現代人の感性を育む、手帳『和暦日々是好日』のある暮らし
手帳を買った。
同じものを3冊買った。
その手帳の名前は「和暦日々是好日(われき にちにちこれこうじつ)」。
迎え入れるのは、今回で8回目だ。
2017年からの7年間は、自分用に1冊購入して愛用してきた。
しかし、2024年版は「この手帳を ”誰か” にも贈りたい!」という衝動に駆られ、無計画に3冊購入。
手帳を贈るって、なかなか無いですよね。
だけど、この手帳ならきっと素敵なギフトになるだろうと思った。
それくらい特別なものだから。
一体何が特別なのか。
この手帳は、どのような存在なのか。
これを機に、言葉にしてみようと思った。
令和の時代に、あえて和暦に触れる意義
デジタル化が進むこの時代に、紙の手帳の出番なんてあるのか?
そう思われる方も多いかもしれない。
わたし自身、スケジュール管理はGoogleカレンダーなので、手帳を使うことは無い。
では、なぜ 「和暦日々是好日」を7年も使い続けているのか。
それは、手帳を読んでいると自分の感性が育くまれる実感があるから。
そう、
この手帳は「書く」よりも「読む(眺める)」に相応しい。
ページを開けば、日本の暦や季節にまつわるあらゆる情報が惜しみなく詰まっている。
月の満ち欠け、二十四節気、七十二候、和風月名といった古来の暦はもちろん、季節に関連した俳句・和歌・漢詩・禅語・絵画・コラムがびっしりだ。
ページの至る所に、美しい言葉・絵・智慧が散りばめられている。
こんなに豊かな表現が詰まった手帳、今まで見たことがない。
書かれている内容は、どれも知らない事だらけ。
春の感じ方、表現の仕方もいろいろあるのだなぁ。
桜は昔から特別な存在だったのだなぁ。
ページをめくるたびに、発見と感動があるのだ。
8年前のわたしが、失いかけていたもの
遡ること8年前。わたしは仕事三昧の生活を送っていた。
そんなある日の帰り道、
自宅近くの満開の桜を目にして、言葉を失った。
それは「桜が美しいから」ではなく、
今の今まで、桜の存在に全く気づかなかった自分に驚愕したからだ。
こんなにも美しい桜が目の前にあったのに、毎日見向きもしなかったなんて。
わたしは一体、何を見て、何を感じて、生きていたのだろう……。
このままでは、大切な「何か」を失ってしまう。
季節の移ろいを感じる暮らしをしたい。
そんな焦りと危機感をキッカケに辿り着いたのが、「和暦日々是好日」だった。
めくる度に現れる、北斎の美しき世界
初めて手にして驚くのは、ブックデザイン全体の美しさ。
表紙やカバー、紙、フォントなどの装丁はもちろん、構成、レイアウト、図版、コラムなど、隅々に至るクオリティが素晴らしすぎる。
手帳の企画・構成・執筆を行うのは、和暦研究家の高月美樹さん。「和暦 日々是好日」の制作をはじめて20年以上が経つという。
2024年版の作品も、また素晴らしい仕上がり。
こちらの美しい絵をご覧あれ!
2024年は、なんと!
全頁にわたって葛飾北斎の絵で構成されている。
北斎は、植物、風景、野菜、動物、人々、風、雨、雷などの自然現象など、90歳で没するまで、森羅万象を精力的に描き続けた絵師。
その作品の数々が、2024年版の至る所に散りばめられていると言う。
なんて贅沢な手帳なのでしょう。
このような思いが込められた「和暦日々是好日」は、美樹さんの幅広い知識、豊かな感性、そして自然への深い愛情がぎゅぎゅーっと濃縮されて作られた。
手帳の域を超えた、唯一無二の「作品」と言えるだろう。
大切な人に広げたい、季節を感じる「豊かさ」の輪
いよいよ、この特別な手帳をプレゼントする日がやってきた。
出かけた先は、長年通い続けている美容院。
美容師さんと過ごす時間は、定期的に、数時間、必ず訪れる。
わたしたちの共通の話題は、もっぱら「日本文化」だ。
これまでも、季語、着物、金継ぎ、日本舞踊、日本史、日本美術など…色んな話をしてきた。その時々の互いの興味をよく話す。
そんな関係性もあり「和暦日々是好日」に興味を持ってくれるだろうと思い、今回プレゼントさせていただいた。
プレゼントは、大成功!
とてもとても喜んでくれた。
なんて嬉しいコメントも!
思いを共有できて、わたしも幸せ。受け取っていただき、ありがとうございました。
いろいろな世代・属性のお客さまとのお喋りに、日本の暦や四季の話が繰り広げられたら、心も豊かになるはず。
美容院で過ごす時間が、より一層 素敵な時間になるに違いない。わたし自身も次回の美容院が今から楽しみだ。
残りのもう一冊は、来月お世話になる友人への手土産にする予定。
無計画に思い立った「和暦日々是好日」プレゼントだったが、大切な人と、和暦のこと・季節のこと・自分たちの感性のことを話す良いキッカケになった。
✳︎
こちらは、手帳の最後にも記されてある『センス・オブ・ワンダー』の一節。
季節を感じて生きることが当たり前でなくなってしまった現代だからこそ、意図して、その感性を取り戻すことが必要なのだ。
「和暦日々是好日」は、現代人の感性を育む最高の教科書になる。
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最後まで、読んでいただきありがとうございました。
2024年版「和暦日々是好日」のスタート(旧暦のはじまり)は、2月10日から。
まだ少し時間があります。
ご興味ある方は、ぜひお手に取ってみてくださいね。
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