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心疵

「人を傷つけてはいけない」


小さな子供でもわかる、
簡単なこと。
間違いじゃない。
間違いじゃ、ないんだけど。


    でも、僕のこの痛みは、
        どこに行けばいい?


無意識に、誰も悪気なく、
周りは幸せでいるために、
僕を敵にした。

自分を守るために、
僕を踏みつけることが
必要だった。


だから何?

僕を敵にすることで、
その気持ちは収束したのか?

それならさ……
僕の気持ちは、どうなるの?

僕の心は、
僕の中で消せばいい?


優しくありたい。
みんなと笑い合いたい。
小さな幸せを感じたい。

これって、そんなに難しいこと?

そんなことすら、どうして叶わないんだろう。
それさえ叶わないなんて、
世の中って、
生きるって、難しい。


周りが幸せでいるために、
僕は犠牲になるべきだった?


僕の願いとは裏腹に、
言葉が、
目線が、
すれ違っていく。

そのたびに、
僕の心は少しずつ欠けていく。
その欠片が、
風に吹かれるように散り落ちていく。


小さな子供でもわかる、
簡単な一線を越えないことですら、
僕にはできなかった。

空いた場所が埋まらないまま、
裂けた心が繋がらないまま、
そこから溢れたものが、
永遠に消えぬまま、僕を縛りつけている。

僕の心が、
    僕を裏切るように動き出す。



    僕の敵は……
        ……僕だった。





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