見出し画像

瑠璃の部屋284

「妖怪と怨霊が動かした日本の歴史」(田中聡)を読んだ。

(まえがきより)
「源氏物語」は、古典のうちでもとりわけ人気の高いものだが、作者の紫式部を主人公にしたNHK大河ドラマ『光る君へ』によって、より幅広い層からの人気を得たようだ。

序章「源氏物語」のモノノケと病
 光源氏、モノノケと対決する

読み進めて思ったんだけど、あいつ、対決しないんだね。
なんか、この本の通りに解釈すると、色好みの木偶の坊。

ちなみに、源氏物語展覧会だっけかに行ったことがある。

当時、描かれた光源氏の絵を見ると、なんかドラゴンボールに出てくる魔人ブーみたいな。あれが、美男子のイメージだったんだと吃驚した。

本書は7章まであり、歴史年表にもとづき、その時期の不可解な出来事を収集した本。

怨霊から、次第に戦国時代の稲荷信仰へと話が遷移していく。
キーワードとしては
怨霊・陰陽師・祈祷・鬼・宝剣・天狗・龍・狐

民衆の間で広まる噂、真なのか偽なのか明確にせぬまま段落を終えていく。
中には、信憑性のある史書からの引用。

そして、読み進めるうちに狐が、どんどん力を増していく。
終盤は狐が主役になっている。当時は、狐や狸は人を化かすものというのが(考えられないことであるが)、常識になっていたらしい。うーむ。
そこに、異を唱える儒学者もいたが、民衆には受け入れられなかったうえに反論にあったと。おやおや。

(以下、抜粋)
「空海が東寺の塔を建立しようとして稲荷山の木を伐らせたところ、淳和(じゅんな)天皇が病気になったという。そこで宣明により、稲荷に従5位下の神階が贈られた。それから徐々に階位はあがり正一位になる。最高位まで昇格したのだ。
(以上)

いいんですか?・・・いいんです。

そのような信仰は、江戸時代には一層顕著になったらしい。
人心を惑わす存在として描かれている。

ITが進む現代の中に身を置きながら、こんな結びをしている。

「人の内に棲みついた狐たちは全盛期を迎えているのかもしれない」

この手の終え方、最近、見るなぁ。

「シン・妖怪と怨霊が動かした日本の歴史」