米Nasdaq市場 小型株 株式公開 IPOの現実 費用はいくらかかるのか!?
以下は、非米国企業が米Nasdaq市場にIPO(初期公開)を行う場合の経済的な側面と過程についての私的な見解です。
(個人的な見解であり、所属する会社、組織、運営している事業とは全く関係ありません)
仮に、
米国で事業を行っていない日本の企業が
米Nasdaq市場で10百万ドル(14億円、ドル円レートが140を想定)の
資金調達を目指すIPOを行うとします。
まず
必要となる費用は
自己資金とマッチングキャピタルとして
それぞれ5百万ドル(7億円)ずつです。
さらに、IPO初日に流通市場で発行した株式を買い戻すためには
(縁故です、残念ながら引受会社が求めることがありえます・・・)、
コントローラーが最大10百万ドル(14億円)を準備する必要があります。
その他にも様々な費用が発生します。
①投資銀行へのアクセスフィーは中央値で7%の0.7百万ドル(98百万円)、②SEC対策のための監査費用は最低でも0.5百万ドル(70百万円)です。なお、SEC対策は非常に困難なため、残念ながら、市場で一番安い監査人を使うことはできません。
加えて、
③4つの弁護士費用(企業の米国弁護士、企業のアジア・日本弁護士、投資銀行の米国弁護士、投資銀行のアジア・日本弁護士)は、合計で少なくとも0.7百万ドル(98百万円)が必要です。
④会社の役員保険の最低費用は0.15百万ドル(21百万円)、
そして
⑤取引所、印刷、EDGAR、証券代行、投資家向けPR会社などの費用は合計で0.12百万ドル(17百万円)となります。
さらに、
⑥企業内にCFOとIR担当者を置き、年間0.3百万ドル(42百万円)、
で米Nasdaq上場対策を遂行することも必要です。
一度に全額を準備する必要はありませんが、
上場するまでの予算として以下のような費用が必要となります:
①引受投資銀行:$0.7mio
②監査法人:$0.5mio
③法律事務所関連:$0.7mio
④役員保険:$0.15mio
⑤IR等の外部費用:$0.12mio
⑥社内の費用:$0.3mio
これらの合計で$2.5mio(350百万円)、
つまり約3.5億円の予算が必要となります。
確かに、(米国のみならず)IPOは
明確な目的、正常な営業履歴、健全なチームと
財務システム(3年間の監査済み数字)、
そして十分な予算を有していれば、
NASDAQは、上場に関していえば日本でのそれよりも
最短ルートとなります。
それでも、、、外部要因による不確実性が存在します。
例えば、
米SECが企業の目論見書(プロスペクタス)を何度も見直し、
コメントする可能性があります。
その上、目論見書が承認されたとしても、
SECが最終的にIPOを承認する保証はありません。
そのため、さまざまな理由で途中で断念する企業も少なくありません。
また、一度支払った費用は返ってこないのが現実です。
(上場するから・・・と言っての資金調達に応じるのは、
実際、「チキンゲーム」です。)
上記の費用と自社の新規株式が
自然に売れるわけではないので、
それを販売するための見えない負担、
そして最悪の場合は、
自分の友人・知人・取引先に
対象の新規発行株式を引き受けてもらう覚悟が必要と言えます。
小職の友人は、「ババ抜き」とまでは言いませんでしたが、
有価証券を使った「マルチ商法」に類似しているとまで酷評しました。
その意見を支持はしませんが、異なる意見を載せるのが
当Necromancer研究所の方針です。
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