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「本」で、知的活動を。

――子どもたちの良い表情を見ることはできたし、最低限イベントとして成立したかなと傍から見ていて思いましたが、まだまだ伸びしろはあるなとも思ったので、今回は昨日の活動を振り返ってみて、僕が思ったこと、感じたことをずらっと書いていきます。


人生は物語。
どうも横山黎です。

作家として本を書いたり、木の家ゲストハウスのマネージャーをしたり、「Dream Dream Dream」という番組でラジオパーソナリティーとして活動したりしています。

今回は「『本』で、知的活動を。』というテーマで話していこうと思います。


📚寺子屋サークルの活動に参加

昨日の夕方、僕の母校の大学の寺子屋サークルの活動に参加してきました。学校でもなく塾でもなく児童館でもない、子どもたちの学びの場づくりを目指すサークル。僕はもう大学を卒業しているんですが、卒業間際に顧問の先生に誘われて、社会教育に関心があったので二つ返事で了承することになったんです。

4月から木の家ゲストハウスの管理の仕事を始めて忙しくなっていったこともあり、なかなか参加できずにいました。オンラインでできることをたまに対応するくらいでした。ただ、やっぱり現場を目撃しないと見えてこない実態があるし、実践していかないと僕の意見は信頼されない。そんなことを思い、昨日、ゲストハウスの仕事の休みをずらして、初めて寺子屋サークルの活動に参加してきたというわけです。

昨日の活動は、色水実験をするというものでした。野菜や花から色素を抜き出して、水を染めるというもの。幼稚園児から高校生まで20人くらい集まったんじゃないかな、みんなでわいわい楽しみながら実験をしていきました。

子どもたちの良い表情を見ることはできたし、最低限イベントとして成立したかなと傍から見ていて思いましたが、まだまだ伸びしろはあるなとも思ったので、今回は昨日の活動を振り返ってみて、僕が思ったこと、感じたことをずらっと書いていきます。

ちなみに、次の活動日は6月28日なんですが、その回の企画のひとつは僕が担当することになったので、そのときに活かすためにも真摯に向き合っていきます。


📚寺子屋の活動フィードバック

行き帰りに外で待っている人がいた方が良い。参加者を迎える、あるいはお見送りをする人がいるだけで、参加者の安心感、満足度は変わってくる。実際、僕が行ったとき、外で待っている親子がいた。「友達を待っている」とのことだったけど、初めて来た人で入り方が分からない人だった場合、ここで不安感が芽生えてしまう。

昨日スタッフのひとりが最後にお見送りにいっていたけど、あれをちゃんと毎回やるべき。最後に「またね」と手を振るだけで誠実さが伝わる。

ネームプレート(名札)をつくった方が良いと思った。スタッフを含め、呼んでほしい名前が瞬時に分かる方がいい。毎回つくるのが大変だったら、一度つくって使いまわしにするのもいい。その管理はサークルがやる。

団体の参加者が来たときの案内がちょっと遅かった。どうすればいいのか分からないままみんな佇んでいた。あのときは自分たちのやっていることを止めて、即座に座って待っていてもらった方がよかった。

④参加者の入りの時間がまばらだったから仕方ない側面もあるけれど、ぬるっと始まってぬるっと終わっていたから、もう少しめりはりがあってもよかった。児童館のように「場所を開放するから自由にしてね」のスタイルなら緩くていいけれど、今回のようにある程度進行が決まっているワークショップ型の活動の場合は上手くめりはりをつけた方が良い。

⑤色水実験について。題材はすごく良いし、学びにも展開できるし、昨日の実際の運営も悪くはなかった。大学1年生のスタッフが主体となって回してい回だったから行き届かない部分はあったと思うけど、そんなに気にする必要がない程度。

ただ、もう少し準備に時間をかけた方が良いなと思ったのと、成果物はつくった方が良いなと思った。色水をつくって、その後つくった色水で布を染めるところまで想定していたはずだけれど時間の関係上できなかったと思うからそこは残念。どうして色水実験をするのかの答えが「つくった色水で布を染める」だから、昨日は答え合わせができなかった状態。また、「つくる」は主体性を生む行為だし、成果物があることはイベントに参加した証にもなる。

「体験させる」という状態をつくらないように心がけるべき。あくまで主体は参加者、子どもであって、大人たちの都合で用意した場を体験させるのは違う。参加者の主体性を奪っている。実際、昨日の幼稚園児は色水実験よりもあの場所にあったバランスボールやルームバイクに関心を見せていた。ただ、色が変わる瞬間には興味を示していたから、主体性が発揮されている瞬間はそこからといえる。

理想をいえば、参加者が興味を持ったものをスタッフが全力でサポートする形を追求していきたい。課題の発見から解決まで参加者が主体になるから。ただ、それが実現するためには、参加者が場になじんで愛着をもって安心感を覚える必要があるし、時間がかかる。

以上のことをふまえて今後僕らができることといえば、「参加者がより興味を持つような企画を用意する」か「用意した企画の導入で、できる限り自分事のように捉えてもらうように働きかける」か。

⑤実験のなかで、参加者から理科的な話が出てきたのはめちゃくちゃよかった。アントシアニンがどうとか、色素の原理の話をしていて、それをまわりの参加者が聴いているときがあったと思うけど、ああいう瞬間をたくさんつくれるといい。「先生の話を聴く」や「教科書を読む」よりも、「誰かに教える」はよりよい学びの方法だし、スタッフが働きかけずとも参加者のなかで学びの場がつくられていたから、主体性が発揮されているといえる。

フィードバックはもらうべき。紙でもGoogleフォームでもいいから、アンケートをつくって、毎回参加者の声を拾うべき。それをやらずして、反省会をしてもあまり意味がない。なぜならば、スタッフが自分たちの感覚で振り返っても、参加者の感想とずれていることがあるから。参加者の表情や言動から察することも大事だし、引き続きやっていくべきだけれど、ちゃんと言葉でもらうべき。

何かあまりよくない声をもらったら、それを改善点と捉えて、次はどうすればいかみんなで議論する……という流れが良いと思う。極論、「進行が上手くいかなかった」とスタッフが感じていても、参加者がそれを感じていなかったら優先的な改善点ではない。

⑦余裕が出てきたら考えてみてほしいけれど、テーブルのレイアウトにこだわってもいいかも。分離もできるし、くっつけて広く使うこともできるテーブルだから企画ごとに変えていった方がいい。昨日の活動なら、僕は3つくらいに分けるかも。で、それぞれのテーブルに担当スタッフをつける。

⑧反省会に関して。昨日は、活動終わりにすぐやっていたけれど、あれが結構大事で、できれば持続していってほしい。みんなでご飯食べながらでもいいし、飲みながらでもいいから、活動終わりにすぐ反省会をするべき。いちばん記憶が新しい状態だし、心の感度が高い時期だから。

以下、反省会で出てきた意見に対するコメント。

・いろんな年齢層呼び込む。
→とても良い。活動として成立させるのは難しいけれど、そんな場づくりを目指していった方が良い。価値観の多様化、地域の活性化などにつながる。

・説明するだけの知識を持っておくべき
→まさにまさに。実際に披露することはなくても、参加者から質問されたときの対応の仕方がまるで変わる。

・子ども哲学は「重い」
→同感。もっと身近なテーマで対話の活動をするべき。信頼してくれたり、慣れてきてくれたりしたら、少し重いテーマでもありかな。

・キャラクターの設定を決めるのは知的活動じゃない。
→そんなことはない。やり方次第で立派な知的活動になる。どうしてその設定にするのか、対話を重ねていったら、参加者の思考を掻き立てる企画にはなりそう。


📚本で、知的活動を。

想像以上に長いフィードバックになりました。それくらいに伸びしろがあるってことだし、まだまだ可能性の探り甲斐があるってこと。俄然、僕はちゃんと関わりたくなったし、偉そうにべらべらフィードバックしたから次は僕がやってみることにしました。

今度の寺子屋の活動は6月28日(金)の夕方。そこで、僕がひとつの企画を運営してみます。企画の内容は「本のタイトルから想像して、物語を創造しよう」というものです。

これをやる目的は大きく2つあります。ひとつは、本のタイトル、あるいは表紙のイラストからどんな物語が展開されるのかをみんなであれこれ議論ことで、思考が活性化し、クリエイティブな考え方になってもらうこと。

どうしてその展開にするのか、なぜ主人公はそういう行動を取るのか、参加者の声をいちいち拾って、全員に疑問をつきつけることで、対話の時間になるし、国語力向上にもつながると考えます。

もうひとつの目的は、読書推進です。単純に本を読もうと呼びかけても本が好きじゃない人にとってハードルが高いし、絵本の読み聞かせをしたとて物語を聴いているだけじゃ主体性は生まれません。

しかし、みんなで物語を考えることによって、本を読むことが「答え合わせ」になるんですよね。僕たちはこういう物語だと想像したけれど、この本のなかにはどんな物語が待っているんだろうと興味を掻き立てることができる。「正解」を知りたくて、本を手に取り、読んでしまうというわけです。読書タイムを設けるよりも、絵本の読み聞かせをするよりも、参加者の主体性が生まれる読書体験になるのです。

問題は、どんな本を用意するか。想像力が膨らむようなタイトルがいいし、いい感じに情報量のある表紙がいい。それを思ったとき、現時点での僕の答えは『ふたりのももたろう』という絵本でした。



あの桃太郎が2人いるんです。誰もが知っている桃太郎が題材だから共感性が高いし、表紙に書かれている鬼の服装をした少年がいることから「もうひとりの桃太郎って、鬼?......だったら、どんな物語が......」と、参加者の想像力が膨らんでいきそうです。

面白い未来が待っていそうなので、この方向で挑戦してみます。卒業研究で『桃太郎』を研究した甲斐がありました。より良い学びの場になるように準備を進めていきます。最後まで読んでくださりありがとうございました。

20240615  横山黎





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