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手売りで100万枚⁉シンガーソングライターのDariさんに出逢えた話。

――もはや手売りとは体験で、僕らはその体験価値にお金を払っているともいえます。実際、僕がDariさんとお会いしたときに、この機会を逃したら次いつ会えるか分からなかったわけだし、ずっと応援してきたDariさんだし、CDを買おうと行動に出ました。


人生は物語。
どうも横山黎です。

作家として本を書いたり、木の家ゲストハウスのマネージャーをしたり、「Dream Dream Dream」という番組でラジオパーソナリティーとして活動したりしています。

今回は「手売りされて分かった手売りの意義」というテーマで話していこうと思います。


🏨ずっと会いたかった人と上野で…

一週間前の話になりますが、いくつか用事があって東京に行っていたとき、ふしぎな巡り合わせがありました。その日は、大学時代にバイトで一緒だった先輩と夜飲んでいたんですが、1軒目から2軒目へと店を移すときのことでした。

僕らは上野で呑んでいて、一軒目は居酒屋に入っていたんです。2時間くらいいて、その後、上野駅近くのバーに行こうという話になりました。ちなみにそのバーの名前は「Bar Bookshelf」。その名の通り、本棚のあるバーでして、お酒を飲みながら本の話をする時間を過ごすことができます。

お酒もおいしかったし、シャインマスカットをサービスしてくれたし、マスターも気さくな方でいろんな話をしてくれましたし、すこぶる居心地の良い場所でした。

その話はまた今度にするとして、その「Bar Bookshelf」に行くまでの道中で、僕らはシンガーソングライターのDariさんに出逢うことができたんです。

手売りでCDを100万枚売ろうとしている路上シンガーです。


🏨手売りで100万枚⁉

Dariさんは最初で最後のシングル「I Say Goodbye」を手売り販売のみで100万枚売るために、毎日路上ライブをしているシンガーソングライターです。

100万枚、つまりミリオンセールを達成しようとしているわけですが、なかなか茨の道であると思いますよね。ただ、既に3万枚弱は手売りしているようでして、コンスタントに続けていったら100万枚も夢じゃないのかなとぼんやり思っています。インスタのストーリーズをちらっと見たら、昨日は16枚売っていたそうですし(笑)

実は僕は以前からDariさんのことは知っていました。2,3年くらい前からかな、TikTokやYouTubeで弾き語りされている動画を視聴していたんです。もちろん「I Say Goodbye」も知っていたし、他の曲をカバーしている動画も見ていました。

僕が近年童謡の「にんげんっていいな」の魅力を再認識したのも、思い返せば、Dariさんが弾き語っている様子を観たからだった気がします。「こんなに良い曲だったけ」と衝撃を受けた記憶がありますので。

唯一のオリジナル曲「I Say Goodbye」も僕好みの良い曲でして、いつかDariさんに会えたら必ず手売りしてもらおうと思っていたんです。その夢が、先日叶ったというわけです。


🏨手売りの意義を再認識

Dariさんは想像以上に気さくな方で、想像以上に元気をもらえる声をしている方でした。僕がCDを買いたい旨を伝えると、すごく喜んでくれまして、サインももらえたし、写真も撮ってもらえたし、僕のために「I Say Goodbye」をその場で披露してくれました。

そこまでされちゃったらファンになるしかないじゃん! 演奏後、僕はエールを送って、その場を後にしました。不覚にも「良い夜だな」と呟いたことを覚えています。

僕自身、大学時代に手売りしていた過去がありました。

大学3年生のときに小説『Message』をAmazonで出版したのですが、まだ無名の大学生の本など見つかるはずもないから、自分の手で届ける決意を固めました。

大学の友達、小中高の旧友、お世話になった先生方、イベントで知り合った人たち……たくさんの人に会い、たくさんの人に『Message』を紹介し、たくさんの人に届けてきました。

今では260冊以上の『Message』が誰かの手に渡っています。

はじめは自分の作品を届けることが目的で始めた手売りだったけれど、次第に別の意義を感じられるようになりました。

手売りの際、お客さんの顔を見て、手で渡して、一言でも二言でも言葉を交わすことで生まれるコミュニケーションがお客さんの満足度を上げていたのです。

本の中身が面白いかどうかなんて、お客さんは分からないんです。僕はビブリオバトルをやってきたから人よりも本を紹介する能力に長けているとは自負しているけれど、それでも限界はあって、その場で1000円を出すハードル確かに存在しています。

ただ、それでもお客さんが本を買ってくれるのは、「応援」しているからであり、手売りという現場感あふれる「体験」に価値を見出してくれているからでした。これは実際にお客さんからの声をもとにした持論です。

なかには「応援で」という言葉を添えて5000円で買ってくれる人もいたし、せっかくだからといってサインを求めてくれる人も少なくありませんでした。

CDショップでCDを買うときにはない価値が『I Say Goodbye』の手売りにはあるし、本屋さんで本を買うときにはない価値が『Message』の手売りにはあるのです。

もはや手売りとは体験で、僕らはその体験価値にお金を払っているともいえます。実際、僕がDariさんとお会いしたときに、この機会を逃したら次いつ会えるか分からなかったわけだし、ずっと応援してきたDariさんだし、CDを買おうと行動に出ました。

僕は今、ちゃんと文学賞を獲って商業デビューを果たそうと挑戦を続けているんですが、たとえその夢が叶って出版社からちゃんと本を出しても、きっと手売りをするんだと思います。本屋さんに並んだとしても、手売りをしまくるんだと思います。その方が、お客さんの顔が見れるし、言葉を交わせるし、とっておきの体験を提供できるのだから。

Dariさんとの出逢いを通して、改めて手売りの意義を再認識したという話でした。

そういえば、明日、母親のママ友が僕の本に興味を持ってくれているので、『Message』を携えて東京まで行ってきます。そういうことを繰り返しながら、多くの人の心を動かすような作家を目指します。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

20241105 横山黎





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