もうそこまで来ている近未来の世界【2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ 】を考察する!
みなさんこんにちわ。すっかり記事の作成が久々になってしまいましたが気づけばもうお盆休み。あいにくの雨模様ですが今日はこの話題を記事にしてみようと思います。ピーター・ディアマンディス、スティーブン・コトラー(著)の【2030年 すべてが「加速」する世界に備えよ】です。
この本は今から9年後の世界を予想した本ですが、この本に限らず2030年の世界を予想する本が多数発売されています。その理由の一つとしておそらくそのスピードの速さがかつてないほど急激に早まっていることと思われます。そういう意味で今からの10年間はかつてないスピードで物事が進化していくことになるでしょう。ぜひこのスピードに乗り遅れないよう読んでいってください。
なぜいま世界は加速しているのか
SF的な世界にあるものと聞いて何が思い浮かぶでしょうか。多くの人が思い浮かべるものの一つ、それが空飛ぶクルマではないでしょうか。実はこの空飛ぶ車はもう遠い未来の話ではないのです。世界的なライドシェアの会社であるUberはこのように言います。Uberの目標は
「2020年には空飛ぶ車の性能を世に知らしめ、2023年にはダラスとロサンゼルスで空のライドシェアを完全に事業化することです」
2023年には空飛ぶ車を事業化するという言葉を奪わ目標として宣言しているわけです。2023年と言ったらもう間もなくです。もうサイエンスフィクションの世界が現実になる日はすぐそこまで来ているということです。この空飛ぶクルマのような10年前では遠い未来のことだと思っていたことが今急激に近づいてきた理由は何か。その答えがコンバージェンスだと著者は言います。
コンバージェンスとは融合という意味ですが一体何が融合するとSFの世界が実現するのでしょうか。それはテクノロジーです。今や誰もがもっているスマートフォンを1970年代のスーパーコンピュータと比べてみるといかに進歩したかがわかります。なんと
大きさは1/10000
価格は1/100
性能は100万倍
となったのです。本当に驚くべき進歩です。ですが本当に重要なのはここからです。このペースで進歩しているのはコンピューターだけではないということです。
AI
ロボティクス
ナノテクノロジー
3 D プリント
AR/VR
これらの様々な分野がコンピュータと同じようにすさまじい速さで進歩し続けています。一つ一つのイノベーションだけでもとんでもない成果を生み出しますがこれらが組み合わさったらつまりコンバージェンスしたらどうなるでしょうか。そうです。SFの世界が実現するのです。SFの世界を実現させるのはこれらの猛スピードで進化していく各分野の技術のコンバージェンスによって成し遂げられるのです。例えば空飛ぶ車の場合には膨大なデータを読み取れセンサーそれを取り込み処理するコンピュータやAI、長い走行距離と高い電力密度を持った電池の技術などのコンバージェンスによって実現します。現時点では価格の問題が解決されていませんが、その解決も時間の問題だと言われています。本書の中ではこのコンバージェンスによって革命的に変化していくものがたくさん紹介されています。買い物、広告、エンターテイメント、教育、医療、保険、金融、不動産、食料などです。この中から今回は医療と食料について紹介していきます。
医療の未来
この医療という一つのテーマの中でもたくさんの内容が紹介されていますがその中から四つを紹介していきます。
①人体の部品交換
車や建物では当たり前のように行われているように古い部品を新しい部品に交換して永遠に動かし続けるという発想自体は多くの人が思い浮かぶと思います。そして実際はそう簡単にはいかないということも皆さんご存知かと思います。しかしこの分野の研究も着実に進んできているのです。これを実現する方法の一つが【異種移植】すなわち他の動物の例えば豚の臓器を人間に移植するというものです。もちろんこれには病気、拒絶、反応動物虐待といった問題があります。そこで最新の研究では再生医療の技術を使って臓器を一から作成する方法が考案されています。具体的にはいろいろな種類の細胞になれる細胞【幹細胞】を使います。京都大学の山中教授が発表して一躍話題になったIPS細胞もこの幹細胞の一種です。ここに3 Dプリンティングの技術を組み合わせて使うというものです。3 Dプリンティングで形を作り幹細胞を使って生きた時にする。そんな技術の研究が進められているのです。将来は臓器が弱ってきたら3 Dプリンターで作った臓器に入れ替えるのが当たり前、そんな時代が迫ってきているんです。
②モバイルヘルス
これはセンサーの技術を用いた方法です。例えば歯ブラシやトイレに埋め込まれたスマートセンサー、寝具や衣服についたウェアラブルセンサー、身体に埋め込まれたセンサー、様々なセンサーがあなたの健康状態をウォッチしてくれるようになります。そして Googleアシスタントに一言いうだけでこういったセンサーからの情報を総合しモバイルヘルスシステムがあなたの体を隅々まで調べ上げてくれるようになる。そんなことが近い未来に実現するのです。これまでは健康診断といえば半年か一年に一回長い時間をかけて行うものでしたがモバイルヘルスが一般化すれば自分の体の状態を手軽にそして連続的に確認できるようになります。今は365日24時間健康診断状態というわけですそうなれば病気の兆候をいち早くキャッチして重くなる前に治療してしまうことも容易になっていきます。
③ロボット外科手術
今はまだロボットが現実に手術をしているところを想像できない方が多いかもしれません。しかし実はロボットによる外科手術は既にある種の手術においては人間の外科医よりも優れた結果を出しているのです。STAR(軟部組織自律形ロボット)は人間の5倍から10倍の速度で組織を縫い合わせることができ、その程度も人間よりはるかに高い結果を出しています。また整形外科用の骨を削るロボットは既に実用化されており脊髄手術用のロボットは5種類がまもなく実用化されることになっています。将来の外科手術ロボットには当然AIが搭載されますのでロボットの外科医は短時間のうちに世界で最も経験を積んだ外科医になっていくのです。10年後あなたが手術室で人間の医師を目にしたら絶対ダメロボットがいいと反射的に避けるはずだと著者は言います。手術ロボットは最高に経験を積んだ最高に正確な仕事をする医者となるわけですからそれも当然のことでしょう。外科医がロボットに置き換わっていく日はそう遠くないのです。
④寿命延長
寿命についても研究が進んでいます。かつて旧石器時代から産業革命が終わるまで人生は30年と言われていました。それが2014年時点では72歳にまで寿命が伸びました。そして今となっては科学によって私たちが1年生きる間に寿命が1年延びるようになる時代が近づいてきていると言われています。これが本当に実現したらずっと生きていられるということになります。
そしてこの実現に向けた一つのキーワードは血液です。まだマウスを使った実験の段階ではありますが、若いマウスの血液を年老いたマウスの体内に送り込んだところ老いたマウスは生気を取り戻すということがわかりました。その効果は見た目だけに現れるのではなく老齢マウスのさまざまな組織や臓器は若く健康なマウスのそれと同じ特徴を示すようになっていたのです。またこれは逆も同じで年老いたマウスの血液を若いマウスに送り込んだところ衰えや老化が加速したそうです。この実験から研究が進みハーバード大学の研究チームがこの現象の原因は成長分化因子11(GDF11)と呼ばれる特定の分子であるということを突き止めました。この研究は今さらに進んでおり GDF11をはじめとした老化抑制物質を使った寿命延長研究アルツハイマー病治療の研究が進められています。まだ永遠の命が手に入るとまではいきませんが、100歳の人を60歳に戻すような、人間の生存期間を大幅に伸ばすことは「できるかどうか」から「いつできるか」の問題に移ったのだそうです。
食料の未来
著者は2030年のキッチンがこのようになっていると予想します
①おすすめのメニューはパーソナルAI があげてくる
②メニューを選ぶと Amazonのドローンが材料を運んでくる
③料理はロボシェフが作ってくれる
④ロボシェフは AI によって五つ星レストランの一流シェフの動きを学習済み。
⑤肉は動物を殺しているのではなく人工培養で作られている。
遠い未来のことのように思えるかもしれません。しかし実は一つ一つの技術要素は2020年の時点ですでに実現されているものです。この中の技術で最も身近に感じづらいと思われる人工培養による肉の生産について紹介していきます。実はこの人工培養による肉の生産は食料問題の救世主になる技術です。
現在地球上の進むことができる地域の50%は農地です。そしてそのうちの80%が牧畜に使われています。牧畜が占めている土地が非常に大きいことがわかりますそして使っている土地が広いだけでなく世界の食用作物の30%は家畜が食べていて世界の水使用量の70%も食肉生産に使われています。
このように牧畜業は非常に大量の資源を必要としています。おまけに温室効果ガス排出量の14.5%が食肉生産によって発生しており、森林破壊の原因にもなっています。今地球上でかつてないほど多くの種が絶滅していますがその最大の原因はこの農業用地の拡大です。農地を使わずに肉を得ることつまり培養肉生産の技術は非常に高い価値があるということになります。
培養肉は通常の肉と比べると土地の使用料は99%カット、水の使用量は82%から96%カット、温室効果ガスの排出量は78%から96%カットできます。この数字が意味することは培養肉が倫理的かつ環境にやさしい方法で世界の食料問題を解決できるということです。
続いて培養肉の作り方を説明します。まず生きた動物から幹細胞を取り出す。そしてその幹細胞を栄養分豊かな培養液に浸して増やします。これだけのシンプルなステップでできるそうです。
現時点ですでに培養肉は実現しています。しかも味の面で問題ないということがシェフや消費者の実験により既に証明されてもいます。また細胞から作っていくので健康的な面でもメリットが期待できます。体に有益なたんぱく質を増やし体に悪い飽和脂肪を減らしビタミンを加えることができたりするからです。
そして培養肉には実際の動物と違って抗生物質を投与する必要もなく、狂牛病などの家畜の危険な病気のリスクもありません。新しい病気の70%は家畜から発生すると言われています。家畜をかわなくなればそれだけでパンデミックのリスクも抑えられるということです。
ただ問題はコスト面です。現時点だとまだコストがかかり過ぎるということです。とはいえコスト低下の速度も目覚しいものがあります。2013年時点で作られた世界初の培養肉バーガーにかかったコストは約3300万円です。そこから2018年には450gあたり24万円くらいまで下がりました。これが数年内には500円前後まで下がると言われています。ここまで来ると実用性がありそうです。この培養肉のコストパフォーマンスは通常の肉より圧倒的に高くなると考えられています。牛を育てるのには数年かかりますが培養肉なら同じ量の肉をかかるのにたったの2週間しかかかりません。生産は自動化され土地も人でもかからずに作れるようになっていくと予想されているからです。
まとめ
昔アニメドラゴンボールを見て非常に夢をもった記憶があります。ドラゴンレーダーで球を探し、七つ揃うと神龍という神様が現れて願い事を一つだけ叶えてくれます。ホイポイカプセルというなんでもポケットサイズにしてくれる道具で取り出した空飛ぶ車で移動します。悪者は不老不死をたくらんで球を横取りしようとします。最後にウーロンというサブキャラがギャルのパンティをゲットするというオチでした(笑)
まさにこのような世界が目の前にきているのかもしれません。医療の進化も何か新たな犯罪が起こるのではと恐ろしささえ感じます。
しかし技術の進歩はおそらく我々のイメージ以上のとてつもない勢いで進んでいるのだと思います。誰しもがあり得ないと思っていた世界が10年後に実現しているのかもしれません。
今世界はまだコロナ禍です。このコロナ禍ですでに色々なものが進化しました。私自身、今まで当たり前だと思っていたことが変わりました。ZOOMなどの遠隔でのコミュニケーション手法がその典型です。
このコロナ禍の最中に、おそらく次の一手を考えている猛者がうようよしていると思います。間違いなく世界は変わります。その時代に今以上活躍できるよう常に感度の高いアンテナが必要ですね。