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【シーズンテーマ・言語】——架空世界の言葉の調査から、現実に存在する言葉を扱うタイトルたち
シーズンテーマ「言語」。近年のゲームでは架空の言語を調査していくタイトルや、現実の言語にアプローチしたタイトルが数多く見当たる。
言語を題材にするゲームは決して難しいものじゃない。架空の言語解析する行為がパズル的なゲームプレイに繋がるほか、言葉がわかることで作中の世界観を知ったり、登場人物とのコミュニケーションを取ったりすることで物語の展開が広がるなど、ゲームプレイとして豊穣な要素が数多く含まれているのだ。
また、小説から詩のような、既存の言語表現を扱ったビデオゲームもいくつも登場している。ビデオゲームの持つインタラクションの要素を使い、小説や詩の構造を越えるようなタイトルも出始めている。
いま、言語をテーマとするゲームは水面下でホットな題材である。そんな言語を扱うタイトルや、インタビュー、コラムなどを特集していく。随時更新を予定。
●架空の言語を解析し、世界を広げていくタイトル
『Sethian』——異星人の言語を探り世界を広げる。ここ10年の架空言語テーマを先行した一作。
異星人の言語を探るADV。ここではゲーム全編にほぼ架空言語しかない。それをゲーム中のメモを使いながら読み解いていき、異星人とコミュニケーションを取っていく。
こうしたゲームプレイは、実際に現実で他言語を覚えることで、世界を広げていく感覚を得ることに近い。開発者のグラント・クニング(Grant Kuning)氏が他言語を覚えていった経験が、本作に生かされている。いまも散発的に登場する、架空言語をテーマにしたゲーム体験の基礎となる一作ともいえるだろう。
『Heaven's Vault』——古代言語を巡る、自身と世界の歴史を知る旅
プレイヤーは考古学者として、数万年前の古代文明の言語を解析することで、過去の歴史も明らかにしていく。ここでの言語とは、作中の世界を知るということだけではなく、連綿として続く歴史と自分自身を知っていくことを目的としている。
様々なジャンルでゲームの物語表現を追求するデベロッパー・inkleによる、言語への挑戦が印象深い一作だ。
●言語表現から生み出される新しいゲーム
『Haikuna』——既存の英文学から、俳句を作り上げる異色言語パズル
英語圏のクリエイターが日本の俳句に注目した実験作。パブリックドメイン切れの英文学の一文から単語を探していき、英語で俳句を生み出そうとする異質な作品。紹介テキストにはインタビューもあり。
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