私がR-18の五行歌を詠む理由
五行歌なる現代詩歌を趣味で詠んでいる私めですが、いつかは、R-18の中でも官能の恋歌を詠んでいる理由をお伝えできたらと思っていました。ようやっと自分の日常に理由ができたので書いてみようかと思います。
1.今までの官能小説じゃつまらんかったから。
女性と男性では感じる官能ポイントは違うといいますが、それでもさぁ、と官能小説には違和感を覚えていました。
すごくおちゃらけていて、とにかく女性と交われれば、ひゃっほーい、ウヒョヒョとなるか、逆に、人間のネガティブな部分を描いてすごくダークで救いようがないほどに読後感が悪くなるかの二極化なような気がしたのです。
Happyさもあるけれど、人生の酸いも甘いも経験した人間の、落ち着いたウェットさを含んだ官能の表現ってできないかなと暗中模索し始めました。
ちなみに、「羽田怜花」は五行歌用の筆名ですが、官能の恋歌を詠いたいけれど本名では恥ずかしいし、歌中にある相手が実在だった時にわかっちゃうのもまずいかなぁ、という理由でつけました。
2.普通の恋歌では、色々つっこまれるから(笑)
初めて作った五行歌も恋歌でした……プラトニックな片思いの恋歌ですが。
五行歌の同人誌で作品を発表しはじめてしばらくの間、詠うのはプラトニックな恋歌ばかりでしたが、そうすると、リアルの歌会でお目にかかった同人の方から「あの歌のあの情景は実体験なんですか?」と訊かれることも何回か出てきました。
私は、創作活動全般において、「表現されたものはすべて実体験から生まれたか否か」と問われたら、自分自身に関しても他の人もNOであってもかまわないと思っています。
また、そういうことを訊かれるのは正直うっとうしいのです。うかつなことを言えないでしょ。適当にごまかすと、えー?本当ーーー?と来るし、もし本当のことを言えば、続きをせがまれるのは目に見えているしで、どちらにしても答えづらいのですよ。
それもあって、恋歌でも官能の歌も詠もうかなと思い始めました。
3.私自身の理想の性的行動を仮託したかったから。
お恥ずかしながら、私は過去にあまりいい恋愛をしてこなかったのですよ。その中でも、これも男性の中には、それだと気持ちよくなーい、と異議を唱える方がいらっしゃるかもしれない「避妊」については、時々、嫌な思いをしてきました。
離婚して慰謝料を払っている身なのに避妊したくない、とか、避妊したくないから早く結婚したい、子どもができたら君は家庭に入って子育てすればいいじゃない、とか。一言でまとめれば「身勝手」な男性とおつきあいしてことがありまして、もし子どもができたらどうするのよ?とか、私の人生なのに勝手に1人で決めないでよ、とムカつくことがありました。
という訳で、R-18の歌に出てくる男性には、避妊をしてもらう、具体的には、コンドームを付けてもらっています。詠み人である私は年齢的には更年期と言われて、閉経も目の前ですが、それでも詠む歌の中では。
「それでも」、なのは、望まない妊娠をする女性が減ってほしいからです。ニュースで、妊娠したけれど中絶できる期間も過ぎて出産して赤ちゃんを遺棄した話は耳にします。女の子の人生もめちゃめちゃになるし、赤ちゃんの命も葬られてしまう。そんな悲しいことが1件でも2件でも減ってほしい。そして、避妊したくないと言われて嫌な気持ちになった私の経験や、逆にしてほしいことを、私にとって一番身の丈にあった表現方法である五行歌で伝えられたらいいか、と。
それと、男子諸君、相手の女の子の体を気遣えるってポイントが超高いよ。マジで。
4.他の創作活動者の影響
官能の五行歌を詠った先人がいらっしゃり、彼女たちの作品を見て、リミットがはずれたところがあります。あ、こんなセクシャルな歌を詠ってもいいんだ、と。お名前をあげれば、観月(みづき)さん、小沢史さん(いずれも「五行歌の会」ご所属です)、白夜(さや)さん。
そして、五行歌の世界に足を踏み入れる前、20代前半の大学生の時に短歌を読んで(こちらは作らずに鑑賞するだけ)衝撃を受けたのが、太田美和さんの第一歌集『きらい』(河出書房新社刊)です。
こんなにストレートに性愛を詠ってもいいの?!
あの時の衝撃は、官能の五行歌を詠み始めた時に最もストッパーをはずしてくれたものでした。
ということで、R-18の五行歌を詠む理由、いかがでしたか?
人様と違う(かもしれない)理由も混じっていますが、こんな例もあるんだな、とご理解いただけたらと思います。