リコーダー袋の話
私には4歳上の姉がいます。
同性で中高の在学期間がかぶらないため、昔から姉のお古を使う機会が多くありました。
普段それほど気にしていなかったのですが、時々少し恥ずかしいと感じることがありました。
今日はそんな中でも、
「頼むから新品買ってくれ。」
と思った時の話をします。
中1の音楽の授業、その日はリコーダーでした。
アルトリコーダーを持ってくるように言われ、私は姉のお古のリコーダーを持参しました。
前日に母がカバンに入れておいてくれたのですが、リコーダー袋がないから縫っておいたよ、とのことでした。有難い話です。
翌日、音楽の時間にリコーダーを取り出すと、青のギンガムチェックの手縫いの袋に入っていました。蓋のところにはロイヤルブルーの大きな薔薇も付いていました。
ちょうどその時、母は手芸に凝っており、布で薔薇を作るのにハマっていたのです。
青の薔薇はクセ強い。
そう思いました。
周りを見渡すと、全員YAMAHAの専用袋から新品のリコーダーを取り出していました。
はじめてリコーダーがカッコよく見えました。
授業は、まずはリコーダーの扱い方から始まりました。
本来リコーダーには、中を手入れするための掃除棒と布がセットされています。
先生が、「練習で、中を拭いてみましょう。」といいました。
私は手縫いのリコーダー袋を逆さにして振りましたが、掃除棒も布もありませんでした。
「ないやん。」
ちょっと絶望を感じました。
仕方ないので皆が拭いている間、机の下の方でリコーダーを解体したり、組み立てたりを繰り返して何とかやり過ごしました。
この辺からおかしいなと思い始めました。
私のリコーダーだけ皆のより黄ばんでいるのも気になり始めました。
しかしながら何とか順調にやり過ごし、授業が後半に差し掛かったときのことです。
「うわ!」
近くの席の友人が半笑いでそう言いました。
嫌な予感がしました。
「袋、青やん!」
おい、やめとけよ。
そう思いました。
「しかも、薔薇ついてるやん!薔薇青やん!!!」
周囲がザワザワしはじめて、人が集まってきました。
私の顔は真っ赤になりました。
お古に慣れている私ですが、この時ばかりは、
「新品買ってくれ。」
そう切に願いました。
以上が手縫いのリコーダー袋が原因で恥ずかしい思いをした時の話です。
今となっては母とも友人とも思い出して笑える、良い思い出の1つです。
めでたしめでたし。
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