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『月の裏側のビデオゲーム』—未知のゲームを発掘する特集

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“ビデオゲームの可能性”を追求した、あらゆるゲームを取り上げる。あなたが知らないビデオゲームの世界がここにある。
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2024年8月の記事一覧

実在するフィリピンの偉人たちによる、まさかのスタイリッシュな 2D対戦格闘ゲーム!『BAYANI:Fighting Game』

『BAYANI:Fighting Game』はフィリピンにまつわる歴史上の偉人たちをモチーフに作られた2D格闘ゲームだ。2019年Steamでアーリーアクセスとしてリリースされており、今年開催されたEVO JAPAN 2024ではアーケードプラットフォーム「exA-Arcadia」での稼働も発表されていた。 筆者が本作と出会ったのは2019年ラスベガスで開催された世界的格闘ゲーム大会「EVO 2019」だった。その会場の中でインディー開発による対戦ゲームが中心に出展されたブ

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『Playing Kafka』— “カフカの小説とは、笑いと恐怖のコントだった”と無料で気づけるゲーム。プレイヤー自身が得体の知れないシステムとなり、『審判』や『城』の主人公の運命を操作するかのようなADV

文学とビデオゲームの関係ということでは、数ある古典的な小説家のなかでもフランツ・カフカの小説ほどビデオゲームにインスパイアを与えたものはないように思う。しかし、ここまでの不条理文学の古典となりすぎることで、固いイメージが少なくないだろう。 『Playing Kafka』はそうではなく、「あの小説はよく考えたらコメディとホラーが混ざり合ったコントみたいなものだったのではないか?」と、ビデオゲームの力によってかの古典を再解釈させる力を持つ一作なのである。 そんな再解釈を無料で

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▼日常▼ファジーでファンタジーなチャイルドフッドメモリー『Five Years Old Memories』【月の裏側のビデオゲーム】

▲シーズンテーマ『日常』に参加しているテキストです 『Five Years Old Memories』は強く人に勧めたい、だけどできることなら自身の体験として多くを知らないまま触れてほしいと、同時に願いたくなる稀有な作品のひとつだ。まさに「体験」としか呼びようのない本作に漂う独自のプレイフィールは、どんな言葉をあてがおうとも説明し尽くしがたいむず痒い思いを抱かされる。 計7つのチャプターからなる本作は、それぞれに作者である小光氏が友人たちへ聞いた5歳ごろの記憶に関するイン

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