コンサルタントの「質問力」
こんばんは。今日はビジネスパーソンに求められる「質問力」を題材に記事を作成していきます。常に結果を出し続けるスーパー営業マン、なぜそんなにモノが売れるのか。それはもしかすると「質問力」かもしれません。野口 吉昭氏著の”コンサルタントの「質問力」 「できる人」の隠れたマインド&スキル”からその要素を紐解いてみたいと思います。
質問力とは
そもそも質問力と聞いてどのような感想を持ちますか。質問力というものは仕事の成果に直結します。とりわけコンサルタントは質問力のプロフェッショナルといわれています。なぜならコンサルタントの仕事を達成するためにはクライアントからの信頼を得ること、そして決定的なコミットメントが必要不可欠であり、その時に必要な能力こそが質問力だからです。
世の中には自分の思っていることを的確に伝えられなかったり、なかなか自分からは多くを語らない人がいますが、そのような人に向かっていきなりどのようなことに悩んでるのと聞いても絶対うまくいきません。優れたコンサルタントは質問に答えているうちに課題が整理されたなどといった感想を顧客に抱かせるものです。このような質問力はコンサルタントだけに必要なもんではなく、営業マンをはじめ、人と関わる仕事をしてる人全員に必ず役立つスキルと言えます。そんなビジネスパーソンに必須ともいえる質問力を持つ人の特徴が6つあるといいます。その6つとは何なのか。一つずつ順番に確認していきたいと思います。
質問力のある人の特徴6選
①聞く態度が身についている。
質問力のある人は当たり前ですか聞く力がとても強いです。トップ営業マンほど自分よりも顧客に話をさせているというのはよく聞く話です。人は自分の話を真剣に聞いてくれる人に好意を抱くものです。聞き手がうなずいてくれたり、たまに一言コメントを入れたりしてくれると話す側はとても話しやすくなります。ここぞというタイミングで頷かれたり相槌を入れられたりするとグッと信頼感を築くことができます。聞く態度を身に付けることは質問する上で必須であると言えるのです。
②鋭い質問で相手を感動させる。
営業マンの常識としてあつべき姿は御用聞き営業ではなく、ソリューション営業やコンサルティング営業が大事であるというのはよく聞きます。質問力とはズバリこのような営業スタイルには必須となってきます。質問といってもどこまで鋭いのかは非常に気をつけるべきポイントですが優れたコンサルタントは、相手に少し考えさせる、相手に気づきを与えるような鋭い視線を投げかけます。逆に言えば一般的な質問を繰り返していても新しい解決策やこれまでと違った発見はありません。質問はたった一言の会話に思いますが、その時点でお互いの力量や実力が明らかになってしまうため、普段から質問力を意識しなければなりません。
③事実を使って全体像で示す。
質問力のある人は事実を通して選択肢を提示し、相手に自分自身で選ばせます。例えばではテニスコーチの事例が紹介されていますが、あるテニスコーチはラケットの振り方を教える時に抽象的な話ではなく、可能な限り具体的な言葉で教えてくれるそうです。テニスのサービスには大きくフラットサービス、スピンサービス、スライスサービスの三つがありますが相手によって使い分けるのはなかなか素人には難しいそうです。そこでこのコーチは「セカンドサービスはスライスサービスにするとスピードは落ちますがフラットサービスと合わせて変化球として使うと面白いのでいかがでしょうか」など選択肢を用意してくれるそうです。このように事実を全体の中でどのような場所にあるのかを提示し、一オプションとして相手に投げかける能力はまさに質問力であると言えます。
④相手を積極的に自己開示させる力を持っている。
個人の情報に関する会話は日本人は特に避けがちです。初対面の人に「ご主人の年収はおいくらですか」なんて一歩踏み込んだ質問されると居心地が悪くなるのは普通です。ここでは大事な個人情報は聞き出すという感覚よりも、つい顧客が口走ってしまうような状態を作り出すことが重要だと主張しています。
本書ではハウスメーカーのトップ営業マンの例が挙げられています。ハウスメーカーの営業マンの最も難しいところはお客様が夢見るハウスと現実的なお金の問題を常にバランスを見ながら提案する必要があるところです。そのためにはどのようなライフプランか、どのような家族構成なのか、など質問によって個人情報を紐解いていく必要があります。このようなかなり踏み込んだ情報を獲得するために営業マンは時に”できないことはできない”とはっきり言います。中にできないという言葉があるので信頼を失うのではないかと思う人もいると思いますが、相手に共感の意味を込めて伝えるとむしろ信頼が獲得できるというのは珍しくありません。共感して納得して顧客との関係を作っていき、新しい気づきや発見を与えられるような質問が大事なのです。
⑤物語を聞く力を持っている。
相手の言葉をどのレベルで受け止められているかということは質問力やコミュニケーションの差となって表れます。そして相手のメッセージを読み取ることは優れた質問するためには必要な場合があります。人間は喜怒哀楽があるため会話の途中にも様々な感情になります。細かい表情の変化を見逃さなかったり相手のストーリーを想像し受け止め方を考えるコミュニケーションは常に意識しなければなりません。
⑥空気を読むのが上手い。
先ほどの物語を聞く力を持っているに似ていますが、喋らずとも感じ取れる能力です。場の空気を読む達人としてソムリエがいます。ある著名なソムリエには禅僧の歩き方を習得した人がいるそうです。お客さんがテーブルに座ると彼らの関係によって流れる空気が全然違います。そのようなテーブルの空気感を壊さないためにこのソムリエは音を立てない歩き方を習得し自分の存在感や空気を消すことが可能になったと言います。常に何がこの状況で求められているかを徹底するとどんな質問を投げかければいいかが自然に見えてきます。
こだわりの質問力を生み出すエッセンスとは
質問力のある人の特徴の次にそれを生み出すエッセンスを探っていきたいと思います。優れたコンサルタントの質問力として仮説力・本質力・シナリオ力が必要であるといわれており、この三つの力がつくと偉大な経営者や影響力のある人に出会った時にスムーズに質問を投げかけることができるとのことです。
①仮説力
仮説とは確からしい答えのこと。質問んする時にあらかじめ仮説を立てていることはコンサルタントの必須の能力と言えます。ポイントは深い質問することで相手も深い答えを使用することです。ざっくりとした質問にはざっくりとした回答しか返ってきません。まずは仮説を持って”開いて刺さるだろう”という質問を優先的に行うことで、より有益な情報に使うことができるのです。
例えば業績の伸び悩んでる部署に対して
「どうなっているんですか」と聞いても
「あーすいません」と返ってくるだけです。
ですが「主力商品は量販品ルートでの販売を強みとしてるわけですが全国平均よりも20%程度低いですね。なぜでしょうか」と聞くと一生懸命にその理由を考えます。コンサルタントにはそのように相手から引き出す必要があるのです。このような仮説力を高めるためには事前リサーチが必須です。情報にはプライマリデータとセカンダリデータがあり、事前リサーチの際には書籍や新聞雑誌 Web サイトの情報など一般的に公開されているセカンダリデータが中心になります。著者の野口さんは新しいプロジェクトに関わる時、関連書籍を30冊程度買い込み一気に読み込みそうです 。Web で関連情報を集める時は3時間くらい集中して一気にやるらしく、ここまで徹底して量を積めば自ずと仮説力は磨かれていくとのことです。
②本質力
簡単に言い換えると「そう!それそれ!」となる質問です。本質力とは場を見える化して論理的に整理し、内容の絞込みを行い、最終的にはワンメッセージにまとめることができることを指します。内容を十分に精査しワンメッセージにまとめるので聞き手にとっては鋭い質問となります。本質を見極め鋭い視点で質問するためには鳥の目・虫の目を利用しましょう。例えばインタビューの時に盛り上がることはあっても結局その盛り上がった箇所に時間をされてしまい全体としてはバランスの取れた回答が得られなかったとします。ここで役立つのが鳥の目と虫の目です。
鳥の目とは大空を飛ぶ鳥のように俯瞰的にに物事を見ること。一方で虫の目とは対象物に近づき細部まで視点を行き届かせることです。本質がどこにあるのかを当てるためにはどちらの目も必要です。質問として二つのレンズを使いながら情報を集めていくことでモノの見方がお互いに変わってきたというよりも気づきが増えていきます。
組織においては現場に近い場所で働く人ほど虫の目で、トップでマネジメントする層ほど鳥の目で物事を捕らえようとします。そのためインタビューする際は現場で働く人に対してならば虫の目でアプローチをし、現場で何が起きてるのか、その具体的な質問がいいでしょう。トップに近い人に対しては具体的な点の話ではなく面で集中的に議論をするのが良いでしょう。その中で面から点、点から面と話を展開していき話の全体像を形作っていくのが優れたコンサルタントと言えます。
③シナリオ力
これは大きな流れをつかみ、ゴールに向けて最適な質問をしていく能力ことです。そもそもコンサルタントの最終目標は相手を動かすことです。最終的に相手が新たな目標に向かってポジティブな状態になっているかは質問者のコンサルタントに求められる力量です。一般的に日本人は虫の目から鳥の目へと徐々に視点をあげて積み上げ式の思考方式に慣れています。なので具体から抽象に質問していくのがベストなのですが、途中で予想通りの展開となり新しい発見が全くないなんてこともあり、これはある程度予想通りのラリーが続いている状態です。そんな時は思い切って一度質問の階段を降りて全然違うものでアプローチをすることも大事です。質問を積み上げていくのもいいですが、新たな気づきを相手に与えるためには臨機応変に話を展開し、深さや広さも気にしたいところです。
例えば売上低下の原因を調べるようなシチュエーションでもよくあるような原因をリストアップして質問するのではなく、それこそ虫の目を使って見えてきた現場ならではの課題をもっと大きい会社としてのブランディングの話など流れに沿ってその内容を変えていきましょう。繰り返しになりますがコンサルタントの目標は相手がポジティブな状態となって次の行動を起こすことにあります。それを目的とした時に途中の質問の組み立て方は人それぞれ違いますのでこのシナリオ力も大事な観点ではと言えるでしょう。
まとめ
このコンサルタントという仕事において質問力は非常に奥が深く感じます。なぜならばコンサルタントは
”相手をポジティブな状態にし、次の行動を起こさせなければならない”
からです。
しかしこの本を読みながら私も営業のシーンにおいてこの質問力は最も意識しているところだと実感しました。いくらいい製品だとしても、素晴らしいシーンだとしても相手にアクションを起こさせなければ何も始まりません。それを作り出すのはコミュニケーションを含めた総合力だと思うからです。
モノがバンバン売れた時代は去り、価値を感じていただけないとモノは売れません。価値を感じていただくためにはその必要性を感じていただかなければなりません。その必要性を感じていただくためにこの質問力が生きてきます。
一時期AIに仕事が奪われるという話が話題になりましたが、営業という仕事は今後もなくならないと思います。なぜならばAIにこの質問力を搭載するのは無理だからです。しかし、逆にいうとこの質問力が備わっていない営業マンは将来AIにとって変わられてしまう可能性があるのかもしれませんね。
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