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なんで今更?
全くもって分からない。
実家ではいつも、CSスカパーの音楽番組が流れていた。
勉強中や、母が家事をしている時は音楽を流して過ごすことが我が家のルールみたいになっていた。
懐かしの歌謡曲、アイドルソング、K-POP。
私の音楽の好みを育ててくれたのは、間違いなく、CSスカパーのおかげだ。
私は音楽ランキングの枠が特に好きで、新しい流行を教えてくれる。
社会人になってもそれは変わらず、音楽のザッピングを楽しんでいた。
「最近、やたらこれ流れるけど…全然良さが分かんない」
それはsnowmanの『ブラザービート』だった。
派手な原色の多いMV演出とか、顔も名前も知らない9人がみんな別のことやっててなんだこれ?と思っていた。
耳に残る歌詞がある歌に惹かれる私は、歌詞の意味も分からず、何言ってんだ?と首をかしげていた。
生まれてこの方、アイドルにハマったことはない。そもそもアーティストにハマることが稀である。この人の作品が好きとなるのは、本と映画だけで音楽にはあまり該当せず、この曲が好きで聴くことが多い。
だからこそ、「アイドル事務所のアイドル」というものに全くもって興味が持てなかった。
毎回ランキングに乗ってくるけど、全然いいと思わない。
アイドルなんて。そう思っていた。
今までの比にもならない。
時が立って2022年、冬。
私は実家を出て違う土地に住んでいた。
転職活動中で時間のある私は、冬ドラマの予告を見ていて気になっている作品があった。
『silent』だ。
川口春奈と目黒蓮が主演の恋愛ドラマで、久しぶりに再開した最愛の元恋人は聾者になっていたと言う物語。
目黒蓮という人自体、知らずにいた。
へぇ、顔かっこいい。でもあの事務所のアイドルかぁ…演技上手いイメージないんだよなぁ。
なんて、少し興味が薄れつつも第一話をリアタイした。
見事に大号泣だった。
なぜだか分からない。
目黒蓮が泣くと私もポロポロと涙が出てくる。
悲しいとかそんなものではなくてもっと本能的な部分で響くものがあった。
すごい人だと思った。
世の中も同じような人がたくさんいて、社会現象になった。
そうしてsnowmanというグループを知った。
目黒蓮含め、演技が素敵な人がいてバラエティで活躍する人がいてそれぞれが自分の良さを気取らずに発信している姿が素敵だ。
それと同時に過去の大変さやそれを乗り越えてのメンバーの仲の良さ。追加で入った3人すら、ずっと昔から知っているような距離感。
関係性から滲み出る人の良さが魅力的だ。
きっと長く練習生をしていた分、苦労が長かった分、人の努力や頑張りへの愛情が人一倍ある人たちなのだと感じた。
25歳にして初めてアイドルにハマった。
なんで今更?私が?この歳で?
自分でも意味が分からないくらい彼らが好きだ。
気持ちが落ちている時は彼らの曲を聴いて元気もらった。仲の良さが微笑ましく羨ましい。
脚を掴まれてズブズブと。
snowmanを知ってから私の好み探しは、山手線式だった。
『silent』で目黒蓮を知って好きになった後、渡辺翔太の塩顔がいいなと思ったら岩本照の男らしさも捨てがたいなんて思って、向井康二の表現が好きだとか。浮気者にもほどがある。
最初見た時、一番苦手だったのは深澤辰哉だった。
え?何この人?かっこいい?なんて思っていた。
絶対ハマらない。そう思った。
目黒蓮→渡辺翔太→岩本照→向井康二→深澤辰哉
次々にいいなも思う人が変わっていく。
その山手線式推し探しに終止符を打ったのは、絶対にないと思っていた深澤辰哉だった。
「リアコ」なんて呼ばれるような振る舞い、優しく甘い声、色白で横顔が綺麗でどことないチャラさがモテそうだなこの人と思わせる。
ただ私が深澤辰哉を推すことになった最大の理由は、「ファンとのほどよい距離感」だ。
アイドルを応援している私の周りは、認知が重要と思う人が多い。
「手を振りかえしてくれた」「指差してくれた」という感じで、ライブに行って直接認識してもらうことが推すという行為においてのステータスらしい。
私は正直、この文化が苦手だ。
認知してほしいと思ったことはない。
深澤辰哉が目の前でメンバーと仲良くしていたら満足だ。歌って踊って楽しくしているところをみるだけでいい。
やたらとブログを更新するわけでもなく、それでいて優しく人当たりがいい。
媚びるとかない。誰にでも平等。
深澤辰哉がファンサをしないわけではない。
それでも誰かにだけとかはなくみんなに手を振る。
その、ほどよく突き放してくれる距離感に好感が持てる。
かっこいい友達のような。
アイドルを好きになることは決して擬似の恋心を持つことではない。
私の中でのsnowman、そして深澤辰哉を推すということは、かっこいい友達を応援するような感覚だ。
9人が何年も一生懸命、努力をした周りを愛して大きくなっていく姿を少し遠くにいる友達のように応援したい。
頑張ってるんだ、すごいねって一緒に酒を飲んで語らうような。そんな距離感で推していきたい。
初めて「沼」というものを教えてくれた9人。
これからもっと輝いてほしい。
脚がズブズブと沈んでいく私は、抜け出せない沼から応援している。