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育てるくんとバスケットボール

前回は育てるくんの名前の由来となったエピソードを紹介しました。

https://note.com/rei_rei_01/n/n957126e482c1

今回は、育てるくんがバスケットボールで抜群のコントロールを見せたときの話をします。

あれは私が中学2年になったときの話です。

春の陽気が温かく、気持ちのいい昼休憩でした。

校舎の3階の廊下に、生徒が集まってザワザワしています。

野次馬根性で友人と見に行くと、皆廊下の窓に集まって外を見ていました。

校舎の向かいには、丁度体育館があり、3階からは体育館を少し見下ろすような形になります。

外からは、ドーン、ドーンという音が連続して聞こえてきました。

「何・・・」

窓から外を見ると、体育館の屋根の上に、育てるくんがいました。

体操服に着替え、薄笑いを浮かべたまま、バスケットボールをドリブルしています。華麗な足さばき、そしてボールさばきでした。

「育てる君、バスケ部やっけ?」

私がそう聞くと、友人は、

「違うと思う。」

そう答えました。


ひとしきり華麗なるドリブルを披露した育てる君ですが、

ふと動きをとめ、真剣な眼差しでこちらを見上げました。

メガネがきらりと光りました。


やばい。


一瞬で、全員何かを本能的に感じたと思います。

次の瞬間、満面の笑みで育てる君が3階の窓めがけてシュートを放ちました。

同時に、窓際にいた私たち生徒は蜘蛛の子を散らすように逃げました。

ボールは美しい弧を描き、見事3階の空いた窓から廊下にすぽっとゴールインしました。すごいコントロールです。

私と友人の目の前を、飛び込んできたボールが、ばいんばいんと跳ねて転がっていきます。

全部がスローモーションに見えました。

間一髪、負傷者はゼロでした。

いざという時の人間の瞬発力・集中力ってすごいですね。


その後、先生たちにより、育てる君は無事捕獲されました。





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