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史実をそれなりに守る日本の大河ドラマと、史実ガン無視の中華時代劇

私は映画でもドラマでも歴史ものが結構好きですが、NHKの大河ドラマなどは基本「フィクション」であり「エンターテインメント」として見ています。

とはいえ、NHKの大河ドラマの制作チームにはちゃんと歴史考証の専門家がおり、史実に反しない範囲内でストーリーを制作しています。

「誰が何をしたのか」史実で定説になっているものについては忠実に再現し、まだ定説にはなっていないことやそもそも記録がないことについては脚本家が創作を加えているというイメージです。

ただそれでも「この時代にこれはおかしい!」とか、「この人物がこんなことをするのはおかしい!」といったクレーム”貴重なご意見”が来るので、見る人によっては「(細かいところで)史実を無視している!」ということもあるかもしれません。

これが中国の時代劇になると豪快に史実をガン無視してくれます。

最初から架空の王朝の架空の人物の話という設定もありますが、実在した人物が主人公のドラマでも史実は完全に無視してエンタメに全振りしています。

どれぐらい史実を無視しているか日本の例でいうと、幕末の「江戸城無血開城」はまず山岡鉄舟が西郷隆盛に会って交渉し、その後かの有名な勝海舟と西郷隆盛の会談があるのですが、中華ドラマだと「キャラが2人いると分かりにくいし、山岡鉄舟よりも勝海舟のほうが有名なので、面倒だから全部まとめて勝海舟1人がやったことにしちゃえ」という感じで大胆に改変されます。

そんなわけで中華ドラマはキャラがある程度整理されていてNHKの大河ドラマより分かりやすいのですが、後で調べてみると「あれ?これって違う人物がやったことでは?」みたいなことが頻繁に起こります。

おそらくNHKにクレーム”貴重なご意見”を寄せるような「史実を大事にしたい方々」が見ると確実に発狂するレベルです。
(まあ、パラレルワールドのファンタジーだと思えばいいのですが)

こんな感じで同じ歴史もの大河ドラマでも日本と中国では大きな違いはありますが、史実に強くこだわる人の割合はどちらの国もそう多くはありません。「史実ガ~」はあくまで少数意見ですが、個人的にはその少数意見に対するスタンスの違いが背景にあるのではないかと考えています。

日本の場合は「少数意見を尊重する」というより、少数意見を「もめ事の種」として見てしまっているため、なるべく少数意見(文句を言う人)が出てこないよう注意していると思われます。

職場においても「波風を立てない」ということを最も重視するので、そのメンタリティがドラマの制作にも反映されているのかもしれません。

一方中国でももちろん少数意見はありますが、人はどうせ好き勝手に言いたいことを言うという前提があるので、基本は害がなければ無視です。
(害があると思われると鎮圧されますが・・・)

波風は立つものなので、「こんなの史実じゃない!」という苦情が来ても「ピーピー言ってうるさいな」ぐらいにしか思っていません。文句を言う方もどうせ相手にされないと分かるとそのうち諦めます。

もう一つ日本では少数意見であっても「正しさ」を相手に認めさせることができれば通ることがあります。

そのため、NHKに”貴重なご意見”を寄せる人も一生懸命自分の「正しさ」を証明しようとあの手この手で主張してきます。

これが中国になると正しいかどうかはどうでもよくて、少数意見という時点で負けです。もしどうしても自分の少数意見を通したいなら「力(権力、財力、武力)」が必要です。

色々な方面に気を遣う必要があるNHKの大河ドラマをよそに中国の大河ドラマは娯楽性最優先で作れますが、どちらが好みかは人によって分かれると思います。

余談ですが、中国でたまに日中戦争や国共内戦を扱ったドラマをやっていますが、そこで出てくる毛沢東があまりにもカッコ良すぎて別の意味で衝撃を受けてしまいました。これ以上は自粛しておきます・・・

最後までお読みいただきありがとうございます。

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