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【ショートショート】40歳女性・新たな一歩



タイトル: 新たな一歩

葛城千鶴は、東京のオフィス街にある大手メーカーの経理部で働いていた。彼女は40歳を迎え、独身であることに対して特に不満はなかったが、仕事に対する情熱が次第に薄れていることに気づいていた。毎日同じような業務をこなし、同じような顔ぶれと過ごす日々に、彼女は次第に疲れを感じていた。

ある日、千鶴は友人の春奈とカフェで会うことにした。春奈は最近転職に成功し、新しい職場で充実した日々を送っているという。千鶴は春奈の話を聞きながら、自分も新しい環境で再スタートを切りたいと強く思うようになった。

「私も転職を考えているんだけど、なかなかうまくいかなくて」と千鶴はため息をついた。

「大丈夫、千鶴ならきっと見つかるよ。自分に合った仕事を探すのは大変だけど、諦めないで」と春奈は励ました。

その言葉に勇気をもらった千鶴は、転職活動を本格的に始めることにした。履歴書を更新し、求人サイトをチェックし、面接の準備を進めた。しかし、年齢や経験の壁に阻まれ、なかなか思うような結果が得られなかった。何度も不採用の通知を受け取り、そのたびに心が折れそうになった。

そんなある日、千鶴はふと立ち寄った書店で「自分を見つめ直す」というタイトルの本に目が留まった。彼女はその本を手に取り、家に帰ってから一気に読み進めた。その本には、自分の強みや価値観を見つけるための方法が詳しく書かれていた。

千鶴はその本を参考にしながら、自分自身を見つめ直す時間を持つことにした。自分が本当にやりたいことは何か、自分の強みは何かを考え、ノートに書き出していった。次第に、彼女の中で新たな目標が明確になっていった。

ある日、千鶴は地元のコミュニティセンターで開催されるワークショップに参加することにした。そこで出会った講師の女性は、千鶴と同じように転職に悩んでいた過去を持ち、今は自分の夢を追いかけているという。彼女の話に感銘を受けた千鶴は、自分も新たな一歩を踏み出す決意を固めた。

その後、千鶴は自分の強みを活かせる職場を見つけるために、再び転職活動を始めた。今度は焦らず、自分に合った仕事をじっくりと探すことにした。そしてついに、彼女の努力が実を結び、新しい職場での採用が決まった。

新しい職場での初日、千鶴は少し緊張しながらも、心の中には希望と期待が溢れていた。彼女はこれからも自分の道を信じて歩んでいくことを誓い、新たな一歩を踏み出した。



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