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未だ碧き
夢の残香というには鮮やか過ぎた
ほとばしる夏の葉先を吸うわたし
漆喰のバルコニーで 甘くて、裸足のままで
あの時より ほんの少しだけ背が伸びていて
海が碧い ここから波頭はみえない
ぷかぷか浮いた眠気は
いつのまにか蝶が運んだのか
半透明の夜の淵に 思わず袖をつまむ指さき
青になるまえの 柔なみどりであれ
永遠に
永遠は叶わないから在るということを
なんども忘れて見つけなおすわたしは若僧
海風が指のすきまをひらひらと抜けていく
弧を描き 向こう島に驟雨をふらす
遠く つぎの夏に 朝露がおりるまで
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