ヘミングウェイ「移動祝祭日」軽い感想
作家の人生に興味を持ち始め、ヘミングウェイの自伝的作品として有名な「移動祝祭日」を読んだ。内容は、二十代前半の売れない時代のヘミングウェイが貧しいながらも最初の妻と楽しく過ごし、他の芸術家たちと刺激のある交流したパリでの生活の回想録である。
他のライバル作家たちに対するチクチクした描写が多く、自分は書かれている作家の人達のほとんどが知らない人だったので混乱したが、ところどころ挟まれるヘミングウェイの創作論や貧乏時代の飯が興味深く、そして妻ハドリーとの慎ましく美しい日々に胸キュンし面白く読むことができた。
新潮文庫の解説を読むと、この本がヘミングウェイのパリにいた当時の感覚に忠実に書かれたのではなく、年を取った後に自分の記憶を色付けしながら書かれていたものとわかる。
実際は大してお金に困っていなかったり(あえて節約して修行してたらしい)、友人についての描写もパリ時代後の関係の破綻含めの印象が混じっているらしい。
ただ、だからこそ悔恨の伴ったこの時期のハドリーとの胸キュンエピソードの鮮やかさに胸キュンした。