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出来なくたって良いんだ(76日目)



自分が本気でやりたいことに周りはついてこない。

大切なのは熱だ、熱い想いだ、
だからついてこないやつはなぜなんだと叱る、怒る、

それはどうなんだろう。


人はそれぞれ熱量が向く場所が違う、
あの人が本気で熱中しているものを
私には理解できない、
そんな事だっていくらでもあるのに

いざ自分が主役になって熱を持ったものを見つけて、それに周りがついてこないと怒りが込み上げる

そして周りを自分に合わせるために叱る、怒る。

なんて自己中なんだろう。


それこそが個性を消していると気付いていない。

最大の矛盾は、日本の多くの人達が個性が活かされる環境を作りたいと言っているくせに、その人の弱みを理解して逆を取って生かそうとせずに消そうとする事だ。
平均値の当たり前を押し付ける。
これこそが同質化の始まりなのに。

個性は強みだけではない、
弱みだって大切な個性である。





常に誰かのせいにする。
これはおかしい、責任持ってやれ!!
そうやって怒ることもできるけど、

逆に考えれば、最後の責任さえ他者が持っていれば、この人は普通の人よりデカいことをガンガンやっていけるのかもしれない。




自分で考えて動こうとしない。
よくない、頭で考えて動け!!そうやって怒ることも出来るけど、

その人がなぜ自分で考えて動こうとしないのか考えたことが一度でもあるだろうか。それを考えすらせずに、行動だけみて良い悪いを判断するのは、楽して人を変えようとする人の典型だ。


もしかしたら過去に、
その人の判断で大切な人が亡くなってしまったのかもしれない、親を苦しめてしまったのかもしれない、

そんな事は滅多にないだろうけど、でももしそうだったら?
そんな人に向かって、お前自分の頭で考えて動けよって怒れるだろうか?


これは逆に、言ったことならちゃんとやってくれるってことなのかもしれない。そしたらその人には、これとこれをいつまでにこうやってやってほしい。ってしっかり伝えて動いてもらうのが1番いいんじゃないか?




人の悪口を言う。
これは確かにムカつく。そんなん言う暇あるなら自分が動けよって思う。けど、人の悪口を言うって、相手をよく観察してないとできない。
『あの人のあの行動や言動がムカつく』
この発言は、その人をよく観察していないと出来ない。

私は人の悪口を言えない。これは自分に目が向いているからっていうのと、もしかしたら決定的な悪口を言えるくらい人を観察できてないのかもしれない。

だから逆を言うと、この悪口を言う人は、
人を細部まで観察するのが得意なのかもしれない。もしもこの能力を上手く別の方向に転換出来たら?
組織の中で不穏な動きをしている人や、些細な変化にいち早く気づけるかもしれない。


個性とは、その人の強みの部分でもあるが、弱みの部分もまた個性である。

強い部分だけ伸ばして弱い部分は消す、これこそがよく組織が陥る同質化の始まりだと思う。
確かに悪いものは悪い、良くないことはよくない。それが一回言って変わるものなら言えばいいのかもしれないけど、それがその人にとって染みついてはなれないものであるならば、怒りでどうこうなる問題じゃない。

恐怖で人を従えるのが1番愚かだと思う。まるでヒトラーのように、脅して人を動かす行為は、個性を生かすのではなく殺している。




私は、日本とアメリカでサッカーをやっていた。
日本で5年、アメリカで2年。
その間には2年のブランクがあった。
日本での成績はまあまあ、そこそこって感じだった。可もなく不可もなく、まあ上手いねってくらいだった。


その後2年間サッカーをせずに
アメリカに渡って再びプレーをした。
その時の結果は、セミプロリーグスタメン、キャプテン10番、全米ベスト22に選出。
恐ろしく成績が上がった。





私は、ディフェンスがとてつもなく苦手だった。

フィジカルがあまりない方だったし、ジンガのような動きが得意だったからいつもがっしり構えるとうよりは、ゆるゆる、ふわふわした動きをしていた。



これは攻める時には相手にタイミングが読まれないし、不思議なステップをするから上手く抜けたり、相手に当たらないように上手くコースどりをして避けたり、力を入れてないからこその俊敏性を持てていたんだけど、



ディフェンスとなると最悪。
相手の足を止める事は出来ないし、重心が定まってない動きをするから身体ぶつけられたら私の方が簡単に吹き飛ぶ。

あとは、ディフェンスをすると腰を落として空気椅子みたいになるんですが、これって本当に前ももに来るんですよ。私はすぐに乳酸が溜まるタイプなので、ディフェンスしてるとどんどん足が重くなっていく。弱っちいクソみたいな言い訳なんですが本当にダメなんです。


そして疲れた体で、疲れた足で本業の攻めをしようとするとなかなか思うように動けない。


しかも、ディフェンスをする時は、もちろんですが相手のFWの動きを確認しないといけないので後ろを振り返ります。私の倒すべき敵である相手DFから何度も何度も目を離さないといけない。


だからいざボールを取ってチャンスってなった時に生まれる一瞬の間を見逃してしまったり、いつも確認している相手の目線をチェックできなくていいパスが出来なかったりしてしまう。

自分にとってディフェンスは攻めるための足枷にしかならなかった。


まあ要領が悪いだけなんですけどね笑


でも日本の時は、FWだけど前からのプレスが必要で、どこまででもディフェンスしに行けって感じだったので苦手なディフェンスをめちゃくちゃやらされました。

そしてすぐに疲れて攻めの時に力を発揮出来なくて、下手くそ、センスない、走ってこい、ディフェンス出来ないなら辞めちまえって感じに言われまくってもうどんどん悪循環に陥っていきました。

そしてサッカーが嫌いになりました。
自分の弱みを、怒られて無理やり治させようとする時間は地獄でした。



日本の時は、れいなは確かに攻めは上手いけど当たり前に守りも出来ないといけないよね。総合的にみたらあの人の方が安定していて良いよね。って感じで中々活躍できませんでした。

私はMAX100だとすると攻め95 守り5 くらいの能力値です。
他のFWは攻め60 守り40くらい。

日本の監督は、安定をとり守り40の人を好みます。

不安定な人は使えないんですよね。強みが突き抜けてる人間は同時に弱みも大きい。だから安定を欲する組織にはいらない、異質な存在でした。



企業でインターンしてる時も同じだったなぁ。クリエイティブなアイデア系はめちゃくちゃ得意で、5分で良いアイデアが出ます。本当に頭冴えるんですよ、でも請求書の処理とかそーいうのになるとまじで平均以下。というか最下位レベルの能力です。

でも私の上司は言いました。あなたのクリエイティブな能力は本当に尊敬する。でも社会人として会社の中で生きていくのなら、こっちも当たり前に出来ないといけないよねって。
これは超正しい意見です。別にその人が悪いとかおかしいとか思ってるわけではありません。

でも、怒られて変わるくらいなら最初っからミスなんてしてないしさっさと終わらせてますよ。本当に出来ないんです。何でこんなのも出来ないの?当たり前にできるでしょ?ってことが出来ない時があるんです。




アメトークで運動音痴の人が出てる時ありますよね。バスケもサッカーも、走ることすらアホみたいに出来ない。何でこんなのも出来ないの?ってみんなケラケラ笑ってると思うんですが、本人は必死です。
必死でも出来ないことって本当にあるんです。

日本は、人より秀でた部分がたとえあったとしても、人よりも劣っている部分を咎めてその人を全体的に出来る平均的な人間にしようとします。
同質化、個性を消すって感じですね。



でもアメリカは違いました。
私がコーチに誘われ、部活に入って、ディフェンスがなかなか出来ない時に、なんでれいなはディフェンスをやらないの?って聞かれて、

あーもうこれ終わったなー怒られるなーって思いつつも日本での出来事や自分が持っている強みや弱みの説明、想いを全部話しました。


そしたら、

そうか。わかった
そしたらディフェンスなんてしなくていいよ、

貴方はこのチームで1番攻めが上手い。
だから特化していい。他の人があなたの穴を埋めるから攻めに集中しなさいって言われました。

他のメンバーにも、全部言いなさい。そしてあなたが動いて欲しいような指示をしなさい。
あなたが1番生きるチームを作ろう。
って言って本当に全ての要望を聞いてくれたんです。

だから、自分は攻めに特化しました。何があってもどんな局面でも、どうやって相手DFをぶち破って点を取るかしか考えませんでした。
ボールを自らが取りに行くのではなく、仲間がとってくれたボールが私に集まってくる。
そして得意のドリブルとパスで攻めまくって点を取る。

めちゃくちゃ上手くいったし気持ちいいくらいに楽しい。

こうして私は、能力値の攻め95を全面に発揮し、
攻撃特化の長身日本人ドリブラーとしてキャプテンに選ばれ、セミプロに呼ばれ、名誉ある賞もいただきました。



これは確実に、自分のコーチが、私の弱みを理解しそこを無理やり変えようとするのではなく、既に持っている強みに変化、集中させてくれたからに他なりません。

だから、ディフェンスが出来ないというのは強みでもありました。他の人の当たり前が当たり前に出来ない代わりに、他の人が出来ないことが当たり前に出来ました。





人間は完璧じゃない。必ずどこか人よりも強い面があって、そしてそれと同時に人よりも目立って出来ないこともある。

先に強みを見つけたのなら、それを伸ばすように働きかければいいけど、

大事なのは、先にその人の弱みを見つけた時にどう対応するかだと思うんです。これ出来てないよね、でも普通これってこのくらい出来ないといけないよね、おかしいよね、もっと頑張ってよって言ってしまうのか、

弱みの奥に隠れる強みを見つけ出して、その人を生かせるような新たな方法を考えるか。


その人に95の能力値を持っている何かがあるのかもしれないのに、先に5の能力値の方を見つけてしまったがばっかりに、その人に怒りをぶつけ、恐怖で従わせる。喝を入れる、怒鳴る。これは逃げの行為だと思います。

その人の深い思考まで、特性まで、性格まで理解して、怒るわけでも喝を入れるわけでもなく、その人が能力を発揮できる場をこちらが作るべきなんです。

たとえ何かが突き抜けていなくても、必ず弱みの裏には強みが隠されています。
厳しく接して当たり前のレベルを高くしていくことは出来るけど、それで殺される個性に、イノベーションを産むヒントが隠されている可能性だってある。
怒られて人は変わりますが、その変化は果たして良いものなのでしょうか。


自分は、プロフェッショナルな何でも出来る集団の組織は作る気はありません。

一見するとマジでダメなやつ、意味がわからないくらいうざいやつ、人の話聞かないやつ、時間守らないでダラダラするやつ、危機感なくぽけーっとしてるやつ、嫌味しか言わないやつ、そんな、いわゆる社会不適合者の集まりの中で、それぞれが爆発的に能力を発揮できる環境を創り出し、
破壊的な何かを生み出していけるような事がしたい。

怒らず喝を入れず良い意味でも悪い意味でも不安定な組織で、どこまでいけるのか
弱みが集まって真似できない強みに変わるような組織を作りたい。


なぜかって、私が不安定な能力値を持つ人間だからです。そして私を救ってくれた監督のおかげで、私はサッカーで生きてこれました。次は私が、その監督のような人になりたい。



私を生かしてくれた、
アメリカの監督に心から感謝します。
安定のない不安定な、当たり前が出来ない不適合者な自分の生きる場を作ってくれてありがとう。

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れいな🇺🇸⚽️🎨/color in Life 株式会社代表
最後まで読んでいただきありがとうございました!