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低評価の伝え方 ーーSUSURUはまずいラーメンを食べない
このnoteを書き始めた理由
今、自分のコミュニケーションを見直す中で、ちょっとVtuberのnoteを書き始めてよい可能性を感じている。それは、Vtuberの音楽を聴き始めて、あることに気づき始めたからだ。
以前、カラオケでVtuberの曲を100曲歌った時の影響もあり、おそらくアルバム・シングル換算で300枚程度はバーチャルユーチューバーの曲をこれまで聞いてきた。そして、これらの中で聞くのがつらくなってしまったアルバムは3枚しかなかった。逆に言えば、他の297枚以上はどこかに光るところがあり、素晴らしいと思えるポイントがあった。冒頭引用した月ノ美兎や星街すいせいの曲は本当に素晴らしい。
そしてこれまでnoteをやる中で私が苦しんできたのは、この3枚に対してどのように文章で評価を伝えるかだった。(noteは①②③)
結果、ちょっと炎上してしまったり、書いている私が苦しくなってしまうことを繰り返していた。念のために付け加えると、このVたちのすべてのアルバムが苦手なわけではない。
とすれば、問題はVtuberの存在にあるわけではなくて、私自身があまり評価できないと思ったアルバムに対してどのようにコメントをするか、その意識付けの方である。
そこで、今回のnoteではネットの賢人たちの例を元に、「低評価をいかに、自分にも相手にも意味がある形で伝えるか」を考えてみた。
SUSURU TVはまずいラーメンを食べない ーー低評価の伝え方
やばいクレーマーと化したラーメンマニアのミームを臆することなく自分の持ちネタにしてしまった、根性モリモリのラーメンYouTuberのSUSURUさん。そんな彼は、動画上で人のラーメンを「まずい」と言ったことが一回もないという。
代わりにSUSURUは、様々な比喩表現によってそれを伝える。
上の動画では、不味い、高いなどネット上で不評だったラーメンに対して、店長のラーメンに対する真摯さも加味して、まっすぐに評価している。スープはおいしかったものの、麺とスープのハーモニーが少し足りないなど、良さと悪さをしっかり区別して伝え、総評として「俺は好き。おいしい」とはっきり伝えた。
一方で、SUSURUファンの間でも伝説となったチェーン店の横浜家系ラーメンに潜入したときは、
・シンプルで、「味変のしがいがありそう」
・食べて次の瞬間に味変しはじめる
・麺が固いと繰り返し言う
・特筆する点はないが、ほうれんそうに臭みがないのがよかった
・食べ手の技術が試される
と、ほとんど自分で頑張って解釈しておいしくしているやないかーい!
って感じのレビューを行った。
このようにSUSURUは、不味いと言わずいろいろな方法で「不味い」ということをまっすぐにレビューしている。
私の主観だが、おそらくラーメンを愛するSUSURUは、ラーメンに対して「まずい」という形容詞を直球で使いたくないのではないかと思われる
ところがある。ラーメン自体への敬意があるからこそ、言葉を尽くす。
もちろん、ラーメンを作った人への敬意もある。
大事なのは、安直な言葉は使わないこと、そしていくつもの視点を提示することである。
(ルール的に大丈夫でも)道徳的にダメなことの伝え方 ーー野球の一例
一方で、起こした行動が道徳的に評価しずらいものに対して苦言を呈する必要も時にはある。低評価の中でも、リスペクトに欠けた行動や内容に対しては、一定の力を入れてそれをハッキリ伝えることが必要だ。
北海道日本ハムファイターズの上沢投手は、3Aレッドソックス傘下ウースターから、帰国し日本ハムに戻ってくると思いきや、ソフトバンクホークスへと加入したことがつい先日報道された。上沢投手は、日ハムの施設を使って調整を行う、新庄監督から目をかけてもらうなど、日ハム側が彼に敬意を払っていたにもかかわらず、それを反故にしたと考えるファンは現在少なくない。
その中でも、パワプロのデータをずばっと当てるshort動画や、日本ハムへの愛であふれた動画を発信し続けているチャンネル「日ハムファンが語る。」のたいしさんは、声を震わせながらも上沢選手の移籍に失望の声を上げた。
ポイントは、
・たいしさんは普段冷静な方なので、これほど声を震わせることは少ない
・あくまでSUSURUさんと同じくひとつひとつの事実を並べたうえで、
「ルールでは問題ない」ことを述べて、しかしそのうえで遺憾の念を述べている
・そして、アドラーを引用しつつ、今回の事象を引きずるのではなく、
「これを我々がどう解釈するかが問題」と、オトナの回答を見せている
ことである。これはまた、ひとつの誠意ある「低評価の伝え方」だと思う。
言いたいことを言う大事さとネットの限界 ーー営業マン宋世羅さんの言葉から
さて、ここまでラーメン界、野球界の例を見てきたが一つ気になることがある。それはわざわざ心を痛めたりまでして、マイナスの意見を書く必要があるのかということである。
元野村証券の営業マンである宋世羅さんは「言いたいことを言う」ために
必要なことは心持ではなく技術であるという。「言いたいことを言う」ストレスを下げるためには、次の二つの考え方がある
①吐いた唾は飲み込める
ある先輩がリンゴが赤色だと言ったとして、それを間違ってますと訂正したいとする。その時、先輩がいろいろな理論によって説明してきたときに、
その話を勝ち負けにするのではなく、議論と学びの場にすることが大事で
ある。考えが変わったことは素直に言っていい。
②後の理由で茶を濁す
言ったことを言える人は「後でいかようにも言える」と考える。
言いにくいことをズバッと言った後で、論理がしっかりした理由を言うことでうまく茶を濁すパターン、ロジックじゃなくてその場の感情でとりあえず言い訳をするパターンの2パターンでうまく茶を濁せることを言いたいことを言える人は気づいている。
言いたいことを言う力は慣れであり、言いたいことを言いなれてない人は
言う時に攻撃感が出てしまう。言いなれている人は、うまく茶を濁すなどして、どれほどの強さで言うべきかのバランス感の調節ができる。
これが技術であるというのが、宋さんの考えである。
このnoteで書いたのは「低評価の伝え方」についてである。
そして当然、低評価を書けば色んな意見がやってくる。その時に、もしも
その意見の中に良いものがあれば、それを受け止めて自分の考え方を
ブラッシュアップができる。ただし、宋さんがここでイメージしているのは
当然対面でのコミュニケーションである。
ネットでのコミュニケーションの中で、これほどの学びが可能であるかは、
判らないところもある。しかし、SUSURU TVやたいしさんの例にあるように、自分のプライドも守りながら評価を伝える活動をしている人は、間違いなくいるのである。
私も自分の成長のために、低評価を感じた時の伝え方を練習していこうと思う。