あなたは走る
あなたは走る
あなたが走るその場所には
誰もいない
私の走らないでって言葉も
あなたの耳の右から左へと走っていった
あなたは走る
走る走る走る
そしてまた走る
誰かの気配を感じるたびに
あなたはその気配を追い掛けていた
それは警備員さんだった
そして通りすがりのマスクの人
それが鳥だった時もあった
でもあなたが探している誰かではないことが分かると
あなたは私の方へ戻ってきた
誰もいない場所は
まだ暗くないのに
少し心細い
風が強く吹いた
今日は暑かったのに
もう涼しい
あなたは諦めて私の手を引く
帰ろうと言うあなたは
あなたらしくなかった
きっとあなたが会いたかったあの人はもう帰っちゃったんだね
その時あなたはもう走らなかった