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「痛み」と「共感」のわたしの20年

「痛み」を軸に20年を言語化してみる

初めまして。
東京大学3年生(20歳)の
金澤伶(かなざわれい)です。

自分が「何者か」を認識するために
初めて文章として自ら言語化することにしましたので
どうぞ温かく見守ってください。


わたしが「生かされている」と感じていた理由


生まれて3〜4ヶ月で心臓の手術を受け、
そしてなんとか生き延びました。

わたしのことを心配してくれる両親も健在で、
整った医療施設もあったから、
「環境に恵まれているからこそいまがある生命」
「生かされた生命」だと思って
周囲に感謝しながら生きてきました。

幼稚園のころからずっと本を一人で読んだり遊んだりする自立心の強い子どもでした。

わたしが「この世界は仮想」だと思い込んだ理由


小中学生の頃は、よく虐められる子どもだったと思います。
権力を持っている先生たち、
徒党を組む同級生たち、
上下関係と伝統に固執する先輩たち。

大学1年生くらいまで長引く人間不信に陥り、
世界と自分自身を切り離して「仮想」だと思い込んだり、
反発精神を強めたり。
社会にしがみつくために、負けず嫌いを発揮して
無遅刻無欠席オール5の表彰常連組の
最高の優等生に「なる」ことでなんとか自己防衛をしていました。

自分の「痛み」に鈍感になっていく一方で
自分と同じような想いをする人が生まれないように、と
他者の「痛み」に敏感になっていきました。

わたしが「社会に貢献せねば」と自分を脅迫する理由


学校でも地域でも、自分のリソースを周囲のために
どうやって使うか?をずっと考えて行動していました。
それは、
人のことを怖い、社会を嫌いと感じることと表裏一体で、
人に好かれたい、社会に貢献して認められたいと願っているからこその
行動かもしれません。

難民の背景をもつ友人たちとボートに乗ったり花見をしたり最高の時間を過ごしました。

「罪悪感」と「共感」を軸に学生時代を言語化してみる


高校1年生で、アフリカのコンゴ民主共和国の紛争鉱物を知りました。
紛争鉱物をめぐり、発生・継続する紛争のせいで
コンゴ民主共和国では
1年間に40万人の女性たちが「戦略的な性暴力」の犠牲になり、
500万人以上が死亡し、
105万3000人以上が難民・庇護希望者となり、
約690万人の国内避難民がいます。

あなたが何気なく買い替えるスマートフォンにもその
紛争鉱物が含まれているかもしれませんね。

わたしの安定した生活は
誰の犠牲のもとに成り立っているのか?
仮想だと思いたくなりますが、それが現実でした。

少ない情報ゆえに無知で無関心で、
搾取の構造を助長している自分自身がひたすらに恥ずかしく
罪悪感に苦しんで、、行動はすぐでした。

高校時代、昆虫食の研究がメインでしたが、
都市鉱山などを活用した紛争鉱物フリーのスマホのソーシャルビジネスアイデアを
広める活動もしていました。

わたしが「難民」と向き合う活動を始め、続けられた理由

高校時代の活動が認められて東京大学に入学したわたしですが、
「痛み」や「罪悪感」を払拭するために
ひたすら目の前の人のために行動することを優先事項としました。

今日の気づきのストーリー
その主人公は、難民に触れる橋を架ける「金澤 伶」

1億840万人、これは世界で紛争や迫害を逃れ、家を追われた人の数。
これを聞いて、あなたはどこか遠い国の話だと思いますか。
現在、大学3年の金澤さんは、全国の難民に関わる学生が集まる団体などで、その問題と向き合ってきました。

きっかけは高校生のときに見たドキュメンタリー。
何よりもショックだったのは、
紛争の原因となっていた資源を
自分も知らぬうちに使って生活していたことでした。

2023年12月8日O.A. テレビ朝日「気づきの扉」にて
大学2年生の時に主催した「みんなの未来そうぞうコンペ」。
全国から難民をはじめとする多様な人々と「ともに生きる」ためのアクションを募り
瀬戸内市で表彰イベントを開催しました。

特別賞を授与した神田外語学院のアクションアイデアなどは港区の小学校で実現しています。

難民の問題は、決して他人事ではありません
自分のように難民のために行動したいと願う若者の背中を押したい、
と思って始めたコンペティションや発信活動が実を結び、
心から嬉しく思いました。

国連UNHCR協会・キヤノンと連携して
大学1年生の時に制作させていただいた
UNHCR難民アスリート写真展-乗り越える。難民アスリート 希望の体現者たち-

全国で展示が展開され、
自治体や企業・学校における難民支援の輪を広げる
架け橋になっています。
2月29日まで「JICA地球ひろば」でも見られます。

大学2年生の時、イブラヒム・アル・フセインさんに直接、
お会いすることができました。
難民の一人ひとりの活躍を伝えることは重要。
創ってくれて嬉しいです
」と話していただいて、
自分にも人を喜ばせる仕事ができるのだと思えました。
誰かのために仕事を続けたいと確信しました。

難民という集団ではなく、一人ひとりに名前がある。
活動を通して実感したのは、そんな当たり前のことでした。
「彼らのことを知ってください!」と叫んでも、
「何だか難しいし、説教くさいなぁ…」
確かに、自分だって知らなかった。
あの作品をたまたま見ていなかったら。

2023年12月8日O.A. テレビ朝日「気づきの扉」にて

わたしが「難民」とともに生きながら希望を見出した理由

大学2年生の時に、上記を含め様々なプロジェクトを行なった
ユースなんみんプラットフォーム」の仲間と難民の背景を持つ若者とともに
立ち上げた、現在共同代表を務める「EmPATHy」メンバーのみんなの写真。

大学3年生の時に、渋谷区の後援を得て、渋谷駅・ハチ公前・ヒカリエなど4箇所で主催した
なんみんフェス2023 in 渋谷」では、
「EmPATHy」メンバーなど難民の背景を持つ若者たちがたくさん参加してくれて、
得意な言語や絵を生かしてボディペイントをしてくれました。

「EmPATHy」メンバーの一人が制作した「広島の原爆と復興」を描いた
ドキュメンタリーを上映して、彼らが平和を語る「クロージングイベント」も大盛況。

「なんみんフェス2023 in 渋谷」は、NHK・朝日・TBSなど多くのメディアにも注目され、
当事者の声の認知が広まりました。

共催してくださったUNHCRによる難民キャンプのテントの展示や
国連UNHCR協会による難民支援キャンペーン等も実施されました。

「ユースなんみんプラットフォーム」の加盟団体や難民支援に積極的に関わる
ユース団体のブースを宮下パークで展開し、
当事者による多様なトークや、展示・ワークショップ・企画をすることができました。

多様性に溢れた街で、多様な人々が、
それぞれの理想とする未来を描く。

そんな1日を創り上げることができました。

“知る”ために“触れる”

金澤さんが始めたのは、世界の多様な文化を題材に、
難民を身近に感じてもらう活動。

若者が集まる渋谷でのイベントや
ラジオなど、
みんなが触れる架け橋に。

2023年12月8日O.A. テレビ朝日「気づきの扉」にて

わたしが「難民」を伝える方法を模索する理由

大学2年生時から準備していた「学校ラジオ」を
2023年12月から毎週金曜日にかつしかFMで実施しています。

SDGsや難民・外国人に関わるトピックを
若者視点・当事者視点で語ることを大切にして発信しており、
今後、この動きを地方にも広げていこうと思っています。
地域に根ざした企業や学校など、
草の根で社会を支える様々なアクターと出会える素敵な時間です。

素敵なご縁によって大学3年生時に実現させたユニクロとの「初コラボ」。
ユースと難民のメンバーみんなで
チャリティTシャツ「PEACE FOR ALL」を着て撮影し
平和への想いを発信

難民に関する問題は、当事者はもちろん、
ユース世代を含め、国連・政府・企業・自治体・NGO・財団・アカデミア…
社会全体でのアプローチ」が欠かせません。
「あなた」も一緒にこの輪に加わりたいと思ってほしい、
そう思いながら活動しています。

ユニクロとのコラボ第二弾。
「ユース難民アートコンテスト」ワークショップにて、子どもたちに分かりやすく、
故郷を追われた人々が直面する現実などについて説明しました。

ウクライナの子どもたちも参加し、自分の想いを絵で表現していました。

難民について語るとき、
そこには常に、一人ひとり顔のある「人」が存在します。
政治の問題として語るよりもまず「生命」の問題として考えます。

私は、共感のグラデーションを創り出すことで、
その当たり前の考え方が広く受け入れられる
きっかけになるのではと思い、
多様なアプローチを生み出してきました。

彼らの思いに寄り添うことは、友達を大切にすることと同じ。

世の中がそんな気持ちで満ち溢れたら、

1億840万人の人生は、
世界は、変わる。

2023年12月8日O.A. テレビ朝日「気づきの扉」にて

わたしが「難民」や多様な背景を持つ人々と社会を創りたいと思っている理由

大学3年生時に訪れたタイのオンヌットスラムは、生活に欠かせないゴミ処理場の機能を持っていました。そこには、多くの貧困層のミャンマー人・タイ人が暮らしていましたが、
難民であるミャンマー人はスラムの搾取構造の最下層にいるという現実に直面しました。

タイでは、搾取の対象になってしまう
難民やそのコミュニティの外国人の存在が、
実はそのコミュニティを支えている、
といった実態を
間近に、かつ客観的に見ることができました。

また、わたしは、仮放免高校生奨学金プロジェクト
チューターとしても活動しています。

日本で育ちながらも在留資格がないという
大きなハンデを背負った若い世代とも直接接することが多いです。

日本の法律によって
才能に溢れる努力家の子どもたちが
夢や希望を断たれ、
さらにその日の食べるものにも不十分さを感じながら、
懸命に勉学や部活、資格試験に臨む様子
を見るたび、
いつも歯痒さを痛感しています。

わたしが「難民」や多様な背景を持つ人々と
社会を創りたいと思うようになった理由。

振り返ってみてやはり決定的だったのは、
EmPATHyのメンバーと出会い、触れあい、
信頼しあって関係性を築けたことです。

難民の背景を持つメンバーは、
故郷での困難を乗り越えて日本にたどり着いています。

そして、日本社会で言語の壁や
外国人差別などの逆境の中でも

自身の才能を開花させ、
学業を修めたり、
唯一無二の仕事をそれぞれが誇りを持って行なっています。

そして、故郷やコミュニティの人々のために貢献する活動を
辛い時も苦しい時も、忙しい合間を縫って続けている姿を見て

わたしが、彼ら彼女らと肩を並べて
この社会で生きることができている事実に感謝すら覚えました。

トルコ・シリア地震の際に、チャリティイベントを主催した難民のメンバーを応援しました。
わたしも非常に辛い期間でしたが、故郷を離れていた彼らにとって
遠くから支援せざるを得ないことはより辛く苦しいことだったと思います。

『「難民」ともに』を社会に対して言語化してみる

わたしが世界で初めて「ユースグローバルなんみんフォーラム」を主催した理由

大学3年生時、世界最大の難民の国際会議を前に
ユースグローバルなんみんフォーラム」を主催しました。
難民当事者・ユース団体・企業・自治体・財団・国際機関・NGO・アカデミア・メディアなど
合計120名ほどの関係者と、企画を9つ実行しました。

活動を続ける中で、
ミャンマー・ロヒンギャ・シリア・ウクライナ・無国籍などの
多様な背景を持つ人々のために活動するユース世代と多く出会いました。

入管面会活動やフードデリバリー、
学習支援などの草の根的で重要な活動をしている
たくさんのユース世代の声を社会へ届けたい。
そして、そのユース世代をエンパワメントして
共感と活動の輪を広げたい。

そう強く思うようになりました。

「ユースグローバルなんみんフォーラム」では、

ユース世代が登壇するプレナリーセッション、
当事者を中心としたパネルディスカッション、
演劇を通じた他者理解ワークショップ、
ウガンダの難民と語る難民の課題と解決アプローチを語るセッション、
外国ルーツの高校生の企業インターンを通じた活躍を知る報告会、
国際キャリアを志向する活動ユースのエンパワメントセッション、
活動ユースのつながるワークショップ、
難民当事者の国際会議の報告会などを開催しました。

さらに、難民の当事者が
意思決定の場に参画する機会の少なさにも
問題意識を抱くようになりました。

難民に関することは難民の当事者が決めるべきです。

また、教育現場で、就労や雇用の現場で、地域の現場で
暮らしやすい環境を創るには

暮らしにくさを感じている人々の声と経験を聴き、
彼らとともに社会を創る意識を持つ
ことが
その近道です。

「EmPATHy」がグローバル難民フォーラムに参加した理由

世界最大の難民の国際会議「グローバル難民フォーラム」に
「EmPATHy」から難民の背景を持つ3名が参加。

2023年12月27日の堀潤モーニングFLAGにて取り上げていただきました。

難民に関することを難民が意思決定する
難民の意義ある参加」の実現のために

世界最大の難民の国際会議「グローバル難民フォーラム」に
わたしが共同代表を務める「EmPATHy」から
難民の背景を持つ3名が参加することができました。
日本の難民リード団体としては唯一でした。

2023年12月27日の堀潤モーニングFLAGにて

グローバル難民フォーラムに参加した難民のメンバーは、

「各国の難民当事者がホストコミュニティに馴染んで
リーダーシップを発揮して活躍している
様子を実際に見ることができた。」

難民当事者の活躍の環境の整備という点では、
日本はまだまだ伸びしろがあると感じました。」

と話してくれました。

わたしが「難民」の声と経験を社会に届けたい理由


今後「EmPATHy」は、
日本企業や、草の根的に活動する様々なアクターに対して
難民当事者によるコンサルテーション」を実施していきます。

2027年までに様々なステークホルダーを対象に
40回以上のコンサルテーションの実施を目指します。

社会が一体となって難民にまつわる偏見を克服し、
多様な背景を持つ人々が自由に意見を表明できる
安全な「場」創りを目指しているのです。

難民の多様性と、
豊かなステークホルダーの経験を生かし、
より良い共生社会への歩みとなる効果的な解決策を
ともに創りませんか?

「EmPATHy」が今後実施する難民当事者によるコンサルテーションについて

ついでに、わたしが一年代表を務めた
ユースなんみんプラットフォーム」でも
上記と同じようにわたしが主導して
今後の「難民の意義ある参加」を促進する
取り組みの宣言を出しましたので、紹介しますね。

「ユースなんみんプラットフォーム」が今後促進する難民の意義ある参加

2024年1月7日(日)に東京大学にて、
EmPATHyメンバーによる
グローバル難民フォーラムの参加報告会を行います。

また、わたしが難民に関心を持つきっかけとなった
コンゴ民主共和国のデニ・ムクウェゲという
8万人以上の性暴力被害女性の治療を続けてこられた医師の活動を
描いたドキュメンタリーを上映し、

コンゴの紛争や紛争下の性暴力、大量の難民発生に対する
わたしたちの責任について考えます。

難民映画祭パートナーズ上映&トーク @東京大学

日  時:2024年1月7日(日)12:50~17:00(12:30開場)
場  所:東京大学駒場キャンパス18号館ホール
申     込:https://forms.gle/C7CqieGrfv3RhBQc9

これからもわたしの考え方や活動は変化し
様々な出会いや瞬間を通じて成長していくと思います。

2023年の最後のこの瞬間のことを
2024年の最初の日に向けて言語化してみました。

さて、まずは皆さん、
今年もよろしくお願いいたします。

どうぞ、これからも見守ってくださいね。
そして共感してくださった方がもしいたら、

ぜひ一緒に

この世界で生きづらさを感じる人を1人でも減らすために
世界の健康寿命を少しでも長くするために

何かできるか考えましょう!

2023年12月27日の堀潤モーニングFLAGにて
大学3年生時、世界最大の難民の国際会議を前に
ユースグローバルなんみんフォーラム」を主催しました。


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