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お茶碗をもつほう。

視力検査が苦手だ。
今回の免許更新の時も、もたもたしていたら係の人から
「上下左右分からなくなっちゃったかなー?」と言われてしまった。
「はい、左右がよく分からなくて」と正直に答えると、
ははは、と笑われた。

視力検査をしながらそっと指をこすっていたのは、左右を確かめるため。
昔からの癖というか、左右を確かめるために編み出した技(?)だ。

私は左利きで、小学生の頃から左手にペンだこがある。
だから、左右を確かめるときには両手をパッ、と目の前に広げるか、
指をこするかして、「こっちが左」というのを確かめる。

左右がよく分からないくらいなので、東西南北なんてちっとも分からない。
Google MAPさんに「この先200メートル、北方向です」
とか言われても困るのだ。

そもそも交差点で自分がどっちを向いているのか分からないのだから、
もっと「二つ目の角を右」とか「あ、今通り過ぎました」とか
具体的に言ってくれないと、全く役に立たない。
あれはちゃんと自分がどこにいるのか分かる人が使うものだと思う。

左右が分からないのは、「お箸を持つほうが右」と
幼い頃から教えられて混乱した、という説もあるけれど、
左利きの人がみんな方向音痴なわけではないから、
要は私にその能力が欠けているのだろう。

私の年代は、まだ「左利きはお行儀が悪い」という考えが根強く、
右利きに矯正された人も多い。
私も子どもの頃、左手をタオルでぐるぐる巻きにされて、
右手を使うように言われたのだけれど、
「なぜ左手ではダメなのか」という質問に満足のいく答えが得られず、
納得のいかないことは絶対にやらない、という面倒くさい子だったので
手に巻いたタオルを歯で食いちぎって左手を使っていて、
親も諦めた。

今になって思えば、あの時右手を使う練習をしておけば、
両利きで便利だったかも…と思うのだけれど。

ちなみに、左利きだからと特別仕様のものを与えられたことがないため
(というかおそらく母親が知らなかったと思われる)、
左利き用の楽器を奏でることもなく、マウスは右手で使う。
カッターは切れず、急須は注ぎにくく、改札は通りづらい。

この歳になってもまだ、「あー、左利きだからか!」と
違和感のもとに気が付くことがあって面白いから、
まあいいんじゃないかな。
それから、運転はしないので、皆様ご安心を。


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