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小商いをゆるく続ける難しさ 〜古道具屋sottoの場合 〜

今やっていることの一つに、古道具屋があります。2017年10月、月に1〜2回営業するお店として sotto という屋号で、はじめました。

月に1〜2回というと驚かれることも多かったけど、否定的に捉えられることはほとんどなかったです。田舎で小さなビジネスをやる。聞こえはいいかもしれないけど、やっぱり小商いだからこその難しさみたいなものはあるなぁ、と。その辺りについて書いておきたいなと思います。

そもそも何のお店なのか

本当は古道具屋という表現は腑に落ちていなくて。
sottoに並ぶ商品は、空き家などで捨てられそうになっているもの の中から“わたしが家で使いたい!可愛いなあ!と思うもの”という基準で選ばせていただいたもの。買い付けは一切行わないスタイルです。そこにあるのは、古道具といわれて連想されるようなものばかりでなく、比較的新しいものなどもあります。

sottoのはじまり

萩市役所の空き家・移住の窓口担当だった方に「今は空き家に置いてある家具や家電を捨てるしかできないけど、本当は移住者の方に譲れたらいいなと思ってて。誰かやってくれないかなあ。」と持ちかけられたことがはじまり。
「ん…?それって倉庫さえ用意すればできるのでは?」というあま〜い考えのもと、倉庫を探してみたら、これまた隣町の役場の方のお力添えにより、とても気に入った倉庫をすぐに借りることができたのです。当時は車の運転免許さえ持っていなくて、移動は汽車かバス(たまに送り迎えしてもらったり…)、荷物を運ぶとなれば、友人たちにお願いして車を出してもらっていたのでした。今思うと本当に甘えきっていた・・・みんなよく怒りもせずに力を貸してくれたなあ。本当にこころの広い方々に恵まれました。

sottoを巣立っていった子たち

sottoをはじめて、2年弱。
ここ数ヶ月は2〜3ヶ月に一回しか営業できていないので、まぁ20回も行かないくらいの営業です。それでも、この場所を通してたくさんのモノたちが、人の手へ渡っていきました。

可愛いパン焼き器

ガラスの器(まだ大量にある)

むかしの座卓


蔵から出てきたラジオ

古いタンス

可愛いカゴ

と、まぁこんな感じです。どれも本当に愛おしいものたち。
お店は開ければ、少なくとも何人かは遊びに来てくれる。いくつかのモノが誰かの元へ渡っていく。それだけで、十分役割は成し得ていると思っています。

sottoのコンセプト

ご紹介しておきたい、sottoのお気に入りの!表向きコンセプトがこちら。


かつて心を込めてつくったひと。
それを大事に大事に使ってきたひと。
不安を抱えながらも、この土地を選んで、新しい暮らしをはじめるひと。
この土地を愛し、たおやかに日々を送るひと。
それぞれの、すべての想いに、そっと寄り添える場所。
ただそこにあって、想いをそっと置いておける場所。
ソットはそんな場所を目指します。

一方、運営上のコンセプトとしては、"無理はしない"
たぶん小さくとも"動く"ということが大切で、ちいさな町・阿武町では、小さなエネルギーがたくさん集まる方が健全なのでは?と思っていたのでした。力を抜いて、動こうと思う人が少しでも増えたら、と。そのためには小さく動く姿を見せていけたらいいなあ、とも。

今感じている難しさ

コンセプトの通り、ほとんど無理はせず、のほほんとやってきました。
でも今になって、「もっと本気のことがしたい……」と思うようになった。本気のことというのは、自分がめちゃくちゃ納得いくこと。この一年と少しの間で、随所にその人の感性が溢れ出ているようなものをたくさん見させてもらって、私はもっと本気の、自分がめちゃくちゃ納得いくことをやりたくなってしまったんです。

そうなると、今は正直sottoの在り方と自分のやりたいことにギャップがある。sotto自体は無理をしないをコンセプトに掲げているし、そういう場所であれたらと思っているのは変わらない……。

それで、とりあえず、sottoはそっと置いておくことにしました。
たぶん現状と何も変わらないけれど、営業日を設けないことや入荷がなかなか進まないこと、内装や配置に満足いってないことなどなど…に後ろめたさを感じるのをやめます。もう無理して営業しない。あ、やっぱりちょっと無理しちゃってた。

見に行きたいなって言ってくれる方がいれば開けるし、気が向いたらあけるんだけど、今の私にとっては後ろめたさを感じながらお店を開けること自体がちょっとの無理になってしまうようです。ひ弱。

小商いをゆるく続けることの難しさとは

それは、モチベーションを保つということ。
小商いをやれる環境が地方にはあるし、本業ではなくともライフワークとしてやっていきたいことをモリモリできるのは、本当に幸せなこと。日々満たされています。でも、私の場合は徐々に魅力的な小商いが増えすぎてしまいました。そうすると優先順位をつけたり、取捨選択をしていかないといけなくなる。収益が少なくとも、社会的意義が小さくとも、それでもやっていこうと思えるか。それは本業にはない、小商いだからこその贅沢な悩み、難しさだなあと思います。

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