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おでガリ♪インド旅行記③動物と神話〜しぜんのかがくep.38(3/22) ぼうさい豆知識〜体感震度と計測震度
2024年1月末から2月初めに、インドのハイデラバード(テランガーナ州ハイデラバードの都市)に行ってきました。今回はそこで感じた①「IT産業都市と伝統文化」②「生活(食など)と災害対策」③「インドの動植物と神話(災害)」などについてお伝えしています。
今回インドで、Nehru(ネルー) Zoological Parkというインド国内最大級の広さの動物園に行ってきました。子どもがインド人の方に「インドで何がみたい?」と聞かれ、「ゾウがみたい」と返答し、「ゾウは、インドではお寺のお祭りの時しかいないね。では動物園に行こう!」と誘われたからです。動物園は日本も外国も一緒かと思っていましたが、実はインドではとても珍しい動物(それもローカル!)に出会えました。
また、インドは人間の生活するすぐそば(今回はハイデラバード大学内など)に動物がいました。動物とインド神話の関わりなどもお話をしていきたいと思います。
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動物園は1963 年に開園し、インドの初代首相ジャワハルラールネルーにちなんで命名されたそうです。150ヘクタールの敷地(東京ドーム30個分)で、約200種くらいの動物がいるそうです。とても広い動物園なのでライドカーに乗って移動して動物を見ました。
①ゾウ
インドというと「インドゾウ」ですね。寺の儀式で登場し、インドではガネーシャ神として崇められています。インドでは象は完全に家畜化されているのではなく、儀式の時に飼育するそうです。
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ヒンドゥー教のガネーシャ神は人間の体に象の頭、とても愛嬌がある姿でインドでもとても人気のある神様です。ガネーシャは、困難や障害を取り除き福をもたらすとされる、豊穣や知識、商業の神様です。
ガネーシャという名前はサンスクリット語で、『ガナ』=群集、取り巻き、『イーシャ』=主、長、から。そのほか『ヴィナーヤカ』(無上)、『ヴィグネーシュヴァラ』(障害除去)『ガナパティ』(群集の主)の神名を持ちます。私がお世話になったインド人の方の息子さんの名前「ヴィグネーシュア」もガネーシャ神の名前からつけたそうです。
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ゾウの顔を持つ神様でキャラクターとしても可愛らしいのですが、その姿になったのには理由があります。
ガネーシャは、ヒンドゥ教で一番有名なシヴァ神(破壊神)と女神パールヴァーティーの息子として生まれました。女神が入浴中に見張りを頼み、そこに近づこうとしたシヴァをガネーシャが止めようとして、シヴァが怒り、自分の息子の首を刎ねてしまったんです。悲しむパールヴァーティーを宥めるためにシヴァが最初に出会った動物であるゾウの頭を取り付けたそうです。
また、ガネーシャの牙は片方が折れているのですが、これは宴会で飲み食いしすぎて酔っ払って吐いてしまったところを月の神チャンドラに笑われて怒って自分の牙を切り取って投げたそうです。その結果、月は満ち欠けするようになったという話があります。
「チャンドラ」は、インドの月探査衛星のチャンドラヤーンの名前の由来でもありますね。インドはアメリカ、ロシア、中国に次いで4番目に月面着陸を果たした国です。日本は5番目です。
インドの神話(マハーバーラタ)では白い象(アルビノ:先天的に色素が作れない)は恵みの雲を作る生き物で、雨を降らせるものと考えられているそうです。諸国の王が雨乞いのために白い像を飼っていたそうですよ。
②ベンガルトラ、ライオン
トラは種としては1種のみなのですが、亜種としてベンガルトラがいます。主にインドに住んでおり、世界の半数の数のトラがインドに住んでいます(IUCN(国際自然保護連合)のレッドリスト2022年版では、4458頭のうち、2967頭がインドに住んでいます)。今でもインドのジャングルでは虎に襲われて亡くなる人もいるようです。私が動物園で見たベンガルトラはホワイトタイガーという変種(色素が少なくなる種類)でした。
ライオンはその名も「インドライオン」。アフリカにいるライオンより小柄ですね。一度インドでは1913年に20頭まで減少してしまったのですが保護に成功して500頭くらいまで増えたそうです。
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動物園の敷地がとても広く、ベンガルトラが悠々と泳ぐのを私は初めて見ました。
インドの神様の絵にはトラやライオンが多く描かれています。身近にいた動物なんですね。
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③蛇(キングコブラ)
インドには蛇が多くいます。動物園があるハイデラバードのあるテランガーナ州にも普通に毒蛇であるキングコブラやその仲間が住んでいます。
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インドでは地震や災害を起こす動物はゾウや蛇なんですね。世界を支える動物がゾウであるという概念はインドのアッサム地方(紅茶で有名ですね)にあり、大地は四角くてその4つの隅を4頭の象が支えています。くたびれた一頭の象が背中をかくと大地が傾いて地震が起こるんですね。
また、蛇が地下に棲んでいるという話はインドでは神話(スマトラ北部)で伝わっています。日本では平安時代に世界を取り巻く蛇という概念がインドから伝わっており、蛇が想像の生物である龍になり江戸時代に鯰に変化したものだそうです。
また、インド神話でも有名なナーガの王はキングコブラのイメージです。天気を制御する力を持ち、怒ると旱魃に、宥められると雨を降らすのだそうです。
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シルバラマンのマーケットでキングコブラと蛇使いの人形劇が行われていました。これこそインドのイメージ!です。
https://youtube.com/shorts/kr1zUJqNy-Y?si=l_-Lc0y98x4PCbI8
④ワニ
この写真のワニはインドガビアルという絶滅危惧種のワニです。主に魚を食べ、細長い口が特徴で水圧がかかりにくく、水中で素早く動かせるので魚を捉えややすい形をしています。ワニを動物園で見るとなると温室になりますが、ハイデラバードは最低気温が16度を下回ることがないため、外で飼育できるんですね。
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インドではワニはサンスクリット語でクンピーラというそうで、仏教でも漁師や船乗り、水商売など水に関わる人たちにご利益がある守護神になるそうです。薬師如来を守る十二神将の首毘羅(くびら)となって日本に伝えられ、金比羅さんの語源になったそうです。
また、今回、ハイデラバード大学に行ったのですが、日本では動物園でしかみられない動物に出会えました。大学もぐるっと見学に行ったのですが、運転手が全部森のようなところを、「ジャングル」と紹介してくれました😉
⑤孔雀
そこで出会ったのが、孔雀です。オスの美しい羽を持つ孔雀が近くを歩いていることに驚きました!
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動画も撮影したので、ご覧ください。
https://youtu.be/QYhA2RIdZiE?si=4fmdI5R5JgEkZDlk
インドでは孔雀は雨を呼ぶ鳥として知られています。オスの孔雀は猫のようにミャーオと甲高い声で鳴くそうです。その声は黒い雨雲を呼び、稲妻を起こさせると言われているので、雨乞いの神にもなっています。
インドでは黒雲は悪い雲ではなく、美しく恵みをもたらすものとされています。暑い日が多いインドでは太陽より黒雲の方が親しみをもたれているんですね。
仏教でも孔雀明王という仏教の信仰対象、密教の明王(インドの女神マハーマーユーリー)。孔雀は害虫やコブラなど毒蛇を食べるため、人々の災厄や苦痛を取り除くとされ、信仰の対象になったそうです。
大学内には、やはり毒蛇、蠍(サソリ)は普通にいると言っていました。
孔雀の羽は繁殖期である雨季が終わると抜け落ちるので、拾って装飾品に使うそうです。
⑥鯰(スティンギング・キャットフィッシュ)
地震を起こす動物は日本ではナマズですよね。インドの鯰も見てきました。
このナマズはスティンギング・キャットフィッシュ(棘のあるナマズ)です。背鰭と胸鰭の棘は毒針です。町の市場に売られていて、食用になっているそうです。上鰓器官(じょうさいきかん)という空気中でも呼吸ができ、胸鰭を使って地上を歩くこともできるそうです。
地震と関連してるという話はインドの方からは聞きませんでした。
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⑦ハヌマンラングール
ハヌマン(ハヌマーン)はインド神話では『ラーマヤーナ』に登場して、主人公のラーマ王子を助ける神ですね。神話では怪力の持ち主で戦場で負傷したラーマ王子に薬草を届けようとヒマラヤ山脈に向かうのですが、どれが薬草か分からずに山ごと担いで飛んで戻ってきたという逸話も残っています。
ハヌマーンは、孫悟空のモデルとも言われています。お父さんは日本でも有名な風神雷神の風神の方だそうです。インド神話ではヴァーユと言われます。
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この神の使いの動物が家のそばにいつもいるようで、とても人に慣れているそうです。この写真は今回一緒に動物園を周り、案内してもらったソニカさんのインスタグラムの写真です。バナナをあげたら喜んで食べたそうです。
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(おまけ)
前にお話したインドのご家庭にも神様がいっぱい!ガネーシャだらけ。孔雀の羽の飾りもありますね。
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参考図書:
災禍の神話学 沖田瑞穂著
インド動物ものがたり 西岡直樹著
インド神話物語百科 マーティン・J・ドハティ
ぼうさい豆知識~体感震度と計測震度
震度は今は震度計で計測して発表されています。日本列島には現在震度を測定する観測点が4,369か所(令和4年)と日本全国を網羅しており、世界一の観測網となっています。以下の図を見ても点が埋め尽くされているのがよくわかりますね。気象庁、地方公共団体、防災科学技術研究所(国の機関)などが管理しています。
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ではいつからこの観測網ができたかというと‥。1996年からです。
その前の年の1995年は日本で何の災害があったかというと?阪神・淡路大震災です。震度7の揺れでしたが、観測場所が少なく、すぐに震度が発表できなかったんですね。その反省から平成8年から網羅的に観測網が発達しました。
ではそれまではどうやって震度を観測していたかというと?なんと人の体感(主に気象庁職員)です。例えば、1949 年(昭和27 年)の「地震観測法」では、震度2(軽震)では大勢の人に感ずる程度のもので戸障子がわずかに動くのがわかる程度。震度5(強震)では、壁に割れ目がはいり墓石、石灯篭が倒れたり、煙突、石垣などは破損する。振り子時計が止まる等、人の感じかたと物の動きやその壊れ方が震度の基準だったんです。ちょっと曖昧ですね(実際に弱い揺れだと気象庁職員が寝ていて気づかなかったという話もあるそうですよ)。また、現在もそうですが大きな地震の際は地震時に各地点がどのような揺れであったかを、地震後に現地調査や地震時の建物の記録、人へ聞き取り調査を行い、震度の整理をすることもあります。
世界一の観測網があるからこそ、緊急地震速報などで、私たちが正確に早く地震の情報を取得できるようになったんですね。
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神田沙織 がりれでぃ スピンオフ
ナチュラル・サイエンス・ラボ
しぜんのかがく