【無料テンプレ付】日本人がまだ知らない、リモート営業の「POINT」とは?信頼獲得のための対話術
この記事の概要
営業(特にリモート営業や電話営業)の成功率を高めるための考え方と、便利な対話フレームワークを紹介します。なお記事末尾よりテンプレート資料をダウンロードいただけます。
こんな方におすすめの記事です
お客様からの信頼と成約率を高めたいセールス / インサイドセールスの方
リモート営業にやりづらさを感じている方
ビジネスにおけるコミュニケーションをもっと上手くなりたい/自信がない方
こんにちは、水嶋玲以仁(みずしま れいに)です。私は普段、企業の営業やインサイドセールスに関するコンサルティング・支援をしています。
セールスパーソンのみなさまは、商談やコールの中で、適切に相手の課題や考えを引き出しながら対話できているでしょうか。
「できているし、自信がある!」と思う人ほど要注意。自分ではできているつもりでも、相手からすると一方的に喋られている、こちらの話を聞いてくれない、と感じられているかもしれません。
特に対面では問題がないのに、リモート営業になると途端にそれができなくなってしまう、そしてそれに気づいていない方も多いようです。
この記事では、そんな課題を解決し、適切に顧客と対話し信頼を獲得するためのフレームワーク「POINT」とその使い方を紹介します。
なおこれは日本ではあまり知られていませんが、私が所属していたGoogle等の外資系企業ではスタンダードになっていた考え方です。
会話における2大NGパターン
まず本題の前に、商談に限らず会話全般において避けるべきNGパターンを確認しておきましょう。
それは
一方的に話す
相手の話を聞いていない
の2つです。
「それくらいわかっているよ」と思うかもしれません。しかしリモート営業が多くなった今の時代、無意識にこれらをやってしまっている人は多いようです。(実際に営業を受ける立場になるとよくわかります。)
対面営業では、お客様はあなたの話す言葉のほかに、表情、身振り手振りに姿勢、周りの状況や人の反応など、たくさんの情報を同時に浴びています。それらの情報を無意識に峻別し、軽重をつけて受け取っているので、多少長い話でも聞き続けることが出来るのです。
しかしリモート営業や電話の場合は話し声に集中している状態です。ですから聞き手は10秒間聞き続けるだけでも、リアルな場以上に長いと感じるのです。
さらにリモート営業や電話では、対面に比べて相手の反応が見えづらくなる上、沈黙の時間が目立つため、焦りから相手の話も聞かずに一方的に喋り続けてしまう…ということも起きやすいのです。
しかし本来営業に重要なのは顧客理解。顧客のことを知るのであれば、セールス側が話すシーンは限られているはずです。むしろ聞き役に徹する時間が多くなるはずです。
「立ち位置」を把握しながら対話せよ
NGパターンにハマらないためにひとつ言えるのは、「自分の立ち位置を把握しながら対話する」ことです。相手と自身の関係性を把握しながら、会話のキャッチボール構成を組み立てていく、とも言えます。
例えば、気になる人にいきなり結婚を申し込むことはないでしょう。まずは負担を感じさせないように趣味や日常の話から始め、さりげなく自分のことも伝えながら相手の好みを探って、距離を少しずつ縮めていくはずです。
この時、あまり意識していなくてもある程度立ち位置を認識した上で、それぞれのアクションを起こしているはずです。営業もそれと同じこと。相手の話を聞かず、ひたすら自社商材の話をしたところで、自慢ばかりする包容力の無い人になってしまうのです。
日本では知られていない?成否を左右する「POINT」とは
では、どのように立ち位置を把握しながら対話すればいいのか。その手助けとなるのが、「POINT」と呼ばれる考え方です。
これは営業が顧客に提案する会話の展開を示す、いわば起承転結のようなフレームワーク。日本ではまだほとんど知られていませんが、アメリカでは比較的スタンダードな考えで、私がGoogleに在籍していた当時の営業部門でも使われていました。
なおPOINTとは、会話の展開を表す頭文字をつなげたもの。それぞれの意味は次の通りです。
P (Purpose):目的
これから展開する会話の目的や狙いをここで確認します。
(例)「お客様が感じられている課題について、根本的な原因や理由を明らかにするため、現状のヒアリングをいたします。」
O(Outline):概要
次のINに繋げるための前置きとして、概要を述べます。
(例)「ヒアリングは、体制と肯定、他部署との関係性と、それぞれの肯定で発生するオペレーションについて順にうかがいます。」
IN(Input):インプット
インプットの段階。顧客からの情報を入手します。説明よりも聞くことに主眼を置きます。
(例)「この工程でのチェックは、どのように行われているのでしょうか?」
T(Transition):次への導入
次の段階への導入。P,O,INの流れを受け、次のプロセスへつなげます。
(例)「ここのチェック工程について整理出来ると、ネックとなっている部分を明確に出来そうですね。」
いかがでしょうか。POINTは目的の共有から説明、傾聴に次の話題のつなぎまで、無理なく展開できる流れになっています。
一方的に話すだけでなく、相手の話も聞くタイミングがあることで、会話のキャッチボールが出来るようになります。顧客からも「話を聞いてもらえている」という安心感や信頼にもつながってきます。
POINTの体得は、営業の成否を大きく左右するものなのです。
POINTを使いこなすには?
POINTはテンポの良い会話につながりますが、そのまま使うだけでは「対話の立ち位置」を把握するには十分ではありません。ちょっとしたコツが必要です。
均等に配分しなくて良い
会話をP/O/IN./Tに分解するというと、たまに均等に構成しようとする人がいます。ただ、会話はそんなにカチッと型にはめられるもものではありません。話の展開によって、P/O/IN/Tのバランスは常に変わります。
いいかえれば、このバランス自体をコントロールできるのがPOINTの肝です。たとえばPは短くまとめたり、逆にINを広げたりしながら、でも話してとしてはPOINTに沿った位置づけを把握しておく、という使い方が望ましいと言えます。
POINTを入れ子で使う
もうひとつの使いこなしのコツは、1回の商談全体をPOINTで構成しつつ、その中身もPOINTで考えるという入れ子の発想です。
前に述べたように、特にWeb会議や電話での会話は、10秒話し続けるだけでも長く感じるものです。あいづちややわずかな返事で構わないので、キャッチボールを繰り返すことで場を温めていきます。このため、会話の構成は細かく設定しておくことが大事です。
その際に、POINTを入れ子で考え、小さな単位のやり取りを積み重ねる発想が有効になります。
具体的には次の図をご参考ください、
このように、商談全体を大きくPOINTで構築しつつ、それぞれの中身もまたPOINTで構成することで、会話のキャッチボールが繰り返され、双方にとって有意義な対話がしやすくなります。
ここに挙げた図は基本的なパターンですが、商談内容や時間に応じてさらに小さなPOINTを入れ込むなどして調整しましょう。
POINTを用いた商談の構成例
最後に、POINTを使った商談の構成例を示します。商談の導入部分をベースに、対話全体をPOINTで構造化します。
<例>ある商談の導入
P このたびはミーティングの機会をいただきありがとうございます。このミーティングでは、お客様の現在のビジネスの状況や目標について理解し、協力して成長に繋がる新しい方法を模索したく考えています。
O 実際にお目にかかってのミーティングは初めてですので、大まかな流れをお伝えいたします。まず(A)当社のバックグラウンドを簡単に説明いたします。次に、(B)お客様のこれまでのビジネスについて、ぜひもう少しお聞かせください。(C)具体的に、成功している点や直面している課題などを掘り下げましょう。最後に、(D)ご相談の内容をもとに、最善のステップを一緒に検討しましょう。
IN 何か抜けている点や、盛り込みたい点はございますか?
T ありがとうございます。それでは当社についてご案内させてください。
この導入部分のやり取りだけでも、POINTに分解できることがわかります。
今度はこの商談全体を、POINTで構成してみましょう。注目は、上記の(A)~(D)について、さらにPOINTに分解できる点です。
詳しくは以下の図をご覧ください。
(※この図およびテンプレート資料を記事下部よりダウンロードいただけます。)
そしてもう一つ押さえておきたいのは、分解したことによって各段階で何をすべきかが明確になることです。特に聞き出すことを明確にしておくと、顧客を置き去りにしてしまう課題も解消されます。
図のように、この時間は何のために存在し、どうすれば次の段階に進かをあらかじめ整理しておけば、商談の席で焦ることもありません。仮に予期しない状況となってもリカバリーしやすいですし、ねらいと異なる場合は次回以降の宿題に回すこともできます。
行き当たりばったりではない、お客様がじっくり語れるシナリオ作りを心がけましょう。
【付録】POINTテンプレート資料ダウンロード
※本記事で紹介した「POINT」のpptテンプレート資料をこちらよりダウンロードいただけます。(フォーム入力等不要です)
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