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”課題の特性は何か?”リハビリ鉄板メニューから考える治療のヒント PT・OTのための動作分析

こんにちは。ReHub林です。

臨床場面において治療として、様々な課題が患者に提示されていますね。

その課題が本当に患者の問題を解決するものなのか?

その疑問を解決するためには、常々自身が提示する課題の特性を振り返る必要があります。
でなければ、実は障害の本質にアプローチできておらず、それっぽいことを繰り返しているという事になり得ます。

ということで、今回はリハビリでよく見かける鉄板的な治療課題の特性を考えてみます。

これぞ鉄板!お尻上げ

お尻上げは、言わずもがな
ほとんどのリハ室において見かける、殿筋・ハムストの筋力アップのトレーニングですね。

このトレーニングの特性は文字通り”ブリッジ”です。

ブリッジは、複数の支持面の間にあたる部位が筋活動を起こす活動です。
お尻上げでは、背面上部・足底が支持面となって、その間にある腰背部・臀部・下肢後面などの筋活動が生じます。

ここで、1つテンプレを挙げてみます。

歩行のターミナルスタンスで蹴り出しが不十分
 ↓
殿筋の筋力低下が機能障害
 ↓
お尻上げ

しかし、歩行時の蹴り出しはブリッジ活動とは異なり、支持面は足底(足尖)です。
筋活動を起こす機序が全く違いますね。
しかも、歩行の場合は1つのループサイクルの中で制御されている反応ですが、お尻上げはそのようなサイクルとは異なる反復運動ですね。

このように支持面と筋活動の関係性を見直すのも面白いですね。

みんな大好き!リーチ

座位でも立位でも、リーチ課題によってバランス能力を向上させることも、もはやお決まりですね。
一番見かけるのは輪投げの輪っかを使うアレでしょうか。

リーチ課題では、座位や立位を制御することと、上肢のプレーシングをすること、その先でターゲットに向かっていく運動が必要です。

リーチ課題のもう一つの大切な特性は、”外部環境に対する姿勢制御”ということです。
身体内部に発生する情報と外部環境から受ける情報それぞれに対する身体反応の違いについては以前の記事をご覧ください。
👉「排泄動作 vs バランス練習」

単純にバランス能力を向上するというザックリした目的ではなく、達成したい目的動作は、外部環境か身体内部からの情報か、どちらの情報が主体となる動作なのかを明確にしましょう。
それを考えるためには、患者の動作障害の本質的な問題が、どちらに偏った問題かを評価することから始めると良いでしょう。

もう一つ、リハ室でよく見かけるリーチ課題には不思議なポイントがあります。それは、動きが少ないことです。
リスク管理がしやすいですが、同一支持基底面内での圧中心の変化が主な荷重の情報です。

しかし、実際の生活場面では、目的動作と道具の配置がまとまっていることは少なく、その都度ステップや歩行によって位置を調整しています。
時には、棚など狭い空間の中に手と頭を突っ込みながらリーチすることもあるでしょう。そうなると、壁面に囲まれた狭い空間に対して自己身体を合わせつつリーチします。

あなたが患者に求めるバランス能力の要素は、どんな要素でしょうか?
提示したリーチ課題はどんな特性があるのか、どんな特性が無いのか、それを明確にして患者の能力と照らし合わせると、治療課題の選択もより的確になります。

難易度上げちゃえ!バランスパッド

バランス練習といえばバランスパッド、バランスディスクもポピュラーですね。
エビデンス的にもある程度効果を認められており、バランス能力向上のために有用であると言われています。
では、バランスパッドが加わると、何が変わるのでしょうか?

それは、支持面で受ける圧変化のフィードバックの減少です。
フィードバックの減少によって支持面より上に積みあがっている身体各部位は通常よりも大きく動揺するため、姿勢保持の反応が強くなるということです。

しかし、バランス練習においては逆の視点も重要となります。
逆とは、”フィードバックの強調”です。

患者の動作障害・バランス障害の本質的な問題は、どこのどんな反応なのか?その反応を引き出すために必要な情報は何か?ということも重要なのです。

これは、バランスバッドを否定する話ではありません。
私も使用することがあります。

バランス能力とは総合的な姿勢保持の結果ですよね。
バランス能力を高めるために不安定な状態でバランス練習をするというのは、勉強で1科目だけ苦手な科目があっても、全科目勉強して総合点を伸ばすということに近いです。
しかし、得意科目は元々減点されていないので、すぐに頭打ちになります。

患者のバランス能力を評価する時も、能力低下に最も影響を与えており改善可能な問題点は何か?を評価することが重要です。

まとめ

昨今、様々なリハビリ手技、課題に関する情報が溢れています。
「●●な患者には△△をするとよい」
とそこかしこに模範解答っぽいものが書かれています。

一見、目的と手段が繋がっており、辻褄があっているものばかりです。

それが誤った情報ということではありません。
それらの情報が、患者の問題を解決する答えにならないこともあるということです。

正解に辿り着くためには、提示した課題の特性は何なのかを振り返り、それに対する患者の反応を評価し、次に提示する課題のブラッシュアップを繰り返すことが重要なのです。

いかがでしたでしょうか?

この記事が、リハビリテーションの闇を払う一助になりましたら幸いです。面白い、タメになったと感じていただけたら、ぜひナイス・フォローをよろしくお願いいたします。

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