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人は物語りたい生き物。
――子どもの頃、よく母親にその日あったことを話していたじゃないですか。あれが本質に近いと思っていて、機会があれば自分のことを話したくて仕方がないと思うんです。
人生は物語。
どうも横山黎です。
今回は「人は物語りたい生き物」というテーマで話していこうと思います。
📚2時間半のインタビューの末
最近僕は住み開きシェアハウス「はちとご」を舞台にした本を作るために、いろんな人に取材をしています。そんな日々のなかで気付いたことを、今日は綴っていこうと思います。
住み開きとは、家屋の一部を地域に開放すること。つまり、はちとごはシェアハウスでありながら、コミュニティスペースでもあるんです。「はなれ」と呼ばれる場所を地域に開放していて、学生や社会人の交流の場になっています。かくいう僕も、友人から誘われてはなれに立ち寄ったことがきっかけで、はちとごと関わるようになりました。
そんなはちとごですが、秋にお引越しをするとのことで、何か思い出に残したいと思うようになったんです。僕は書く人だから、作家としてはちとご本をつくろうと決めたんです。
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そんなこんなで最近ははちとご界隈の人にひたすらインタビューしています。ちなみに昨日は4件。計5時間半の取材を行いました。やっぱりそれだけの時間を費やす価値があるし、実際やってみるとたくさんの実りがある。
昨日住人さんにインタビューしたんです。2時間半(笑) そりゃあ住人だから語りたいことはたくさんあるし、伝えたいことは溢れるように出てくる。2時間半飽きることなく聴くことができたんですが、最後にすごい感謝されたんですよね。
話を聴いてくれる人がいる。それってとっても価値のあることなんですよね。そのときに僕が改めて思ったのは、「やっぱり人は物語りたい生き物なんだ」ってこと。
📚人は物語りたい生き物
この前書いた「聞き上手になってよかったこと」という記事のなかでも触れましたが、現代人はめっちゃ発信したがり。昔は機会がなかったからそんなことはなかったけれど、インターネットやSNSの台頭のおかげさまで、みんな発信をするようになった。
承認欲求を満たしてくれるし、自己実現も叶えられる。人の高次の欲求を満たしてくれるんですよね。
本来的に人間は自分の話をしたくて、誰かに聴いてほしいんだと思います。だから言葉を綴るし、エピソードトークをする。
子どもの頃、よく母親にその日あったことを話していたじゃないですか。あれが本質に近いと思っていて、機会があれば自分のことを話したくて仕方がないと思うんです。
それは「楽しかったことを知ってほしい」とか「うれしかったことを共有したい」とか「褒められたことを話したい」という純粋な心からくるもの。
それは全く悪いことじゃないと思っていて、それを満たしにいくことは価値あることだし、健全で、綺麗で、ステキなサービスになるポテンシャルもある。そんなことを思いました。
📚物語を残すという価値
唐突ですが、僕の永遠に叶わない夢は「永遠に生きること」です。もちろん肉体的には終末を迎えるけれど、誰かの記憶のなかでいつまでも生き続けたいんです。そのためには「物語」が必要だと考えていて、だから僕は作家をやっているという話にもつながります。
キリストはもう死んでいるけれど、聖書があるから、宗教があるから、信じている人がいるから今でも生きているわけじゃないですか。
紫式部はもういないけど、『源氏物語』があるから今でも生きていると思える。古文の授業で学ぶから、「式部ってこんな物語書いたんだな」と認識する瞬間が必ず来る。
最近の話題といえば、ジブリ最新作『君たちはどう生きるか』が挙げられますが、宮崎駿監督は100年後も1000年後も生き続けられる人なんじゃないかな。みなさんにもなんとなく伝わると思います。
そんな意識があるから、僕は物語を書く人でありたいし、いつまでも残る物語を書きたいと思っているんです。
しかし、これは僕に限った話ではないなと、最近思うようになりました。
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僕が作家であることを知って「僕のこと書いてほしいね」と口にしてくれる人が何人かいらっしゃいました。また、はちとご界隈でインタビューしていくなかで、「いつか自叙伝を出したいと思ってるからそのときに執筆をお願いするわ」と声をいただくことも。
本を出したいとまではいかなくても、昨日のインタビューした彼女のように、自分の話を聴いてほしいと思っている人はたくさんいる。過去の写真を集めてつくったアルバムに需要があるように、自分の過去のエピソードを物語する、本にする需要はあるんじゃないかなと思いました。
取材することで、「自分の話を聴いてもらいたい」という欲求を満たしにいけるし、それを物語にすることで「自分の物語を残したい」という欲求を満たしにいける。そんなことを思いながらインタビューしているこの頃です。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
20230804 横山黎