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(メモ)Vtuber登龍門特別対談の内容を自分用にメモ
(この内容はあくまでもメモです。当該対談動画の内容を引用などされる方は、必ず元の動画にあたってください。)
・岩永太貴 「にじさんじ」運営のいちから株式会社(現:ANYCOLOR株式会社)元最高執行責任者
☆松田純治 世界初のバーチャルYouTuber「キズナアイ」共同原案者
☆田中良典 VTuber史上二人目の登録者100万人突破した「輝夜月」発案者
☆酒井聖 VTuber向けのハイクオリティな素材を提供する「うさねこメモリー」代表
☆松本貴雄 「輝夜月」制作陣の一人にして「VTuber登龍門」発起人
・やみえん
(前編)
・やみえんさんと岩永氏が始めて会ったのはゲームショー。
・やみえんさんはニコニコの将棋板でいわなが氏がネタにされている時から見ていた。そのため、文化に詳しいかはともかく、「Vtuberができた経緯」は話すことができるはず
・やみえんさんが昨今気になるのは「方向性の違いでやめていく人がバタバタ出る」状況。その「方向性」の違いはなんだろうと一視聴者として思う。
◎最初に、Vtuberの文化ができたところから始めるため、社長らの当時の想いを語る。(ピュアだったあの時)
・松田さん(キズナアイ) もともとビジネスっていう感じでは初めてなかった。今のいわゆる「配信型」のVtuberとは違って、当時(2016~8年頃)は動画投稿者の側面が強かった。かつ「存在」みたいなものを作りたかった。今はどっちかというと中の人に紐づく、属人的な文化。それよりは仮想の存在を作りたかった。結構違う方向に進化したなあという印象。例えば中の人が変わったら、違う人になるみたいな、アバターを通して中の人を消費すると思うが、ドラえもんは声が変わってもドラえもん。
自分は「人じゃない何者かに声をかけられる尊さ」みたいなものを感じたかった。最初はプロモーションも何もせず始めたので、1カ月くらい無風だったが、海外でバズって10万人いくまでほとんど海外の方だった。
(田中さん 「なんか・・・綺麗なこと言うのやめません?千年続くものが作りたかったっていう・・・」)
松田さん 自分はエロゲ―がめちゃくちゃ好きで、二次元の女の子に恋したことがある。でも二次元の女の子はスクリプト通りの事しか喋らない。でもその二次元の女の子が「松田くん」とか言ってくれたらめっちゃエモいと思った。
(やみえん「エロいだろ・・・」)
(田中さん「永遠を求めていたよね」)
松田さん Googleの人にもインタビューされたけど、一番売れているIPってイエスキリストだと思う。1番売れている書籍って聖書。
新しいイエス・キリストを作りたいと思ったんです。今、インターネット上の神様っていないんですよね。そこに食い込めるんじゃないかなって兆しは思っていました。最初。
・田中さん(輝夜月) 前提として、輝夜月って存在にはエンジンが3つ搭載されている。
◎自分
◎絵師さん
◎魂
そのため自分の口から語れるのは3分の1なんですね。なので自分が語りたかったことを口にする。
その前提で語ると「どう人類を仮想空間に導くか」と思って生み出した。今から7年前って、Vtuberやメタバースって言うと通じる。でも当時なかった。アバターを着た有名人をたくさん量産して、その上で何かしら仮想空間で興行をして、一般のユーザーがそこにログインする動機をつくりたいんだと考えていた。
実際に、アイちゃんがメジャーカルチャーだとしたら、輝夜月はカウンターカルチャーをやるんだといって、ずっと逆のことをやった。キズナアイがスタートアップなら、輝夜月は調達をせず大手と組む。片方どっちかが消えたとしても、片方が残ったら「アバターを着た有名人」というジャンルは形成できるんじゃないかと考えていた。そこからいろいろあったが、にじさんじやホロライブができる過程で、もともと言っていたアバターを着た有名人が当たり前になる世の中っていうのは達成できた一方で、作りたかった仮想空間というのは、思ったよりもトップダウンでメタバースが消費されたりとか、予想していなかったVtuberが芸能化して、中の魂に価値がついてしまったということがあって、結果的に自分は行きたかったゴールには行けなかった。
そこから、描けそうなものがあるから、こうした番組にでているということになる。
・松田さん 大きく変わったのはにじさんじさんとかの台頭。
・岩永さん にじさんじはそもそもLive2Dで世界をいっぱいにしようとしたプロジェクトではなくて、今でいうIRIAMとか、REALITYみたいなライブ配信アプリを作ろうとしていた。どちらかというとプロダクト的な考え方が強くて、あるいはどういうテクノロジーをつかうかという。それは現ANY COLORの田角がそういう思想が強い。
最初はそういうプラットフォームを作ろうとしていて、最初「にじさんじ公式バーチャルライバー」という、「にじさんじ公式アプリの公式配信者を自社で運営しています」という言い方をしていた。その、タレント事業がこっちの方が売り上げがつくし、こっちでやったほうがよくない?ってなって事務所になった背景があるので、Live2DのVtuberをたくさん排出してやろうからは始まってない。そこらへんのカフェで女子高生たちが配信して、カフェ代ちょっと稼げちゃったみたいな。そういうプラットフォームみたいな。
だからそもそも、3Dに対抗してLive2Dをやろうというのでもない。ただ、事務所をやるときにlive2Dの強みを生かしていこうというのは考えた。
「たくさんのタレントがいるからできるタレントコミュニティ」とかいうビジネス展開は考えていた。そして僕は、2Dでも3Dでもライブ配信だったらそんなに体験変わらないと思っていた。
ニコニコ生配信やニコニコ動画もそうだが、キャラクターを動いていない立ち絵で自分のイメージキャラとして運用して・・・お金になっていなくてもファンがついている人はたくさんいたので、絵を偶像化して人気がでるという方式は仮説検証済みと思っていた。2016~7年の時点で。
YouTubeの方が活動者がマネタイズをしたいという意味では使いやすいと思ったし、2017年は実写の人たちも爆伸びしていたタイミングで、YouTubeのアルゴリズムも若干誘導されていたような気がしていた。
田中さん 「最初馬鹿叩かれてたやんLive2D」
当時の人たちは3Dで仮想空間に行くという思考の人が多くて、「絵をつけただけの配信者は見たくないんだよ」と言っていた。「ニコ生主と何が違うの?」と。でも僕もニコ生主に絵をつけただけと思っている・・・
・やみえん 今は、VtuberとLive2Dでやるっていうのはマジで違わないと思います。それこそキズナアイさんとか、僕が好きだったのは鳩羽つぐさん。ああいうのをみて、バーチャルの存在が現実に浸食してくるんじゃないか。あるいは自分たちもそのバーチャルな存在と対話できるようになるんじゃないかっていうのに期待して結構見ていた。
それから2014年から自分も配信をやっているが、配信者の名前のままでアバターをもってやる人も増えて、いい意味で変わらない状況になったなというのは感じていますね。
荒木さん 声優の中でもVtuberになる人が多かったんですが、キャラクターとしては人気がでても、中の声優としては人気にならなかったので、すごく病んでいる人が多かった。それは今は違う?
・自分が理想と思っているのはキズナアイと春日望さんの関係が一番いいと思う。「AIのキズナアイに声を提供しています。」と明文化されている状態が理想だなと思うんですけども、今は中のひとが丸わかりというか、もしくは名義を完全に隠してやってらっしゃることが多いのかなと。
ぼくはVtuberというか、バーチャルの体を持っています。やみえんV。
これはVtuberを名乗る気はなくて、バーチャルのアバターを着ている。なぜならば僕は現実に存在していて、みんなと話ができるから、いくら頑張ってもVtuberという架空の存在には僕は絶対になれないから、キャラクターではない以上。僕にとっては分水嶺があるけれども、世間一般はないのかなという。
ナレーターさん 自分のまま演じていた方が楽ですか?
やみえん 僕はお芝居をしていたので、演じていた方が楽です。ただ、同時進行でタレントビジネスというか、配信者としてのビジネスをやっているので、配信者としての道を考えるならば、今少なくとも3Dの体を持っていることに意義があると思って。
・松田さん 今のVtuber事務所って、キャラクターであれって思っているところほぼないんじゃないかと思います。
「この子はキャラクターなので飯は食べません!」みたいなよくわからないこだわりを押し付ける必要はないので・・・。君は女子高生じゃないとダメとかしなくていいので、その方がその子の好きなことを伸ばせるというか。
荒木さん じゃあなんで、さっきやみえんさんがおっしゃった「方向性の違い」が起こるんですか?
松田さん それはキャラクターの行動に対する方向性の違いというよりも、活動とか、アイドル活動したくないけどアイドルやれとか、リアルな人でも起こりえること。
やみえん ただVtuberの特異なところとして、アイドル的な売り方であったり、ストリーマー的な売り方であったり、キャラクターコンテンツ的な売り方と3つに分かれると思っていて。タレントはキャラクターとして売りたい、でも事務所はアイドルやストリーマー的なのを望んでいるかもしれない。あるいは事務所がアイドル的な稼働(ボイス取ってくださいとか)をしてくるから、ストリーマーじゃないのでやめていくとか。
あるいは、3Dの体でアイドルとして歌いたい、けど3Dの体までの道のりが長い。ストリーマーとしてやりたいわけじゃない。だからやめます。
みたいなのがあると思います。
松田さん そこってこう、どうやって解消したらいいと思います?
そこって、今もやめる人が多いですけど、会社も市場の遍歴によって変わるわけじゃないですか。会社のこれやろうあれやろうって組織の状況によってかわってくるので。それがプレイヤーの方のタイミングとマッチしなかったってことなのかな?
やみえん そうだと思います。仮称ですけど、A社B社C社があったとします。Cの会社は今はアイドル売りをしているけど、もともとはストリーマー路線でやっている、A社はコンテンツ売りをしたかったけど最近ストリーマー路線に転向している。B社はストリーマー路線でめちゃくちゃ伸びているとか。時代の流れがそうさせているというのがあるとおもいますね。
(中編)
・松田さん たとえば昔はショート動画みたいなものはなかったけれど、今はショート動画を作らなきゃねということになって、やらないといけないことはどんどん変わっていくと思う。そこって、プレイヤー目線でどうなんでしょうね?
・やみえん これは人によると思う。自分はコンカフェのプロデュースをしているだけあって、割かしビジネス寄りの見方もしている部類だと思う。
会社の全員を食べさせようと思ったら、当然収益を出さなければいけない。上場なんてすれば、株主を納得させることも必要だし、資金調達をする必要もあるしって背景がわかるから、わかるけど、結局社会人経験や経営の経験がある人が多いわけではないので。タレントの人たちは。
そこの乖離は広がっていくと思う。
・松田さん 一緒にやっている側としては、同じ夢を追えるのだったら追いたい。そこってどう解消すればいいとかあるんですかね?
・やみえん 一番簡単なのは「会社が私を見ている」と思ってもらえること。例えば現役のプレイヤーとして活動している人が、「私はこの方向性」でやりたいけど、会社からふられる案件がこういうのだとか、会社からこうしてくださいと言われるが増えるとやっぱり離れていっちゃうものだと思っていて。
「あなたは●●というのがやりたいですよね。でも今手元に●●しかなくて、今はこれをお願いします」という一言があればうまくいくという印象があって。
・酒井聖さん「つまるところマネジメント?」
・田中さん 自分はマネジメント以前のところが大きいと思っていて、つまり「配信とはなに?」ということ。歴史をみたら、番組ってテレビ局が限られたチャンネルで予算をかけて互いの事務所が政治力を書けて誰を出すのかってのをしのぎ合ってた歴史がある。
だから、タレントは競争があるから、テレビに出るために我慢しようという考えがあったわけで、でも今は個人で無数にチャンネルを持てちゃう時代。そう思った時に、本当に才能や力がある人って政治力って必要なんだっけとか、そういう時代における裏方の仕事って何?って思っていて。
そもそも論、変な話だが「事務所って本当にこの先いるの?」ってこと。
岩永さん「タレント事務所よりも、明らかにビジネスマン側のバリューを出しづらくなっている。」
・田中さん 裏方に向けて話すなら、「こっち(裏方)のバリューをどう築き上げるのか」と言う話はした方がいい。今まで通りどうタレントをマネジメントするかよりも、どうタレントに選んでもらえるかの価値創出ができていない。
やみえん 箱というものが欲しいけど事務所が欲しくない人がいたりする。
あるいは事務所という存在にプロデュース能力を期待している人が多い。
この二つですね、乖離する理由は。マネジメントって言っても、家にいて、
ずっとお金が稼げる状態なら究極マネジメントされる必要もないし。
「私にどういう魅力があって、私がこの先どうやってこの戦いを凌いでいけばいいのか」相談し合える相手が事務所って思っている人は結構いる。
荒木さん(司会) やみえんさん個人としては、箱にいる時と、今の状態ではどっちがいいですか?
やみえん 一長一短があるんでどちらとはいえないですけど、僕は自分の価値基準を自分で決めるのが苦手な方。だから「あなたこういう魅力がありますよ」「こうやるといいですよ」って言われた方が楽。だから今は迷走している段階だと言っていい。配信業としてこの先ないなって、はっきり言っている段階。全然自分に期待してないんですね。
事務所と言うかプロデューサーがついたら違うんだろうけど、事務的な業務だけお願いしたいという。けど・・・マネジメント必要かもしれないです。案件引っ張ってきてほしい。
荒木さん ブレーンがある方がいいんですね。ブレーンがしっかりしていれば、事務所としての意味もかなり強い?
やみえん そういうタイプだけれども、かなり珍しいタイプだと思います。
松田さん タレントさんによってニーズが違うってことですよね?
酒井さん 混ぜて管理するって可能?
岩永さん 混ぜてはやばい・・・
やみえん 結局・・・無理なんです。この結論無理なんです。
企業側の言い分というのもわかるから。
荒木さん 事務所がしっかり色を出していれば、迷える子羊はいなくなるってことですか?
田中さん いや、はっきり言えば、構造が破綻している。無理だよ。
そもそもテレビじゃなくて、エンパワーを強められるからGoogleが金出してYouTubeを解放しているの。そのエンパワーの時代に何を持つの俺らは?ってのがあって。このまま長引かせたところで崩壊しかないって思っている。
まあ、そこに対して問題提起をして意味があると思うからここに座っている。
やみえん 結局、時代の流れが変わったら事務所の方針も変わるし、タレントの方向性をそれに適合させないと事務所として生き残れない。従業員も首にすることになるし、資金調達ができなくなってやってたことができなくなるし。タレントに対して逆に無理なお願いをする立場になるかもしれない。お金をあげるためにって。
すると、時代に合わせて流動的に会社の経営方針を変えなくちゃならなくて、それを変えると方向性が違うって意見が頻発してしまうってこと。
荒木さん そうやって離れた人が個人でやっているってのが多いですよね。
やみえん そうだと思います。
松田さん それはそれで、両者にとって寂しいけれどもいいことなのかもしれないですよね。そっちに行くんだったらバスおりますみたいな。
やみえん 正直代謝がいい方が健全って言いますしタレントビジネス。
荒木さん 芸能人だと引退に近いところも多いのに、vtuberだと転生っていう新しい・・・
松田さん 難しいですけどね。名義がつかえなくなるってのも芸能人の方でもありますけれども。
やみえん それも裁判とかで結局、勝って名前を使えるってのもありますけれどもね。
荒木さん 転生って・・・企業側からしたらどうなんですか?
松田さん どうなんですかね・・・ダメじゃないと思います。
荒木さん 契約書にないんですか?同じ絵師さんはやめてねとか。
松田さん ないと思います。知っているかぎりないと思います。
岩永さん 法的には縛れなさそう。
荒木さん 半年活動しないでとかも書かない?
松田さん それは書かないけれども、ほぼ効力がないみたいな。
どこの事務所でも契約書に書くんですかね?
岩永さん どこでも書んでしょうけど。ほとんど効力ないというか、書いておいて守ってくれればラッキーというか。最後、職業選択の自由が憲法で保証されている以上は限界はあります。
荒木さん アバターとか過去の名前を使うことは絶対ダメですよね。
松田さん におわせることは多分グレー。本当は私これやってましたっていうのは言わないでくださいねって秘密保持契約の中にそれが入っている
荒木さん 履歴書に書けないんですよね?
岩永さん 公共の場で広くいわないでねは多分守秘義務的にいけるかもしれないですけど。におわせとかクローズドな場所だったら、本当にぶちぎれるとなった時に、実害を証明しないと多分止めることはできないと思うんで。
お客さんをごっそり取られたとかを証明しなくてはいけない。
実際問題はかなり、企業側の方が苦しいと思います。
ユニークなAさんがそのままこっち(個人勢など)に移動したっていうのを証明するのはかなり厳しい。
田中さん 事務所側の都合も言ったほうがいいなと思って。この問題ってどれだけ話してもまとまりがつかないじゃないですか。これの答えを出そうとするのが意味がないと思っていて。なぜ転生がおきるのかって言う時に事務所側、資本主義社会の構造の都合が語られてないし、利害関係、ステークホルダー、お金稼ぎしている人たちなんで社会的に法律的にも難しいんですけど、そこよりも本当はアバターとかVtuberはどうして素敵なんだっけという話をした方が番組として良くて。
ちなみにうちは過去やっていた人たちも別名義でやってきていて、うちは別にそこはノータッチでやっていて。昔輝夜月やっていましたって言っていいほどノータッチなんですよ。
「やめたいです」って言われたときも基本的に止めたいと思わなかったんですね。いろいろ刺されましたけれども。
でもその時にこの二人にも話していたのが、アバターって何かの可能性を拡大させる装置であって何かを閉じ込めるものであってほしくないって思いがあるんですよ。
アバターの権利とかわかるんですよ。俺も会社やっているし、譲渡しずらいし、会社が倒産したらオークションにかけられるとかあるんですよ。でもこう、企業の圧とか権利で縛るというのは、結果的に業界の寿命が削れるだけじゃないかなと思っていて。
たまたまYoutubeって装置があって、資本主義で調達受けて、株主に説明しなくてはいけない会社っていうのがチグハグしている。
今、なんかちっちゃいvtuber事務所が大量に作られて消えていくっていうのがあるんですね。そこで調達受けて全部レッドオーシャン化して跳ねないし、跳ねないからタレントもやめますって言ってもなんか、どうやって資本主義構造で借りちゃったからどうしようってなっちゃっている子がいっぱいいるって話。闇というかそういうのも聞いていて、今、調達受けて、事務所立ててイグジットできると思う?これ裏方に向けてやるんだったらちゃんと言っておかないと。
岩永さん 結論・・・かなり難しい、が、ちょっと話飛躍しちゃうけど、若手の起業家からすると、今スマホバブルみたいなのがなさすぎて、それでAIはしんどいみたいだな、企業は、ドメインなさすぎ問題があって。
その中で僕らが生かせるのはSNSとかYouTubeだってなっちゃう。
ちょっと、時代のせいっちゃ時代のせいってのもありますね。
田中さん ちょっと、企業側のなんか悩みとか辛さとか、あと人からお金借りたあとどういう追い込まれ方するかとかもあんまり語られないじゃないですか。結構、事務所も事務所で苦しい人もいっぱいいるだろうなとオレは思っていて。事務所側もどうするべきなんだろうって考えている。
タレントだけじゃなくて、事務所側まで考えないともう全く解決されない問題になっていると思う。
やみえん それは構造的な話なのか、事務所がタレントに対してお願いしたい話みたいな?
田中さん 構造的な話ですね、どちらかというと。そこに所属するということは少なからず、だってタレントからしたら知らねえよって話ですけど、イグジットしなきゃいけないんですよ。人からお金借りたと。
イグジットするために作られた事務所であるって、理解している?って。イグジットのために何かやるってことは、その活動がある程度お願いされたり強制されたりする可能性が高くなるってことじゃないですか。もうちょっとそれもこう、知見として広めた方がいいと思うんですよね。
岩永さん その話のレベルとして、もはや全然辿りついていないと思っていて。たとえばやみえんさんが言っていた、Vtuberの活動スタイルって大体3種類あるよねという話も。従業員100人とかいたら、大体80人くらいピンと来てないですよね。
そのなかで何とかしなきゃいけないっていうところがあるんですよね。
そもそもだから、やろうとしている人の知識不足や解像度不足も僕はこう問題になっているなと思っていて。
やみえん Vtuberであることによく起こるのが、初期投資の高さにあると思うんですよね。他のタレントビジネスに対して圧倒的にイラスト、キャラクターデザインというものが必要だし、3DモデルやLive2Dというのが必要だし、めちゃめちゃ1人に対してコストがかかる。
それを調達しなきゃいけないっていうのがひずみになっているなと思いますね。
それをコーティングするものをパッケージとして用意しなくちゃいけない。そのパッケージに10万から100万円下手したら1000万円かかる可能性がある
松田さん それがあるから、よけいにそのやっぱりこっちからタレントさんを契約するのって投資にちかそうですよね。エンジェル投資というか、100万や200万はるじゃないですか。
岩永さん 最低100万円。ゲーミングPCとかまで言い出したらね。最低。
松田 確かに、プロダクト・・・あえてプロダクトという言い方をしますが、十分魅力的になったのでやめますみたいなのはマジかって風になりますよ。余計に。
そこの出資率がある程度自分で出せるようになったら変わるかもしれませんよね。アバターの制作コストって持ち合いましょう的な。制作委員会方式なんていうのもあるかもしれない。
やみえん 極論、すでに売れている人たちなんて自分のお金なんて返しているじゃないですか。今から入る子はこれから返さなくちゃいけない。稼いだお金が使われて嫌がるっていうのを、いやそれわかっとけよ、こっちもそういうもんだろっていうのが、それがインターネットのお金稼ぎというものに対する嫌儲といいますか。
田中 それって一般企業でいうと、頑張って稼いだのをやっても最終的に将来管理職とかなんかセカンドキャリア昇給ができるからこの会社に自分が貢献しようっていう帰属意識をもったりするパターンがあるじゃないですか。
芸能とかVtuberってセカンドキャリアがないから上がり切らないといけないと思うんですよ。
やみえん そうですね、あがり切ったら落ちていくかもしれない。
田中さん だから、本来自分が稼いだお金は自分に投資してほしいと思うのは当然だと思うんですよ。やっぱり構造問題だと思っている。誰も悪くない。
岩永さん 実際再投資をするんだけども、それがおろそかになっているのはすごく多いと思っていて、「これ上の奴が損しすぎているだろ」っていうのもあるし、それをタレントがどれくらい怒っているのかも疑問で。
長くこうタレントを扱うビジネスの中で、1タレントでもいいです、1従業員でもいですけれども、こういうことしたいと言った時に、それを売れている人の前で言えるか?と。
自分は常にそういうことを想うようにしている。売れている人が大損していないかって。フィルターを通してから言うようにしているんですよ。従業員がそういう意識が根付いて意思決定ができているかってあんまり怪しくて。
田中さん 売れている人がLPになる世界ね・・・
岩永さん 売れている人のお金を預かって、将来売れている人がこう勢い亡くなった時に、こうシナジーを生んでこう再浮上をするという意識でやり続けなくちゃいけない。
荒木さん 売れている側は「私のお金で食わせてやってるんだ」と思いがち
岩永さん みんなが思っていないと成立しないし。
やみえん それでやめるの損だなと思いますけどね。
荒木さん 周りの知っている方にVtuberに対する不満や不安はありますか?
やみえん さっきの逆で売れている人にコストをかけて再投資していく、どんどんお金を生み出していく・・・というのを重視しているように見えてしまい、「結局事務所は私の事見てくれない」となって、病んで活動しなくなる、活動しなくなると数字が落ちていく、数字が落ちていくと運営に見てもらえないで悪循環になってやめていく。そういう負のサイクルができている。
酒井さん 逆のポジティヴな話はないですか?すべてがネガティヴにしか聞こえていない。
やみえん 逆の話は・・・不満がないというのが多いですね。
荒木さん さみしい・・・
やみえん 結局、自分がここにいなかったらここまで(大きく)なることはなかったし、この箱にいることで、たまたまこの箱を見ていた人が、(動画や配信を)見てくれる。流入口が広がるってのがある。
岩永さん 居心地の良さ的な・・・
やみえん 居心地の良さは正直、現場の人に依存する部分がかなり大きくて、運営の人たちの動きで居心地いいなって意見を聞くことはあまりない。
酒井さん なお大変ですね・・・
やみえん 結局マネジメントって部分ですし、マネジメントの部分で破綻が生まれちゃうと、どんどん崩れていくというのがあるかもしれない。
荒木さん ではここで、Vtuber登竜門という箱を作った松本さんに・・・
松本さん これまで聞いてきたことは、僕は聞いてきたことで、そこまで言うことはないと思いつつ、「土壌づくり」だと思っていて。そもそも箱作りって。
畑でたとえますけど、どれだけマインドセットだったり、うちではこうだよっていうルールだったりとか、それは各々が持っていく、しかもタレントさんと理解を取ったうえでできるの?っていうのが一番かなあと思うので。
やみえん うちもコンカフェプロデュースしている身で、2次元の女の子が話しかけてくれたら興奮するって言うのと近くて、百合っていう、女性同士の恋愛感情とか友愛を歌ったコンテンツが結構すきなんですけど、それを。女性の従業員が多いんですけど、お客さんも女性で。今女の子の推しを推すみたいな。韓国KPOP。フルーツジッパーとか=LOVEとか、女の子が結構、男性が運営する、女性が接客するコンカフェがない。男性向けで女性がいるだけで、女性向けに売り出しているところはないから、飛び込んだんですけど。
で、箱の話に戻るんですけど、最初の1,2カ月ぐらいグダグダだったんですけど、うちルールを明確に決めてないんですよ。これやってくださいとかこれをやらないでくださいとか決めていなくて。「これをやったらうれしい」「なぜならこうだから」「これをやったら悲しい」「なぜならこうだから」としかやってないんですよ。
お客さんにドリンクもらったら乾杯してお礼を言うとうれしい。なんでうれしいかっていうとお客さんがうれしいとまたこのお店楽しいってきてくれるかもしれない、っていうマインドセットだけをひたすら言ってて。
岩永さん スタバみたい。
やみえん そういうマインドセットを共有することで、初期生みたいなのができて、このお店はこういうお店だよねって空気を共有してくれると思っていて。それに合わせて後から来た子も動いてくれるから、結果ルールが生まれる。
松本さん うまくいく事務所さんのことを聞くんですけどそういうところはそういうマインドセットが共有されている。たとえば松田さんだったら「二次元の女の子に名前を読んでほしい」というところだったら、例えば、リスナーも感じたいよね、そしたらリスナーの名前を読んであげてねみたいなところなんですけど。
エンタメ=接客みたいな場所で、そういうのを共有したうえでやってもらいたい。で、構造みたいなものはある種破綻しているとは思うんですけど、別にサークルも破綻しているけどうまくいっているところはあるけど、うまくいっているところは、マインドセットがあるからうまく成功している部分もあるのかなとは思います。
田中さん マインドセット作る上で大事なのってフォーマットだと思うんだよね。要はコンカフェさんだったら1vs1で接客、そしてドリンクっていうのがあるじゃないですか。アイドルも歌って踊ってとか事務所によっている。
Vtuberのちょっと難しいところは、フォーマットが違うということ。
だから先輩の1期生がカルチャーを作っていても、2期生が「私はゲームがやりたいから別にいいんだよね」と言ったらそれで終わりになるんだよね。
だから提供するフォーマットが、そこを提供するしないの判断はあるんだけれど、そ子を作る難易度上がるとは思いますね。
やみえん ぶいすぽっ!さんがすごいとんとん拍子・・・前途はあったとはいえすごくストリーマー路線で固まっているのは、方向性が完全に固まっているから。
松田さん たしかにぶいすぽっ!さんだったら、ストリーマーでかつうまい女の子がいますみたいな。ユーザーもわかりやすいみたいな。
やみえん あったとして成功することが確定ではないという・・・
荒木 実際にぶいすぽっ!さんみたいな同じコンセプトのグループは立ち上がりはしたんですけれど、なかなか・・・
やみえん バーチャル声優プロダクションとか。Vtuberとしての名義があるけれども、その子たちを声優として売り出そうという。CM起用したりゲームコンテンツをさせたりっていうのは結構あって。でも有名なところが出てきてないというのもあったりするし。
田中さん これはやみえんさんと話したいんですけれども、今ワンオンワンのサービスをバーチャルでやろうとして頑張っていて、ワンオンワンとか接客って、1対多よりも再現性作れると思いませんか?
やみえん そうですね。僕コールセンター勤務が長かったんですよ。何か条みたいのがあって、結局その人たちはお客様満足度が高い。
田中さん Vtuber、タレント、芸能界って俺は再現性本当にないんじゃないかって思っていて。
やみえん なんかね・・・メソッドみたいなのはあると思うんですよ。防御力を高める方法はあると思うんですけど、こっちから攻撃するってのは難しい盤面だなと思いますね。
田中さん 仮にかなり有名なアーティストをプロデュースした音楽の人も、その人もう一人作れと言われたら作れないというんですよね。みんなやっぱり。これが、再現性がないからお金の投資で紐づくことがないので、セカンドキャリアに結びつかないっていう風に全部結びついていくんだよね。
やみえん そういう意味では転生なんてしない方がいいだろって思いますもん。再現性の観点から言えば。
岩永さん 全部リセットされちゃうから。
松田さん それでいうと、最近転生された事例で、成功した事例もあるっちゃあるじゃないですか。ファンって絶対、どんなに名義を変えても見つけてくる。
やみえん それって難しいところがあって、魂に依存しないキャラクターを作りたいっておっしゃっていた部分があったけれども、今は魂依存になっている。僕は逆と言うか、両方がないと成立しないものがあると思っていて。
タレント側も「自分卒業しても全然やっていけるわ」と思っていたら絶対痛い目を見るし、事務者側もキャラクターがあるから人気だと、キャラクターを後ろ盾に拘束し続けられるんだと思ったら痛い目を見る。
結構両方がないとうまくいかないものがあるというのは確かだと思います。
今やめている人は、よっぽどの事情があってやめているか、自分に自信があって辞めているかのどっちかだと思います。
田中さん タレント個人と事務所っていうのを俯瞰した時に、業界の寿命っていうのがあると思うんですね。この転生って業界にどう影響すると思いますか?この転生って簡単に言うと、事務所からするとお金かけづらくなるんですよ。つまり資本主義社会におけるその業界に、オトナのお金が落ちづらくなるって要因がワンちゃんあると思って、その業界の寿命に影響があると思います?
やみえん あると思います。というかないとは言えないというか。
じゃあ長くいてほしいと思った時に未来の案件を取ってきて、1年後この案件があるのでやめないでくださいねとか、結構芸能ビジネスでありがちなんですね。ずるずるいてもらうようになったり。
辞めるからコストを下げるてのがあれば、「自分のことを見てくれない」って話しにもなるし。「めちゃくちゃ働かされているな自分」っていうか。っでもこれってネガティヴな面もポジティブな面もあって、逆に寿命が長くなる可能性もある。
松田さん 確かにオトナがお金をかけにくい状況はあって、新しい人が入りずらい状況が企業側もプレイヤー側にもあると思っていて。
やみえん メリットとしていうなら、オトナが一人への適正コストを見出せているともいうことができる。長期のスキームとしては、売れるための体系ができているともいえるから、こういう意味で寿命が長くなっている可能性もある。一概にどっちもといえない。
酒井さん 100年は続いてほしい。なんか、聞いていて思ったのは、どっちもどっちというか、答えはでないじゃないですか。人材の売り手と買い手みたいな感じで、一生定まらないじゃないですか。だからそこは心配はないんですけど。どっちかというと、一番面白くないのはみんな個人になっちゃえばいいじゃんという未来というか。
箱があったからこそ業界が伸びる速度は速くなったわけで、その箱がなくなると寂しいなって。
松田さん 横に広がる分には転生しても広がるんですよ。縦が難しいと思っていて。何かVtuberについて催しがあって「すげー!」って機会って減っちゃうと思っていて。会社だからできる、グループだからできるものっていうのがあると思っていて。そのチャンスが、転生みたいなものを容認しすぎるとリスクが上がってしまうと思っていて、その観点でいうともったいないなと思いますね。
やみえん 結局・・・やりがいで動く人が多いと思うんですよね。お金もあるはあるけど、見てきた中では。どうやりがいを提示できるか。
岩永さん ビジネスマン側が多分・・・タレント側のやりがいってピンときていない。なんでそれをやるの?っていう・・・経済合理性だけを考えたら思っているビジネスマンって多いと思っていて。この歌ってみた動画のミュージックビデオにこんなかかっている。えなんでこれって広告つかないしみたいな。
やみえん 僕、この人と一緒にコンテンツをやりたいって思ったときに、タレントとしてある程度の実績がある人でしょってめっちゃふっかけられたことがある。ただ、自分がどうしてもやりたいと思った時に、ポケットマネーで出した。それから飲み会で話している時に、「あれ自分から出したんですよ」と言ったら、「えっ!?自分で払ったんですか?!返します返します」って言われて。それも経済合理性がないわけじゃないですか。
どうしてもこの機会にこの人を呼びたいってのがあったから読んだってのがあって。
岩永さん そういうめっちゃこだわりを持ってやったことが、爆発してめっちゃ伸びる可能性があるってのがあって、それを説明できない。
田中さん 始まりはそうだった。Vtuberって単語がなかったから、そもそも思想でしかなかった。儲かると思ってなかったもん。
岩永さん そういうのと、コンテンツに予算出してくださいとか、投資してくださいとかいうのが相性最悪っていう。
田中さん やっぱ構造じゃない?ずっと構造構造言っちゃうけど。
どれだけオレ理解されてないかわかってるでしょう?ぽかーん、でいくらもうかるの?って言われる。コンテキストって知ってる?とか言われる
松田さん エンタメはそういうのあるかもしれないですね。
やみえん 難しいのは、今大きくなっている会社はIP事業をやっていた人を本部長に起用していたりして。よくある話じゃないですか。ベンチャーでうまくいったから、もともと実績ある人を呼んできて会社変えようとかよくある話で。
だから、こうやったら面白いって人よりも「こうやったらうまく回るよ」っていう気持ちでやっている人が多いかもしれない。
松田さん それでいうと、プレイヤーが内勤に入るパターンがあるじゃないですか。それで相互の理解が深まらないかなと思っているんですけど。
やみえん いやー・・・いいことでやってほしいなと思う反面、実例も知っていて、それもそれで中々難しそうだなっていう。
松田さん 対話がいるってことかな・・・。
岩永さん 業界長年いるとしても、既に伸びた後のキャラクターやタレントを運用している人でも理解できないことってあって。ゼロから伸ばすぞってとのと違いもあって。そことのバランスもあります。
田中さん 狂気ですよ・・・。
やみえん Vtuberというものをどうとらえているか。各タレント、個人がどうとらえているか。これからVtuberを立ち上げる会社に言いたいことと、今大きくなった企業に言いたいこと。中ぐらいの会社に言いたいこと。それぞれにあって。タレントとそれを共有できるかがこれからにかかっていると思います。
田中さん Vtuberという言葉に内包しすぎ。問題だらけ。問題だらけなのにひとまとめにしてひっちゃかめっちゃかになっている。
世間的には1個の単語の方が広がっていくのでいいんですけど、こっちの議論する人たちは、何をこれから議論するのか考えるためにも言葉を作った方がいい気がしてきた。
松田さん そうしないと議論が方やストリーマーだと思っていた人が、かたやコンテンツだと思ってたみたいな。
やみえん だから運営とVtuberというものはこういうものだっていうのをすり合わせる場があればということ。
(中略)
荒木さん ここまで話されてやみえんさんはどうでしたか?
やみえん ここまで一つのコンテンツについて熱く語れることってなかなかないと思っていて。Vtuberじゃなくても、インターネットというものには親しんできている身ではあるので。その意味で、コンテンツとしてのバーチャル、キャラクターとして起こりえないことが起こっていると思わさせられるものが好き。serial experiments lainが好きだったので、メタバース、メタ認知、第四の壁があったから、そういうものを作り上げられるものが好きだった。そういうのを作り上げてこられた第一人者の方々とお話できたのは素敵な機会だったなと思います。