見出し画像

感性は耳から

フィットネスクラブやダンススタジオのスタジオレッスン担当インストラクターという仕事に就いて長いが、その間に音響機材や音源の仕様は大きく変わり機材面ではラジカセから始まってコンポ・出力の大きいアンプとデッキ、そしてスピーカーもどんどん本格的になってきたし音源はカセットテープ・MD・CD・iPod・スマートフォン・タブレットと30年前には想像だにし得なかった変遷を遂げている。

因みに、「いざレッスンを始めようとするも編集したカセットテープの頭出しが出来ておらず急いで巻き戻しするが待てど暮らせど終わらずそのうち受講者が痺れを切らして次々にスタジオから出ていってしまう」という夢を未だに頻繁に見る。

一昔前だとそんなカセットテープの頭出しに苦労していた訳だからCDや MDのボタンひとつで瞬時に使いたい音が呼び出せるようになったのも驚きなのに、今般の画面をスワイプすれば曲のどの部分もサッと再生出来るなんて技術革新はあの頃の自分がタイムスリップしてきたらショックで倒れてしまうかも知れない。

今でこそ最新のデバイスの恩恵を受け快適な仕事環境にはなったが、つい6年前ぐらいまで仕事現場には分厚いCDフォルダを抱えて参上し、多い時には10数枚のCDをとっかえひっかえ操作していた。あの体力は今の自分にはもう無い。

便利にはなったのだがとても気になる問題が浮上した。

ヘッドフォンで聴いている分には良い音に感じられるが、スタジオの機材に繋いで音を流すと何とも平べったい潰れた音に感じる事が増えた。特に今時のデジタルな曲だと顕著。アコースティックな生楽器中心の曲でも立体感のない湿気た煎餅のような音がする。

調べてみるとスマートフォン内での音楽はデジタル、音響機器側はアナログ、その信号変換作業がスマートフォン内でも行われてはいるのだが十分ではなく本領を発揮出来ぬままスピーカーから流されてしまうらしい。人によっては「軽自動車に力士を3人ぐらい乗せて走ってるような状態」と評する分かるような分からないようなとにかく大変な状態を改善するのがDAC(Digital-to-Analog Converter)と呼ばれるもの。

これまで使ってきたApple純正やAnkerの変換ケーブルと比較すると値段は安いものでも10倍はするし持ち運びもかさばるので安易に買うことは出来ない。リサーチを重ねて到達した結論がこちら。

iFi-Audio GO link という製品


複数の評論家のレビューでも必ず上位にランクインしている製品であるし持ち運びの利便性を重視する立場としては最適な選択だと考え仕事に向かう足で最寄りの家電量販店に立ち寄り購入。仕事場で早速iPadと繋いで音を出してみると一つ一つの音が分離してクリアに聴こえて至極快適。安価なヘッドフォンにもありがちな所謂「ドンシャリ」(低域部が強調され中音域以上はシャカシャカした音質になる)症状もなく最新のデジタルミュージックでさえアコースティックな響きを感じる。いつも受講してくれるメンバーにもモニタリングしてみると総じて聴きやすいとのこと。

難点を挙げるとすればただ一つ。iPadのバッテリーの減りが通常の2倍の速さになってしまうということ。レビューではバッテリー使用量は他の機種より低めであると書いてあったがあれはどういう測定方法で得た数値だろうか…

まあでも充電しながら使わなければいけないような長時間の仕事も稀である身には充分満足できる商品なので良しとする。

これで受講者の皆さんがグシャグシャに潰れた音に慣れきって美しい音を拾う能力も衰退し爛れきった感性でギスギスと身体を動かす危険性も回避出来ると思うのでここから私の本領発揮と行かせて貰うことにする。

いいなと思ったら応援しよう!