見出し画像

【現役教師が解説!】お金さえあれば、不登校の悩みはなくなる?

こんにちは、不登校を想う現役教師、れいです。
不登校と教育費の問題について、今日は詳しくお話ししたいと思います。

不登校のお子さんをお持ちのご家庭では、教育費が増加しやすい傾向にあります。行政や学校から受けられる支援はまだまだ体制が整っておらず、十分とはいえないため、学習支援や発達特性に伴う治療、カウンセリングなど、様々な支出が現実的には必要になってくることが多いためです。

たとえ親御さんが学校に行かないことを受け入れたとしても、「家で何もしないのも…」との思いから、規模感の小さいところでいうと、本の購入や、家族での外出…もうすこし大きい規模では、スタディサプリなどのオンライン学習支援や学習塾への加入、あるいは環境を変えるために私立学校や支援学校へ、全日制から通信制高校への転校などで、新たな教育費用が発生することも少なくありません。

また、不登校のお子さんが家にいることで、学習支援や精神的なサポートのために、親御さんが仕事を減らさざるを得ない、あるいは辞めざるを得ないというケースもあります。これは直接的な教育費の増加ではありませんが、収入源が減ることで家計を圧迫する要因となります。

では、このような状況にどう対応すればよいのでしょうか。
最も重要なのは、お子さんにとって「本当に必要なもの」を正確に見極めることです。

もちろん、子どもに多様な経験や刺激を与えてあげるのは大切なことです。

「お金があればたくさん本を買ってあげるのに」「家族で旅行に行って、いろんな景色を見せてあげるのに」「毎日個別家庭教師を頼むのに」…そのように考える不登校の親御さんも、多いと思います。

しかし実のところ、これらは、額面を度外視して考えても、「必ずプラスになる」とは限らないのです。

「お金持ちが必ず幸せ」ではない…ということは、ほとんどの大人は理解しています。
確かにお金がたくさんあれば、ハイブランドのドレスを買って、豪華なレストランで食事をとることはできます。
しかし、実際に宝くじで3億円当たったとして、「毎日夜景の見えるレストランで、ドレスを着て、A5ランクの肉を食べることを心から望む人」って、実はそうそういません。
多くの大人は、「ドレス着て食事なんて肩がこるし、毎日A5ランクの肉食べたら胃もたれするわ」と現実的に考えるはずです。
つまり、お金が大量にある状態が即幸せ、というのではなく、「現実で自分が満足する使い道」が分かってはじめて、「宝くじの3億円を有効に、幸せに使う」ことができるのです。

教育もそれと似ています。
いくらお金があって、「どこにでも留学させてあげられる」「どんな本でも家庭教師でも与えてあげられる」いう状態があったとしても、それだけで即、「子育てがうまくいく」「子どもが自ら動き出す」わけではないんです。
実際に、教員として働いていると、元芸能人・大学教授・医者…それこそ「お金には不自由ない」ご家庭と接することもありますが、そういった家庭のお子さんが「不登校とは無縁で、自らのやりたいことを早々に見つけ、自ら動く」かというと…全くそんなことはないのです。
結局、「その子の特性」や「その子に合ったやり方」を地道に見極め、支援を続けてはじめて、「子どもの自主性を育む」ことができるのだと考えます。

それから、よくあるパターンとして、「このまま家でダラダラするだけではいけない」という親御さんの不安や焦りから、オンライン学習塾などに加入してみてみたり、親御さん自身が時間を割いて勉強に付き合うのだけど、「子どもが思ったように取り組まない」、というケースがあります。
こうなってしまうと、現実的には限られたお金や時間が無駄になってしまうだけでなく、「せっかく子どものためを思ってやったのに!」と、親御さんの苛立ちにもつながりかねません。

さらに深刻なケースで、しかし学校現場でもよくあるのが、「消極的な理由のみ」による転学です。
たとえば、「出席日数が足りず、勉強も遅れて、このまま在籍校で進学するのが難しいから」という理由で通信制に転校したものの、そこでも不登校になってしまった…というケースは、実はかなり多いのです。

「買ってあげた参考書(1,000円)が使われなかった」くらいなら、そこまでの痛手ではないですが、転学や進学など、大きな規模感のことになってくると、単にお金や時間の無駄、というだけでなく、親子共に精神的に摩耗してしまいます

通信制学校の職員と話していると、「簡単なレポートすら、自分からやらなくて…声をかけても反応は薄いし…もうどうしていいやら」と悩む親御さんは珍しくないようですし、子どもにとっても、「環境が変わってもうまくできない自分」という現実に直面することで、自己肯定感がさらに低下してしまう危険性があります。

確かに、現状の全日制学校のシステムは完璧なものではなく、合わない子どもたちはいます。
しかし、「学校に合わない子もいるんだよ、あなたがダメなわけじゃない。大丈夫だよ。」と言葉で伝えても、たった1回で「そうか!じゃあ僕もいろんなことにチャレンジしよう!」と前向きに状況を捉えて、自ら動ける子はそうそういません。
「そんなのは慰めだ。現に他の子は通えている。自分はダメなんだ。」という劣等感のような思いを抱えている子どもが多いのが現状です。

ここを払拭して、「なんだ、自分はダメじゃない、環境が合わなかっただけじゃないか。自分は本当はできるんだ」と思い、自らやりたいことに向き合って、動き出すには、「ここでなら、これならできる」という本人の経験や思いが、何より大切なのです。

だからこそ、大人側がすべきことは、「その子に合った場所・モノ・コト」を的確に選び、支援することです。
子どもにとって、適切な環境や刺激を選び、支援することができれば、「自分は今まではうまくいかなかったけど、ここでなら!これなら!」という気持ちが芽生え、好奇心を持って自ら動く力が育っていきます。

そのためには、親御さんが一人で判断するよりも、専門家と相談しながら、どういった刺激や環境がその子にとって最適なのか、家ではどう支援をしていくのがいいかを見極めていくことが必要です。
「何もしないのは不安だから」「在籍校ではうまくいかなかったから」という消極的な理由だけで、子どもに与える場所・モノ・コトを考えるのは、お金・時間・メンタル…すべての面で危険を伴いますし、消極的な理由だけに頼った選択肢は、親子共にどうしても期待感が低くなってしまい、良い変化を生みにくいのです。

ですから、たとえば転学先や進学先を考える際も、「出席日数が足りないから仕方なく」「毎日通うのはこの子には無理だから」という消極的な理由ではなく、「ここなら自分は、この子は頑張っていける」という前向きな期待感を持って選択することが重要ですし、さらには、選択肢を広く見ることも大切です。
「今の在籍校」ももちろん、お子さんが身を置く、環境の選択肢の一つではありますが、通信制やフリースクール、場合によってはホームスクーリングなど、様々な選択肢をフラットに検討し、お子さんの特性や興味に合った方法を見つけることが必要です。

ただし、「子どもに選ばせる」という名目で、たとえばいくつかの学校のパンフレットを並べて「どこに行きたい?」「何がしたい?」と聞くだけでは不十分です。これは、転学や進学に限らず、日々の学習(教材選定)や外出先でも同じことが言えます。

というのも、大人とは違って、まだ成長段階の子どもは自己分析が難しく、何が自分に合っているのか、自分は何ならできるのか…を一人で判断するのは容易ではありません
実際に子どもと見学に行ったり感想を聞いたりすることはもちろん大切ですが、それ以前に、お子さんの特性や、何に対して好奇心が働くのかといった部分を、大人もしっかりとサポートしながら分析していく必要があります。

教育費の増加は避けられない現実かもしれませんが、だからこそ、その投資が効果的なものとなるよう、慎重に判断し、適切な選択をしていくことが重要です。
そのためには、親御さんの役割は非常に大きいといえるでしょう。


私、「不登校を想う現役教師・れい」の運営しているLINEでは、主に不登校や五月雨登校でお悩みの親御さんに向けて、「子ども自ら動き出す」ために親御さんが知るべき情報や考え方を発信しています!


読んだ親御さんからのお声🗣️

👱🏻‍♀️「今まで本を読んだり、SNSで情報収集をしたりしても、一方通行の情報なのでやり方も自己流で本当にこのやり方でいいのかわからないでいた。一回誰かに相談したり、カウンセリングを受けようと思ったがなかなか一歩を踏み出せずにいたなかで、れいさんの考えには腹落ち感があった。」
 
👩🏻‍🦱「れい先生にもう少しだけ早くお会いできていたら‥と感じました。偏った見方ではなく、広い視野で多角的にみていらっしゃるなー、やっぱりステキな先生だなーと感じました。」

……ぜひこちらからどうぞ。もちろん、全て無料読めます。

いいなと思ったら応援しよう!