とは、非機能的な認知に気づいてもらうため、不安や恐怖を感じている行動を実際に体験してもらい、その認知の妥当性を検証する作業である。

系統的脱感作法とは、不安階層表を作成し、リラックスした状態で不安が一番低いものから順番に不安対象に暴露させる。
J.Wolpe(ウォルピ)にによって提唱された古典的条件付け(respondent conditioning)に基づく技法で、特定の刺激に対して恐怖反応が発生する場合、恐怖反応と拮抗する弛緩(しかん)反応を引き起こす刺激を対提示することにより、逆制止の原理によって恐怖の反応を打ち消すことを目指す。
恐怖の場面をイメージして徐々に慣らすなど。
行動療法の古典といえ、認知療法ではない。

ホームワークは、認知行動療法で重要な技法の一種と広く認識されている。

リラクセーションは、認知行動療法でも重要な技法である。


認知行動療法には直接関連しない用語

学習性無力感は、1967年Martin E. P. Seligman(セグリマン)による。抵抗することも回避することも困難なストレスに長期間さらされ続けると、そうした不快な状況下から逃れようとする自発的な行動すら起こらなくなる現象を言う。

パーソナルコントラクト理論(個人的理論,個人的構成概念理論)とは、G.A.Kelly(ケリー)による人にはそれぞれ独自の価値基準があり、それによって物事を予測したり、自分や他人を解釈したりすることを指す。
頭の良し悪しのように、基準が一つしかないと精神不安定に陥る可能性が高くなり、そのように脅かされ身動きが取れなくなる。これをスロットチェンジと言う。スポーツができる・できないと言うような別の価値基準を増やすだけで気持ちの安定性が保たれやすくなる。


家族療法とは、個人や家族が抱える様々な問題を家族という文脈の中で捉え、家族システムとしての機能回復を目指す心理療法である。

自律訓練法とは、自己暗示によって心身を整えるリラクゼーション法である。うつ病性障害の場合は原則禁忌とされている。軽症の場合はうつ状態の背景の検討が必要である。とはいえ、ネット上ではうつに対し、自律訓練法を使っている旨が散見される。

ラポールとは、心理学の用語で、主にセラピストとクライエントの相互の信頼関係のこと。フランス語で「橋を架ける」という意味から、心が通じ合い、互いに信頼しあい、相手を受け入れていることを表す。

自由連想法は、精神分析療法で用いられる。無意識に対するアプローチの方法。古典的には、寝椅子(カウチ)に横になり、心に浮かぶ取り止めのないイメージを言語的に伝えていく。
フロイトは1900年に『夢判断』を、1917年に『精神分析入門』を出版している。
力動的心理療法としては、精神分析を中心にリビドーへアプローチしていく側面も出てくる。うつ病性障害などについても他の諸療法と同程度の効果量があることが示されているとされる場合もある。しかしが、本格的に行うと人格や対人関係の根源を探り当てるような時間のかかる作業となり、短期間ではない。また、効果が疑問視されることも多い。

非指示的方法は、1940年代、C.R.Rogers(ロジャーズによる)来談者(クライエント)中心療法のこと。
非指示的療法の時代(1942年-)においてRogersは、繰り返し、感情の反射、明確化などの、カウンセラーの技術を提唱したが、「非指示的療法は単なるオウム返しのみで成立する」という誤解が広まったため、名称を来談者中心療法と改め、1951年に同名の著書を出版、カウンセラーの姿勢を重視するようになる。
この療法の基本的な考えは、「来談者の話をよく傾聴し、来談者自身がどのように感じ、どのように生きつつあるかに真剣に取り組んでいきさえすれば、別にカウンセラーの賢明さや知識を振り回したり、押しつけたりしなくても、来談者自らが気づき、成長していくことができる」ということ。
それ以前の精神分析などはクライエントに様々な指図をする指示的療法であったが、Rogersは傾聴を旨とし、クライエントに対する指図はしないこの手法をとった。
来談者中心療法は、心理的不適応は、現実自己と理想自己のギャップによって生じると仮定して行われる心理療法である。
カウンセリングの基本ではあるが単体での心理療法としての効果は十分に検証できておらず、軽症うつ病に対して短期的な効果が見込めるとは言い難い。
不安な気持ちに共感するのはロジャーズ流のカウンセリング手法と言える。


2018年第一回
問50 認知行動療法について、正しいものを2つ選べ。
① 機能分析では、非機能的な認知に気づき、それに代わる機能的な認知を見つける。
② セルフ・モニタリングでは、個人が自らの行動、思考、感情などの側面を観察し、報告を行う。
③ トークン・エコノミー法では、レスポンデント条件づけの原理を用い、望ましい行動を示した場合に強化報酬を与える。
④ モデリングでは、クライエント自身が直接経験しなくても、他者(モデル)の行動を観察することで新しい行動の習得につながる。
⑤ 行動実験では、言葉による行動調節機能を用い、クライエントが自分自身に適切な教示を与えることによって治療効果を引き出す。

正解は②と④


2018年第一回
問80 認知療法で用いられる手法として、最も適切なものを1つ選べ。
① ラポール
② 自由連想法
③ 非指示的方法
④ 系統的脱感作法
⑤ 非合理的信念を変容させる方法

正解は⑤


2018年第一回
問102 軽症うつ病エピソードに対する初期の短期間の心理療法として、最も適切なものを1つ選べ。
① 家族療法
② 自律訓練法
③ 認知行動療法
④ 来談者中心療法
⑤ 力動的心理療法

正解は③


2018年第一回追加
問92 認知行動療法に影響を与えた人物と理論又は技法との組合せとして、正しいものを1つ選べ。
① A. T. Beck ― 条件づけ理論
② D. Meichenbaum ― 学習性無力感理論
③ G. A. Kelly ― 論理情動行動療法
④ G. H. Bower ― 感情ネットワークモデル
⑤ H. J. Eysenck ― 自己教示訓練法

正解は④


2018年第一回
問151 20歳の男性A、大学生。Aは大学のサークル内の友人関係におけるトラブルを経験した。その後、周囲の様々な物が不潔だと感じられるようになり、それらに触れた場合、馬鹿らしいと思っても何十分も手を洗わずにはいられなくなった。手を洗うことで一次的に不安は弱くなるが、手を洗うのをやめようとすると不安が強くなった。やがて、日常生活に支障を来すようになり、医師の紹介で相談室に訪れた。
Aに対する行動療法として、最も適切なものを1つ選べ。

① Aの不安が一時的ではなく完全に消失するまで手洗い行動を続けさせる。
② 触った後で手を洗いたくなるような不潔な物をAに回避させることで、不安を弱くさせる。
③ 手を洗った後で、本当にきれいになったかどうかを家族に確認してもらい、手洗い行動を減らしていく。
④ 不潔だと感じる物に意図的に触れさせ、手洗い行動をしないように指示し、時間の経過とともに不安が弱まっていくことを認識させる。

正解は④


2018年第一回追加
問60 28歳の女性 A。バスで通勤中、突然、激しい動悸と息苦しさに襲われ、強い不安を感じた。途中のバス停で降りてしばらく休んでいたら、落ち着いたので、その日は会社を欠勤し帰宅した。その後、繰り返し同じ発作に見舞われ、また発作が起こるのではと不安が強くなった。バスに乗るのが怖くなり、家族に車で送ってもらわないと出勤できなくなっ た。やがて外出することも困難となったため、医師の紹介で相談室を訪れた。Aに対する認知行動療法として、最も適切なものを1つ選べ。
① イメージは用いず、現実的な状況を段階的に経験させる。
② 不安な気持ちに共感し、安全な行動をとるようにさせる。
③ 一人での練習は危険を伴うため、ホームワークは用いない。
④ 発作の前兆である身体症状を意図的に作り出し、経験させる。
⑤ より機能的な考え方に修正できるよう、リラクセーション法は用いない。

回答は④


KALS模試 正答率56.0 赤本2021p53
非合理な信念を合理的な信念へと修正するための手法として、論破・論駁を導入した心理学者は誰か。正しい人物を1つ選べ。
① D.Meichenbaum
② A.T.Beck
③ J.S.Beck
④ A.Ellis
⑤ H.J.Eysenck

正解は④

1 84 長期記憶について、正しいものを1つ選べ。
1 宣言的記憶declarative memoryは手続的記憶とも呼ばれる。
2 意味記憶semantic memoryは時間的文脈と空間的文脈とが明確な記
憶である。
3 エピソード記憶episodic memoryは一般的な知識としての事実に関
する記憶である。
4 顕在記憶explicit memoryと潜在記憶implicit memoryとは記銘時
の意識の有無によって分けられる。
5 非宣言的記憶nondeclarative memoryは技能・習慣、プライミング
及び古典的条件づけの3つに分けられる。

5

1t136 プライム刺激とターゲット刺激の意味的関連性によるプライミン グ効果について検討する目的で、語彙判断課題を用いた実験を行った。 意味的関連があるSR条件の方が意味的関連がないUR条件よりも語彙判断の反応時間が短くなることを仮説とした。以下は論文における 「結果」についての記述の一部である。
「プライム刺激とターゲット刺激の意味的関連があるSR条件と意味的関連がないUR条件別に、語彙判断の反応時間の平均と標準偏差を 算出した。SR 条件では M = 620、SD = 100、UR 条件では M = 640、 SD = 100 で統計的に有意であった。このことからプライミング効果が 認められたといえる。」
この論文における「結果」の記述の問題点として、最も適切なものを1つ選べ。
1 刺激材料についての記述がない。
2 実験手続についての記述がない。
3 文章が過去形で記述されている。
4 適切な統計記号が使われていない。
5 有意差を示す統計量の記述がない。

5

2 8 プライミングについて、正しいものを1つ選べ。
1 間接プライミングは、主にエピソード記憶研究で用いられる。
2 直接プライミングは、先行情報と後続情報の間に意味的関連性が強い
場合に生じる。
3 プライミングは、絵などの画像刺激では生じず、単語などの言語刺激
のみで生じる。
4 プライミングには、先行情報が後続情報の処理を促進するだけでな
く、抑制する場合もある。
5 プライミングは、先行情報が閾下呈示された場合は生じず、閾上呈示
された場合のみで生じる。

4

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