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バカの壁とは?養老先生の大ベストセラー本を今読み返す!

皆さんはこの”バカの壁”は読まれましたでしょうか?この本は戦後日本の歴代ベストセラーの4位にもなった大ベストセラーで実に419万部売れたそうです。発売されたのが2003年なのでもう18年も前ですね。この本の著者は東大の名誉教授、養老孟司先生。専門は解剖学と脳科学でその経験から人間の脳の正しい使い方について語った本です。実に本質的をついている本なので特に20代の方に読んでほしい1冊ですが今日はこの本をもとに記事を作成したいと思います。

”バカの壁”とは?

まずこのバカの壁とは一体何なのか、何を意味してるのか。

それは

”世界や他人を知ろうとしない人が作る自分と他人の壁”です。

よく例えられるのが絶対に意見が合わない人たち、すなわち

”イスラム原理主義者と米国”

”若者と老人”

”ベンチャー企業社長とフリーター”

互いに話が通じないのは、そこにこの「バカの壁」が立ちはだかっているからということです。しかし、この壁は多くの人が無意識に作っている壁で、その壁がどんなものかよくわかるエピソードが最初に登場します。

養老さんが大学の薬学部で行った講義のエピソード

その講義で養老氏は出産のドキュメンタリーを学生に見せました。その時の学生の反応が女子と男子で正反対になったのです。女子はとても勉強になったと良い反応する学生が多くいました。一方男子は既に知っていることばかりだったと悪い反応する学生が多くいました。この男子学生達は最初からバカの壁を持って映像を見ていたのです。薬学部の学生で知識があるので「こんなことは知っている」と思いながら映像を見ていたのです。一方女子は自分たちが将来出産する可能性があるため自分のことと感じながら映像を見ました。妊婦さんや赤ちゃん旦那さんや医者、看護師などあらゆる人の気持ちを想像しながら見たのです。だからこそ新しい発見があったと感じたのです。この時の女子学生がバカの壁を超えられた理由は二つあります。世界に関心を持ったこと人の気持ちを想像したことです。特に人の気持ちを想像するというメッセージはバカの壁のいろんな場所に出てきます。

東大生のエピソード

東大のバカ学生。ちょっときつい言葉ですが本に実際に登場する見出しです。養老氏は自分も東大卒で東大の名誉教授です。その立場から東大を批判しているのですが、特に養老氏がひどいと感じた学生の例を紹介しています。
ある時学生の面接で養老氏が頭蓋骨を二つ見せたそうです。そして”二つの頭蓋骨の違いを答えなさい”という問題を出したのです。学生は1分ほど考えた後「先生こっちの方が大きいです」と答えたそうです。幼稚園児がいいそうな感想ですが養老氏はこういう学生が東大でも非常に多いと言っています。何でこんな感想になったのかと言うと、この質問には答えがないからです。養老氏も一つの答えを期待していたわけではありません。その学生が二つの頭蓋骨から何を感じ取るかということを知りたかったのです。例えば「こちらの方が年代が古い気がします」「こちらの方が女性的な気がします」などなんでもよかったのです。用意された答えを暗記して答えることしかできない学生が増えた、そしてそういう学生は自分と違う世界を想像できないからバカの壁も越えられないと養老氏は言っています。

個性を伸ばすとは?

養老氏は最近流行りの”個性を伸ばせ”という主張に反対しています。というのは人間が本当に個性的になったら迷惑で仕方ないためです。例えば人が笑っている時に泣いている、お葬式でみんなが悲しんでいる時に笑っている。このような人がいたら確かに個性的です。しかし実際にこんな人がいたら迷惑で仕方がないと養老氏は言っています。また養老氏が知っているある精神疾患の患者さんの例を紹介しています。その患者さんは毎日白い壁に自分の排泄物を使って文字を書いていたそうです。個性的と言うならこれほど個性的な人はいないと養老氏は言っています。確かに世間から歓迎される個性はあります。しかし歓迎されているという時点でその人は周りに合わせているのです。つまりその人が成功したのは個性的だったからではなく、人の気持ちがわかっていたからなのです。だから養老氏は個性を伸ばすのではなく、人の気持ちを考える人に合わせるということが大事だと言っています。個性などわざわざ発揮しなくても元々誰にでもあるというのです。養老氏は医者なので移植手術の例を出しています。例えば誰かの皮膚を別の人に移植すると強烈な拒絶反応が起きます。それを抑える技術も研究が進んでいますが、よほど特殊な手術をしないと駄目です。たとえ親子であっても拒絶反応を起こすそうです。養老氏はこれこそが個性だと言っています。つまり個性とは自然が与えてくれた肉体の中にあるのだということです。私達が脳内で考える、私はこういう人間というのはただの思い込みであって個性でもなんでもないということです。

身体を忘れた現代人

養老氏は現代人は体の存在を忘れてしまっていると言っています。つまり頭の中で考えた人間の世界で生きていて肉体という自然界の一部を無視しているということです。養老氏は生身の肉体に比べれば意識の世界なんて屁みたいなものと言っています。これは養老氏が子供の頃に戦争を経験したからでもあります。体が全てであることは悪い時代をくぐり抜ければ必ず分かると言っています。だから養老氏は東大教授だった時代よく学生にこう言っていたそうです。お前らこんな穴蔵みたいな教室で俺みたいなじじいの話なんか聞いてないで外に入って体を使って働け。と実際あなたが今この記事を見ているのもあなたの目や耳という肉体が機能しているからです。この日本語を理解できるのも脳という臓器が動いているからです。脳内で考えることも最終的には肉体から生まれるのです。だから養老氏は腹が減っては戦はできぬという考えは正しいと言っています。

確実なこととは何か

科学の世界は実はわからないことだらけです。養老氏も同じことを言っています。科学的に正しいとされている言葉全部一つの仮説にすぎないということです。養老氏が政府に呼ばれて温暖化問題について政府が答弁する文章をチェックしました。その時の文章では炭酸ガスが原因で温暖化が起きると断言されていました。養老氏はそれを見て、”起きると推測される”と書き直してくださいと注文したそうです。しかしそう言ったら政府の人が反発したそうです「先生、国際会議で世界の8割の学者が認めた事なんです」と。養老氏から言えば80%正しいけど20%の確率で間違っているということです。これも温暖化の原因は炭酸ガスではないと言っているわけではありません。ただ正しい確率は8割であると正確に受け止めろということです。世界には分からないことが山ほどあって私たちはその中ですっきりしない気持ちを抱えながら生きていくべきであるということを養老さんは言っています。養老氏はバカの壁は誰にでもある。全員が同じ意見を持つことが正しいわけではないと言っています。バカの壁を批判する人もいますが養老氏からすればそれでいいということです。養老氏自身が100%正しいことはないと言っているわけですからバカの壁の内容も100%正しいわけではないのです。ただ419万人以上の日本人が勝って読む価値があると感じたという統計的な情報があるだけです。バカの壁というものがそもそも本当にあるのかあったとしてそれは取り払うべきなのか、この答えは養老氏に教えてもらうのでもなくこの記事を鵜呑みにするのでもなく「ぜひ自分で考えてください」というのが養老先生のメッセージだと思います。

最後に

脳科学の学者さんだけあってやはり奥が深いというか、難しいというか。本文だけを読むと少し小難しく感じてしまう部分もあるかもしれません。

自分の毎日を振り返ると、もしかするとこの”バカの壁”にぶつかっていたかもと感じることがあります。

例えば部下の育成の際に感じる”世代感ギャップ”はおそらくこれにあたるものでしょう。自分の価値観と自分の考えのみで接していると本当にただただ苦しい時間になってしまします。

”なぜわからない”

”なぜ同じことを何度も聞いてくる”

”自分が20代の頃は・・・”

色々な感情が出てきてしまいますが、これらは間違いなく”バカの壁”にぶち当たってるのでしょう。

そんな時にこの養老先生のこの”バカの壁”を思い出すことで無駄な感情を取り払い円滑なコミュニケーションと人言関係に繋げれるようにしていきたいと思いますし、同時に私の指導を受けている人たちも同じ感情になってくれればいい関係性を築くことができるかもしれません。

この記事を読んでくれている20代の皆様、ぜひこの”バカの壁”の考え方をうまく使い、年上の上司や先輩との円滑なコミュニケーションにつなげてください!



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