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「自分の身は自分で守る」ということを日本ではあまり教えていません

日本の大企業の新人研修で教えている内容を整理してみると、「他者を尊重する」にかなりの比重を置いていることがわかります。

例えばこんな感じです。

  • お客様の期待に応える

  • 上司や職場の先輩の期待に応える

  • 周囲の人と協調して仕事を進める

  • 会社に迷惑をかけないようにする

  • 社会のルールを破らないようにする

という具合に、全部が「他者を尊重する」という文脈で語られます。

社会で生きていく以上、他者を尊重して他者と良好な関係を築くのは重要なことですが、一方で意外と教えられないことが「自分の身を守る」ことです。

例えば「職場で嫌な上司や同僚に出会ったらどうするか」なんてことは研修ではほとんど教えません。「仕事で嫌なことがあったらどうするか」なんてことも「自分の成長につなげよう」とか「捉え方を変えてみよう」といった”意識の高い話”ばかりで、どうすれば自分の身を守れるかはあまり語られません。
(私も立場上”意識の高い話”をしないといけないので言いづらいのですが)

いじめに苦しむ子どもが未だに少なくないのを見るとおそらく学校でも「他者を尊重する」ことや「集団行動のスキル」は教えられるものの、他人との関わりの中で「自分の身は自分で守る」ということはあまり教えられていないと思います。

ということで日本の社会人を見ていると「集団行動のスキル」はかなり高いが、「自分の身を守るスキル」はあまり高くない人が多いような気がします。

最近はメンタル不調になる人も増えてきているので、これからは社会人教育の中で「自分の身を自分で守る」ことを積極的に教えてもよいと思いますが、一つ副作用もあります。

というのは「自分の身を自分で守る」意識が強すぎてしまうと、その分「他者への尊重」や「集団行動への意識」が弱くなるということです。

私の両親もそうですが、中華圏では親は子どもに対して「自分の身を自分で守る」ことを口酸っぱく教えます。

例えば「悪いことをするな」というもの「他人に迷惑がかかるから」ではなく、「悪いことをすると自分が処罰されて酷い目にあるから」という理由で教えるのです。

もちろん実社会の中では他者とのバランスを取っていくのですが、出発点はあくまで「自分の身を守る」ことなので、それが日本人から見て「自己中心的な行動」に見えてしまうことでしょう。

ただ何事もバランスなので、「他者を尊重する」ことに偏り過ぎて弊害が出ているなら日本でも「自分の身を守る」ことをより積極的に教えてもいいかもしれません。

何せ世の中は「善人」ばかりではないので・・・

最後まで読んでいただきありがとうございます。