刑事事件としての時効。
名誉毀損罪と侮辱罪は親告罪です。
自分で「告訴」もしくは「被害の申告」がないと、警察は捜査してくれません(そもそも現状では、発信者が特定できていようとも、警察は告訴状の受理に及び腰ですが…)
なので、刑事事件として捜査してもらい裁いてもらいたい場合は、何らかの形で「被害の申告」をしなければなりません。
ただ、ここで問題となるのが時効。かなり早いです。
DMでご相談いただいた方も、発信者の特定に成功し、民事訴訟を提訴したとのこと。書き込みが止まないため、刑事告訴をしようとしたところ「申告期間」や「公訴時効」が過ぎていたと…
まず「申告期間」とは、そのまま、被害者による被害の申告の期間(告訴の時効のこと)です。
申告方法は、実際に警察に行って申告し、被害届を作成してもらうこともできますが、告訴状の提出がオススメです。
と言うのも、犯罪捜査規範上、「被害届」は受理しても捜査するか、しないかは警察の裁量次第。捜査義務は生じず、被害者への捜査結果報告義務もありません。つまり、被害届は作成してくれても、実際に操作してくれるかは分かりません。
ですが、「告訴状」。
こちらに関しては、受理した以上、捜査義務が生じ、被害者へ捜査の結果どうなったかの結果報告の義務があります。なので、告訴状を提出することをおすすめします。
さて、本題の時効。
名誉毀損罪…「犯人を知った日」から6ヶ月以内。
侮辱罪…「犯人を知った日」から6ヶ月以内。
共に「犯人を知った日」とは、実際に発信者情報開示請求等により犯人が判明した時点の認識でいいかと思います。犯人を知ってから半年。かなり短いですね。刑事告訴をしたくて犯人を特定できた場合は、すぐに告訴の準備を始めましょう。
また、時効には「公訴時効」というものもあり、これは、「警察の捜査が終わって、検察が起訴するまでの期限」のことです。いくら告訴が済んでいても、警察の捜査等に時間を要して、警察から検察への送致が遅くなった場合、検察は起訴できなくなります。
名誉毀損罪の公訴時効は、書き込みをされてから3年以内。
侮辱罪の公訴時効は、書き込みをされてから半年以内。
つまり、発信者(犯人)が特定できてから、かなり迅速に、告訴→捜査→送検ができないと、公訴時効が切れて、告訴した意味がなくなります。
現に私は警察の不手際によって、侮辱罪に関しては公訴時効が切れ、検察から諦めてくれ、と言われました。かろうじて、名誉毀損罪の方の書き込みがあったので、良かったですが…
お金をかけて、手間をかけて、精神的苦痛を負い、開示請求をしても、警察の不手際により、刑事告訴ができない場合もあります。
芸能人の「はるかぜちゃん」も、当時、発信者を特定し、管轄警察署へ告訴状を提出に行ったが、受理してもらえず話題になっていましたよね。
私も全く同じ状況で、県警本部に告訴したり、検察庁へ直告したり、都道府県の警察公安委員会へ苦情申出を行ったりもして、やっと受理してもらえました。そのときには、侮辱罪の「公訴時効」は過ぎていましたが…
このお話と苦情申出の制度については、また次回。
Rei