【うた#18】「君はマスクを取らない」
これからの君に捧げるうた
誰のそばでも幸せでありますように
陽だまりのような優しさと
水たまりのような寂しさを
君の微笑みは抱えているから
それを見ると僕は息苦しくなる
日常に皹が入ろうと
傘のない雨に降られようと
心絆した赤い毛糸を
引き裂かれようと
君はマスクを取らないんだね
僕は沈黙の帳の中で
君の世界への外出を自粛する
新しい季節に着替えたこの街で
着古した命を君は纏っていた
空の下 物語り合った
僕たちの青春の踊り場
次の蕾が開く頃には
幕が下りるけど
君はマスクを取らないんだね
僕はフレーズを今も探している
桜吹雪けど 揺るぎないもの
僕の中にも見つけられたの
春の岐 ふたりの未来
言葉の花を最後に贈らせて
廻り続ける地球の上で
変わり続ける時代の中で
君の中にある絶対をいつまでも守り続けて
君はマスクを取らないでいて
――――――――――
新型コロナウイルスは、
世界のあらゆる姿かたちを変えてしまった。
多くの人の生活を打ち壊し、
多くの人の希望を削ぎ落とし、
多くの人の命を奪い取ってしまった。
それでも失くしたものばかりじゃないし、
変ってしまったものばかりじゃない。
僕自身そうだった。
自分の中にある
揺るぎないものの存在に気付く
きっかけをくれたのは、
コロナだった。
正解がないからこそ、
日増しに時代のスピードは
上がっていくからこそ、
いつまでも変わらない存在は尊い。
生きていく上で、変化はつきものだけれど、
変化しないという選択肢もある。
何が起きようと揺るぎない
自分だけの絶対は、
これから待ち受ける人生の岐で、
自分の進むべき方へ針を向ける
コンパスになる。
――――――――――
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