見出し画像

ヒエロニムス・ボスの作品を巡って 3



朝日百科の表紙

 

ゲント美術館の「十字架を担うキリスト」

3番目には、現在は真作かどうか議論中の強烈な作品を出してみましょう。
 ゲント美術館の「十字架を担うキリスト」で オークパネルに油彩 76.7 x 83.5 cm

https://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Christ_Carrying_the_Cross_by_Hieronymus_Bosch_(Ghent)

です。これは、何度も原物を観ましたが、本当に凄い作品です。本当に怖いのは人間であるということを実感します。そして聖ヴェロニカの複雑な表情は、どうでしょうか?なんか少し微笑しているようにみえませんか?これに気がついたとき、さらに震撼させられました。

 

リング付き金鎖

 また、ボスの真作「三賢王の礼拝」(プラド)「聖アントニウスの誘惑」(リスボン)にみえる「リングつきの金鎖」というアイテムが、この作品の2カ所に出てくることも示唆的です。これはウイーンのKoreny博士の示唆によります。
 ヒエロニムス・ボスの真作でなくても、16世紀フランドル絵画で指折りの傑作でしょう。もうゲントのマスター作でも何でもいいから、偽物扱いはやめましょうね。

2016年 ゲント美術館で開催された激しい討論会の記事内容をできるだけ伝えたいと思って抜粋翻訳しました。
ゲント美術館での討論会
https://reijibook.exblog.jp/28268493/
ゲント美術館の討論会 第2ヴァージョン
https://reijibook.exblog.jp/28279913/

 もし、これがコピーだとして原画があったとしたら、ほとんど人間の作品とは思えないような超絶的なものになってしまうでしょう。従ってオリジナルだと思います。修理して年輪年代測定をやって、ヒエロニムス・ボス死後に伐採された材木が基底材だったら、まあそのときはそのときでいいのではないか、と思います。我々は、また一人、偉大な画家を見出した、彼は誰なんだろう??と考えればよいでしょう。
 日本のマスコミ・出版社や学者は、事大主義でBRCP(Bosch Research and Conservation Project)に追従しているようですが、このような事情は、知っているのでしょうか?
1979年3月11日の週刊朝日百科  世界の美術50の表紙まで飾った(イメージが証拠)作品に対して、このしうちはなさけない。
模倣作あつかいしている方々の一部には、アントワープの画家じゃないかとか言及していらっしゃる方もいますが、まさかとは思いますが、そういうことは無いとは思いますが、まさか、
・「ピラトの前のキリスト」(プリンストン大学美術館)
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Bosch_follower_Christ_Before_Pilate_(Princeton).jpg
:2001年のロッテルダムのボイマンスでのボス展で観ました。思ったより大きい絵だった、

・ヴァレンシア美術館の「受難 祭壇画」
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Tríptico_de_la_Passión_Museo_de_Bellas_Artes_de_Valecia.jpg
の画家と同じ画家だとみなしてんじゃないでしょうね? これらの作品とゲントの傑作の区別がつかないような節穴のような眼なら、美術史なんかやめて引退されたほうがいいでしょう。むいていません。
#西洋美術史
#西洋絵画
#ヒエロニムス・ボス
#ヒエロニムス・ボッス
#初期ネーデルランド絵画
#ヒエロニムス・ボッシュ

いいなと思ったら応援しよう!