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ゼーガペインSTAの湯|diary:2024-08-21
連日で映画を観る。ゼーガペインSTAを観てきました。いやーめちゃくちゃ良かった。
テレビ総集編パート、新編パート、スタッフロールでそれぞれ100点、20点、120点みたいな感じなんですが、新編部分も敢えて寒い感じを狙って虚無にさせてからじわじわ上げてスタッフロールとエピローグカットに向かう構成を狙っていると思うので、スタッフロールとエピローグカットも新編に含めるなら推し並べて満点です。
ゼーガペイン、TVアニメの魅力
ゼーガペイン2006年のロボットアニメなんですが大体ざっくり各話の構成は、
主人公が前話で知った世界の真実に絶望してウジウジする→考えても仕方ないので開き直る→前話で知らされていた以上に絶望的な世界の真実を知る、この繰り返しになっている。
そしてそこに挟まる[エンディング→次回予告→オープニング]のセット。円盤なりオンデマンドで連続再生しているときに繋がるこれ、これが本体と言って良いほど過言ではないほど素晴らしい。
本編ラストからフェードインするRocky Chuck「リトルグッバイ」、OPの新居昭乃「キミヘ ムカウ ヒカリ」、その美しく力強いアウトロ部分をバックにした次回予告、そしてか細いほどに穏やかなイントロから始まる「キミヘ ムカウ ヒカリ」OP本編。異論も多いと思うがゼーガペイン、もうこれだけで私はいい、他に何もいらないくらい好きだ。
ならばそれは映画に落とし込まれていたか
話と話の隙間を繋いで成り立つこの体験、これを映画に期待するのもな、と思ったのだが、どっこいこのゼーガペインSTA、それを成してくれたのだ!
まず、テレビ総集編の時点でもう編集も音楽も全体的に上手い。映画開始10分でボロボロ泣いている。
で、この中で、佳境の月面攻撃から「リトルグッバイ」のテクノポップミックスを流してくる。そう、期待に応えてくれるようにまずはエンディング側から入ってくれるのだ。
これがまあ軽妙で、激しい艦隊戦のシリアスさと合わず、「Rez」やってるんじゃないんだからと思って見ていると間奏部分で、敵のガルズオルムの将校がおもむろに思想の口上を述べてくる!これがラップパートみたいに絶妙に曲に合っていて、うわ、上手い!なんだこりゃとなって、だんだんあったまってノレてくる。
にしてもRezやってるんじゃないんだぞ!ポップすぎらぁよ。
It’s time to play、遊びの時間の始まりだ
で、問題の新作本編部分。もうこれが、原作オタクを実に巧妙に挑発してくる。「コレジャナイ感」で殴ってくる。絶対、オタクこういうの観たら顔真っ赤にするってわかってやってるぞ。絶妙な加減。
まず映画オリジナルの敵キャラ「オルタモーダ」が、登場したそばから話すこと話すこと虚無、宇宙猫になるセリフの数々。そして極めつけのこのルー大柴文法。この時点で席立って帰ろうかと考え始める。いやすげえな、「t’s time to play、遊びの時間の始まりだ」ですよ。
そしてそこからは延々、スクライドだ。シェルブリッドのソゴル・キョウだ。肘まで伸びたナックル武器をつけた主人公が、延々肉弾戦する。そんなシーン一度だってTV本編で在ったか?いや無い。
![](https://assets.st-note.com/img/1724260300233-jdnEz5a2Va.png)
もうゼーガペインの乗らないんで終わるんじゃないかというくらい、オルタモーダの面々とスクライドし続ける。またこの敵勢が人数多くて、みんなそれぞれコテコテのサンライズのテンプレ敵キャラみたいなノリを押し出してくるので、さらにまた虚無になるのだ。映画館が出すビールの量多くて本当によかった。ずっと飲み切ったら席立とうと思いながら観てて、最後一口のところでやっとゼーガペイン乗ったので、まあ最後まで観るかーという気持ちになってくれたのだった。
そうこうしながら、段々オルタモーダ勢ののっぴきならない事情だったりキャラの出自だったりが明かされ、これまでのヘイトがほぐれていく。雑ながらもゼーガペインらしい設定という趣があり、今作での主人公の自我のあり方と対称性があったりしてその辺は美しく、唸らされもするのだった。
そしてスタッフロール
これが本当に良かった。スタッフロールというよりテレビアニメのEDの体裁に近い画面構成。「キミヘ ムカウ ヒカリ」映画オリジナルアレンジ。
この曲はOPであり、次回予告であり、そして今回ついにEDになる。それだけで単体でもその三役を果たしていると言えるのだが、それだけではなくエピローグカットをオーバーラップさせる!大抵はスタッフロール流し切ってからやるそれを途中に挟む、これはTVアニメでもキーとなる回で用いていた手法で、それは常に「リトルグッバイ」の役どころだったのが、ついに「キミヘ ムカウ ヒカリ」にお鉢を回したわけだ。
でこのエピローグカットが、これを描くために本編があった、これを観せる為に今回の敵、オルタモーダが在ったと思えるくらい素晴らしくて。そしてBサビに戻ってくる!クレジット流しながら、挟んだ前半とも異なりまた痺れる画面構成なのだ。
最近は結構、スタッフロールを効果的に映画を観ている気がするが、基本的には画面は抑えて曲で勝負してくるものだったので、ここまで絵の密度高めてくるスタッフロールは衝撃だった。
いやーこういうこともできるのか。すごいもの観せてもらったし、
TVアニメの[エンディング→次回予告→オープニング]のあの体験を、映画全編の中で表現してくれていたし、またエンディング単体でも成してもいて、大満足でした。