これは誰?

はじめまして、こんにちは。五行歌人の羽田怜花と申します。
 五行歌というのは日本発の現代詩歌の一形態で、古くからある俳句や短歌のように、歌会も行われています。
 昨日、とある歌会に参加した際に、こんな歌を提出しました。

 この時の出席者は私を含めて4人、他のお三方が評をくださいますが、そこで、3行目の「私」とは誰か、で意見が割れました。
 詠み手である羽田は、「私」=ビストロの店主の話を聞いている客、すなわち作品中の自分として作ったのですが、ビストロの店主=「私」という解釈をなさる方もいらっしゃいました。
 詩歌は短めの表現の中に思いを詰めるので、詠み手(作者)と読み手の間で意図が違うことは往々にありがちです。しかしながら、登場人物が誰を指すのか、について意見が分かれたのは(少なくとも)私は初めて遭遇しました。

 実は、最終的なこの表現に落ち着くまでの間、試行錯誤がありました。
 3行目以降は鉤括弧付きにしたり、着想時は「ビストロの店主」ではなく「ビストロの若き店主」だったり、と、最終形より詠み手の歌意がすんなり通りやすい表現ではありました。でも、説明的すぎるのと、1行があまりに長くて読みにくいと思い、提出時はこの表現にしました。たかが記号なのですが、その有無ひとつで大違いです。

 私は五行歌人の活動としては、今回の歌会のように、人様から評をいただく機会と、ZINEやペーパーを発行するといった(ビジュアル以外は)完全な個人プレーと、両方行っています。
 歌会はどうしても点数や席次に目が行きがちですが、やはり評をきちんと聞くのはすごく大切。昨日の歌会での発見です。


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