最初は「ド下手くそ」でも、「向いていない」とは限らない
ある企業で研修を行ったときに「皆さんは自転車に乗れますか?」と尋ねたところ、全員が「乗れます」と答えてくれました。
次に「では、子供のころに自転車に乗り始めたかと思いますが、補助輪なしで乗れるようになるまでどれぐらいかかりましたか?」と尋ねてみました。
その結果、自転車に乗れるようになるまでにかかった時間は人それぞれで、早い人で1週間、多くの人が1ヶ月ぐらい、遅い人で3ヶ月ぐらいという答えでしたが、中には「サドルに跨いだその日に乗れた」という猛者もいれば、「1年以上かかった」という苦労人もいました。
これをグラフで表してみると次のようなイメージになります。
できるようになるまでの時間は人それぞれですが、一旦できるようになってしまえばあとは一緒です。
実はこの研修のテーマは「新人の指導」であり、先ほどの問いは「できるようになるまでの時間は人それぞれなので、物覚えが悪いからといって見捨てないほうがいいですよ」ということを伝えたかったものでした。
このように新しく何かを習得しようとするとき、最初うまくできないからといって「向いていない」と決めつけるのは早計ですが、できるようになるまでの時間が長いと「そこまで待てない」というのも理解できます。
そのため、次の図のように初期の段階でうまくできないと「向いていない」と決めつけてしまうことも多いと思います。
例えば野球を始めた子供がピッチャーが投げたボールをバットに当てることができず、いつまでも三振ばかりしていると、親は「この子は野球に向いていない」と思うのかもしれません。
むしろ他のことにチャレンジしたほうが良い結果が出る可能性もありますので、野球を辞めてしまうのもごく自然な判断だと思います。
私も以前職場の先輩にゴルフの打ちっ放しに連れていかれたことがありましたが、初めてクラブを握って打ってみるとボールにほとんど当たらず、前に飛ばすことが全くできなかったため、「自分にはゴルフは無理」と思ってその後二度とゴルフに手を出すことはありませんでした。
とはいえ、テレビで私のようなド下手くその人がプロに教わってできるようになったのを見ると、もしかしたら私もちゃんと練習すればいつかはできるようになったかもしれないという思いも少しはあります。
(今更ゴルフをやりたいとは思いませんが)
向いているかどうかは結局やり続けてみないとわかりませんが、本人が結果が出なくても続けたいと思うかどうかが大事かもしれません。
本人はこれ以上やりたくないのに無理に続けさせても結局芽が出ないと本当に時間の無駄になってしまいますが、本人が「続けたい」と思うのなら仮に結果が出なかったとしてもその過程は決して無駄にはならないと思います。
そういう意味ではうまくできないことよりも、「やりたくないこと」「やっても疲れること」こそ「向いていないこと」かもしれません。
今回もお読みいただきありがとうございました。
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