♯夫婦 あなたが選んだアイス
あの日
あなたと一緒にアイスを食べようって言ったのは私だったのに
私はアイスを選ばなかった
新商品の何かを選んで
あなたと一緒に食べてみたいと言った
そんな私の気まぐれに
あなたはすっかり慣れてしまったね
結局あなたもアイスまで食べられなくて
その冷凍庫に入れたままになったアイスを
いま私が食べている
それは私が絶対選ばないもの
チョコとバニラは
甘すぎるし
ハーゲンダッツは
贅沢すぎる
それが全部あなたらしい
いつまでも子どもっぽい私が
ブラックコーヒーを飲んでいて
すっかりおじさんじみたあなたが
お砂糖たっぷりのココアを飲んでいるような
気難しい本や映画ばかりの私と
少年マンガやアニメばかりのあなたのような
遠いようで近いのかもしれないいろいろが
混じっている
子どもが昼寝をしている間
たったひとりで
こっそり食べるアイスは
そんなあなたとの思い出の味