心理学の歴史概略 公認心理師試験対応

古代から近代哲学,精神物理学とW.Wundtまで

古代ギリシャではプラトン,アリストテレスらが心の考察を残している。
中でも医学の祖、ヒポクラテスが体液による性格の4分類から性格を論じ、これら影響を受け19世期ヨーロッパで 1性格心理学 が確立して行った。
17,18世紀にはデカルトやロックら哲学者たちが心を語った。そして
1826年にJヘルバルトが心理学という言葉を初めて使ったとされる。

Weber(ウェーバー)が「重さの弁別が可能な比は一定」という法則を発見後、それを引継ぎ
Fechner(フェフィナー)が「感覚の大きさは刺激の強さの対数に比例する」という法則を発見し
1860年『精神物理学要項』を出版した。
このウェーバーフェフィナーの法則を持つ精神物理学は心理学の前身である。

1879年、初めて「心理学実験室」の看板を掲げた
2W.Wundt(ヴント,要素(構成)主義)は内観法,実験の2つを研究手法とする。心的要素間の結合様式を解明しようとした。


心理学の3大潮流 ゲシュタルト心理学 行動主義 精神分析

1890年、プラグマティズムのW.James(ジェームズ)が『心理学原論』を著す。これに影響を受け
1913年、3行動主義のJ.B.Watson(ワトソン,アルバート坊やの実験)が論文『行動主義者の見た心理学』を発表、観察可能な刺激と反応の関係性を重視観察可能な刺激と反応の関係性を重視すべきとし、W.Wundtの心理学は科学ではないと批判した。

1900年、4精神分析学のS.Freud(フロイト) が『夢分析』を発表。後にユング、アドラーらと研究を共にする。

1910年代に形成された一派は、
知覚を中心的に研究し、まとまりのある全体性を重視する
5ゲシュタルト心理学でW.Whertheimer(ウェルトハイマー) らによる。
人と環境の相互作用による、場の理論のLewin(レヴィン)[3 85]、
チンパンジー洞察学習のW. Köhler(ケーラー)[3 84](⇄Thorndikeの試行錯誤学習)があげられる。

条件付けと新行動主義

1902年パブロフがS(Stimulus,刺激)→R(Response,反応)によるレスポンデント(古典的)条件づけを確立。
心行動主義ではSエサとR反応の間にO(Organism)と言われる、空腹などの内的状態(有機体,媒介変数)を設定した。
6潜在学習のE.C.Tolman(トールマン,認知地図)
動因低減説のHull(ハル)(内発的動機づけが対立概念)がOを重視。
効果の法則と試行錯誤学習のThornkike(ソーンダイク,猫の問題箱)1898年実験を行う。
Oを考えない7オペラント条件付けのB.F.Skinner(スキナー) は、1938年にはマウスやハトを用いて体系的な研究を開始した。


発達心理学 認知心理学 臨床心理学など近代の心理学

19世記には近代市民社会成立の中で児童を研究することに始まる発達心理学が生まれる。

1960年代マズローの人間性の心理学(ヒューマニスティック・サイコロジー)が生まれる。必ずしも科学的であることが強く主張はされず、過去や環境よりも価値や未来が重視され、人間の健康的で積極的な側面が強調される。

1966年に『生態学的知覚システム』を完成させた、Gibson(ギブソン)はアフォーダンス理論を提唱した。これは環境が提供(アフォード)する価値とされ、彼は視覚を重視し、生態心理学、知覚心理学者とされる。

1967年に新行動主義の流れからNeisser(ナイサー)が『認知心理学』を出版、現在の主流と言える。S→Rの間の思考や記憶、学習や推論といった内的心理過程は情報処理過程であるという考え方に基づく

1977年、G.Engel(エンゲル)が生物医学モデルに対し生物心理社会モデルを示す。多面的に、クライエントを包括的に理解する上で重要なモデルとされ近年重視されている。

この他にも動物と比較して人間らしい性質を系統発生的に明らかにする比較心理学、など、多くの心理学分野が現代ではひしめいている。感情を取り扱う感情心理学、態度を扱う社会心理学、集団特性を扱う社会心理学や集団心理学などがある。

最後に、臨床心理学は心理の一般性原理を背景にしながら個人の個別性を重視するとされる。ヴント式の実験心理学とフロイト式の臨床心理学とし対比させるなどされるが、日本では臨床心理士学会が強くなりすぎたことで用語が混乱している。

【公認心理師受験】心理学の歴史その1〜3(プロロゴス動画)
ヴントの心理学
https://www.youtube.com/watch?v=flx4yweMCSU
行動主義、ゲシュタルト心理学、精神分析をヴントとの違いから
https://www.youtube.com/watch?v=YWUrMGutj1E
行動主義、新行動主義
https://www.youtube.com/watch?v=gsxmWuY2F6E&t=0s


2019年第二回
問3 20世紀前半の心理学の3大潮流とは、ゲシュタルト心理学、行動主義ともう1つは何か、正しいものを1つ選べ。
①性格心理学
②精神分析学
③認知心理学
④発達心理学
⑤人間性心理学

正解は②


2018年第一回追加
問5 世界で最初の心理学実験室を創設した W. Wundt の心理学の特徴として、正しいものを1つ選べ。
①行動レベルの反応を測定した。
②心的過程の全体性を重視した。
③無意識の研究の発端となった。
④ヒト以外の動物も実験対象とした。
⑤心的要素間の結合様式を解明しようとした。

正解は⑤


2018年第一回追加
問5 オペラント行動の研究の基礎を築いたのは誰か。正しいものを1つ選べ。
①A. Adler   
②B. F. Skinner   
③E. C. Tolman  
④I. P. Pavlov   
⑤J. B. Watson

正解は②


2018年第一回
問79 認知心理学について、最も適切なものを1つ選べ。
①まとまりのある全体性を重視する。
②内観と実験との2つを研究手法とする。
③観察可能な刺激と反応との関係性を重視する。
④心的過程は情報処理過程であるという考え方に基づく。
⑤心理の一般性原理を背景にしながら個人の個別性を重視する。

正解は④


2018年第一回追加
問4 ゲシュタルト心理学において中心的に研究され、現在も継続して研究されているものとして、最も適切なものを1つ選べ。
① 学習
② 感情
③ 態度
④ 知覚
⑤ 集団特性

正解は④


2018年第一回追加
問80  人間性心理学の特徴として、最も適切なものを1つ選べ。
① 科学的であることを強く主張する。
② 人間の健康的で積極的な側面を強調する。
③ 価値や未来よりも過去や環境を重視する。
④ 代表的なものとしてアフォーダンス理論がある。
⑤ 動物と比較して人間らしい性質を系統発生的に明らかにする。

正解は②


2019年第二回
問78 生物心理社会モデルについて、適切なものを1つ選べ。
①スピリチュアリティを最も重視するモデルである。
②クライエントを包括的に理解する上で有用なモデルである。
③医療技術の高度化を促進するために考案されたモデルである。
④生物生態学的モデルへの批判を背景に生まれたモデルである。
⑤クライエントの健康や疾病に責任を持つのは医療従事者とみなすモデルである。

正解は②


参考文献『図解雑学 心理学入門』
このページは青ペンギン2021 4章に準拠し作成されています。

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