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李自成―流れ星、天を衝く―

陝西省米脂県の貧しい農家に生まれた李自成は、幼い頃から飢えと貧困に苦しんでいた。明王朝末期、重税と飢饉に苦しむ農民たちは、各地で反乱を起こしていた。李自成もまた、その一人であった。

「このままでは、俺たちは生きていけない!」

李自成は、村の若者たちを集め、反乱軍を結成した。彼の勇猛果敢な戦いぶりと、農民たちへの分け隔てない態度から、次第に多くの人々が彼の元に集まるようになった。

「李自成将軍!我々を率いて、悪徳官吏どもを打ち倒してください!」

李自成は、その期待に応え、各地で明軍を打ち破った。彼の軍は、「闖軍(ちんぐん)」と呼ばれ、その勢いはとどまることを知らなかった。

「北京を陥落させ、新たな世を築く!」

李自成は、ついに北京への進撃を開始した。1644年、彼の軍は北京を包囲し、ついに紫禁城を陥落させた。明の崇禎帝は、自ら命を絶ち、明王朝は滅亡した。

李自成は、新たな王朝「大順」を樹立し、皇帝に即位した。しかし、彼の天下は長くは続かなかった。かつての明の武将、呉三桂が、清軍を引き連れて李自成に襲いかかったのだ。

「裏切り者め!俺は、お前を許さない!」

李自成は、清軍との戦いに敗れ、北京を追われた。彼は、各地を転戦し、抵抗を続けたが、ついに1645年、湖北省九宮山で命を落とした。

李自成の生涯は、まさに流れ星のようであった。貧しい農民から皇帝へと上り詰め、そして、またたく間に消え去った。彼の短い天下は、農民たちの希望の光であったが、同時に、その儚さを象徴していた。

しかし、李自成の魂は、その後も中国の歴史に大きな影響を与え続けた。彼の反乱は、明王朝を滅亡させ、清王朝の成立を促した。

また、彼の戦いは、後の農民反乱の模範となり、中国の民衆の中に、常に反骨の精神を燃え上がらせた。

「たとえ、この身が滅びようとも、俺の魂は、永遠に民と共にあり続ける!」

李自成の叫びは、今もなお、中国の大地に響き渡っている。

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