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糖尿病への理学療法基礎|2023.6.15配信予定

本ブログはYouTubeの台本を、そのまま掲載しています。分かりやすいオリジナルイラスト付きで確認したい方は、YouTubeKindleで確認してください。

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はじめに


「糖尿病を既往に持っている人がいるけど、何を気をつければ良いか分からない」
「糖尿病にたいしてどんな臨床計画を立てれば良いか分からない」

運動器や脳疾患の知識は深まってきたけど、

内部障害の知識はほとんどない、、、

そのままにしておくと、訓練効果が半減してしまったり、

時には急変し命に関わる事になりかねません。

この動画では、そうならないためにも必要な最低限の知識を詰め込んでいます。

実際にこの動画の知識で、急変前に対応できたケースもあるので、

しっかり最後までご視聴していってください。

しっかり学びたい方に向けて作っているので、

頭を使いたくない人はここで動画を見るのを辞める事をお勧めします。

りはメモを応援してくださる方は、いいねやチャンネル登録もお忘れなく〜。

ではでは、本編に進みましょう〜。

本編

■糖尿病とは?

糖尿病を知る上で、かかせない血糖についての説明から始めましょう〜。

炭水化物などの糖質が摂取されると、

アミラーゼと呼ばれる消化酵素の働きで、

ブドウ糖に分解されます。

ブドウ糖はグルコースとも呼ばれますね。

医学の世界では、グルコースと表現される事が多いので、

この動画ではグルコースと表現していきます。

さてこのグルコースですが、

小腸から吸収され、門脈を通って肝臓に運ばれ、

そこから全身の組織に送られて、

グルコースが必要とされている細胞に届けられ、エネルギーとして使われます。

血糖とは、この運ばれている最中のグルコースのことで、

運んでいるものは血液になるので、

血液中のグルコースが血糖ということです。

そしてこの血液中のグルコースの量、すなわち、

グルコースの濃度を表しているのが、血糖値ということになります。

ちなみに成人では、空腹時の血液中の血糖の濃さが、

70〜110mg/dlという値になるとされています。

ではでは、血糖と血糖値について説明したところで、

この血糖はどうやって調整されているのかについても説明していきましょう〜。

ポイントは、次の2つ。

●空腹時
●食後

●空腹時
まずは空腹時について。

前提として、人の体では、空腹時でも血糖値が一定になるように調整されています。

摂取して余ったグルコースは肝臓に行って、

グリコーゲンに変化して肝臓に貯蓄され、

血糖が下がりそうになると、

このグリコーゲンを再びグルコースに戻して、

血液中に放出し、血糖値が一定になるように調整する。

こんな感じで、空腹時や運動などによって血糖値が低下した時も、一定になるように調整されています。

次は、食後。

血糖値が上昇する流れは先ほど説明した通りですね。

食べると、グルコースに分解され、小腸から吸収され、紆余曲折あって全身の細胞に届けられる。

こんな感じになるのですが、

この流れだと、食べ物をたくさ食べすぎると、血糖値がかなり上がってしまいそうですよね。

この時に調整役として一役買っているのが、インスリンです。

血糖値が上昇すると、膵臓のランゲルハンス島β細胞と呼ばれる組織が反応して、

インスリンを分泌し、

インスリンは、血液中のグルコースが、細胞に取り込まれるのを促進します。

血液中からグルコースを減らしてくれる訳ですね。

さらに、インスリンは、放出されると肝臓にまで足を運び、

肝臓から糖が放出されるのを防ぎ、血糖値を降下させます。

肝臓からさらにグルコースが放出されるのも防ぐ訳です。

インスリンは、血糖値を降下させる唯一のホルモンになるので、

このインスリンの作用によって、余計に血糖値が上がらないように調整しているってことになります。

ちなみに、日本人は白人と比較して、

インスリンを分泌する能力が低いらしく、

それに加齢による影響も加わって、年を重ねると糖尿病になりやすくなるらしいです。

さてさて、もう少し深掘りして、

糖尿病の2つの型も、説明しちゃいましょう。

1型と2型の2種類があり、それぞれの特徴はこんな感じになります。

糖尿病の分類:1型
発症機構:
自己免疫によるランゲルハンス島β細胞の破壊や、HLA などの遺伝因子に何らかの誘因や環境因子が加わって起こる。(甲状腺疾患などの自己免疫疾患の合併も少なくない)

家族歴:
家系内の糖尿病は2型の場合より少ない

発症年齢:
小児〜思春期に多いが、中高年でも認められる

肥満度:
肥満とは関係がない

自己抗体:
GAD 抗体、IAA、ICA、IA-2抗体などの陽性率が高い

糖尿病の分類:2型
発症機構:
インスリン分泌不全(インスリンそのものの分泌が低下している状態)と、インスリン抵抗性(にインスリンの効果によって細胞にグルコースが取り込めない状態)をきたす複数の遺伝因子に、高脂肪食の過食や運動不足などの環境因子が加わってインスリン作用不足を生じて発症する。

家族歴:
家系内血縁者にしばしば糖尿病がある

発症年齢:
40歳以上に多いが、若年発症も増加傾向

肥満度:
肥満または肥満の既往が多い

自己抗体:
陰性

■低血糖と合併症

この章では、糖尿病で気をつけなければいけない、低血糖症状と合併症について説明していきましょう〜。

詳しい説明に入る前に、なぜ血糖値が高いといけないのか簡単に説明させてください。

大きく理由は2つ。

1つ目は、高血糖が持続すると、ランゲルハンス島β細胞のインスリン分泌機能が低下し、またインスリン抵抗性も増加させるから。

高血糖状態がさらに高血糖状態を招き、またインスリン抵抗性が増すことで、

エネルギーを細胞に送るのも円滑に行かなくなってしまうってことですね。

2つ目は、網膜や腎臓の血管を主とした、全身の動脈硬化を起こしうるから。

高血糖状態が続くと、動脈硬化を進める恐れがあるって事です。

動脈硬化があると、循環が悪くなったり、血栓が飛ぶ恐れがあったりと、

体にとって良くないことが盛りだくさんです。

そんなところで、高血糖状態を改善させるために、

食事指導や運動、薬物療法を行うのですが、

血糖の管理が意外に難しく、逆に血糖値が低くなり過ぎてしまうことがあります。

これが低血糖状態ですね。血糖値が70以下くらいになると、症状が出始めてきます。

主な症状はこんな感じ。

60mg/dl
副交感神経期
空腹感、あくび、悪心

50mg/dl
大脳機能減退期
無気力、倦怠感、計算力減退

40mg/dl
交感神経期
発汗、冷汗、動悸、頻脈、ふるえ、顔面蒼白、紅潮

30mg/dl
低血糖昏睡前期
意識消失、異常行動

20mg/dl
低血糖昏睡期
けいれん、昏睡

対応としてはこんな感じ。

軽症(経口摂取可能)
ペットシュガー1包(9g の砂糖)角砂糖2個、ジュースなど(コーラやオレンジジュースなど) を与える
α-グルコシダーゼ阻害薬服用中の症例はショ糖(砂糖)では吸収が遅れるので、ブドウ糖10〜15g を与える

重症(経口摂取不可能)
医師に連絡(以下は理学療法士は行わない)
・患者を側臥位にし、50%ブドウ糖 20ml 静注
・家族が行うなら、グルカゴンを筋注

遷延性低血糖
50%ブドウ糖液の静注(20~40ml)→ 5%ブドウ糖の点滴静注→
回復がなければヒドロコーチゾン 100mg/dlを静注

それぞれ確認しておきましょう。

そして続いて合併症についての説明に移りましょう〜。

糖尿病の合併症は大きく急性合併症と、慢性合併症に分けられます。

まずは、急性合併症について説明していきます。

次の4つを押さえておければOKです。

糖尿病性ケトアシドーシス
高浸透圧高血糖症候群
低血糖昏睡
急性感染症

糖尿病性ケトアシドーシスは、インスリンの打ち忘れや中断などによるインスリンが極度に欠乏した時に起こる状態で、

アシドーシス、脱水症状、昏睡などが症状として見られます。

高浸透圧高血糖症候群は、手術や感染症、利尿薬投与、ステロイドホルモン投与などにより、著しい高血糖と高度な脱水からなる循環不全を起こす状態で、

血圧低下や痙攣などが症状として見られます。

低血糖昏睡は先ほど説明した、低血糖昏睡期の状態ですね。インスリンの調整不全や運動などにより血糖値が著しく低下する事で生じ、

けいれんや昏睡などが症状として見られます。

急性感染症は、糖尿病は感染症にかかりやすくなるのも特徴になります。

かかりやすい感染症は、上気道炎、肺炎、尿路感染症、白癬、カンジダ症、足病変、歯肉炎、胆嚢炎などが挙げられます。

次は、慢性合併症について。

こちらは次の5つを押さえておきましょう〜。

細小血管障害
大血管障害
糖尿病足病変
歯周病
認知症

細小血管障害として、有名なものは、

糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害の3つで、糖尿病3大合併症とも呼ばれているものですね。

大血管障害は、糖尿病が危険因子となって、高血圧や肥満、喫煙など他の要因も絡んで、

冠動脈硬化、虚血性心疾患、脳血管障害、下肢閉塞性動脈硬化症などに関連します。

糖尿病足病変は、糖尿病患者に生じる足のトラブルの総称になります。

細菌感染による病変、たこやうおのめ、足の潰瘍や変形、壊疽などが該当します。

歯周病は、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で、歯の周りの歯ぐきや、歯を支える骨などが溶けてしまう病気になりますね。

糖尿病の進行に伴い、歯周病も進行することが近年の研究で明らかになっています。

認知症について、糖尿病により脳細胞がエネルギーを取り込みにくくなったり、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβが蓄積しやすくなることで、

認知所が発症しやすくなると考えられています。

近時記憶障害よりも注意・集中力や遂行機能の障害が目立ち、進行はやや緩やかなのが糖尿病に伴う認知症の特徴ですね。

それぞれ確認しておきましょう。

■アプローチ案


ではではアプローチ案について説明していきましょう。

糖尿病への介入の大きな目的な、日本糖尿病学会がだしているガイドラインのものを参考にしましょう。

こんな感じです。

①血糖、体重、血圧、血清脂質の良好なコントロール状態の維持。
②糖尿病細小動脈血管合併症(網膜症、腎症、神経障害)および動脈硬化性疾患(虚血性心疾患、脳血管障害、閉塞性動脈硬化症)の発症・進展の阻止
③健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)の維持、健康な人と変わらない寿命の確保

具体的には、日本糖尿病学会の血糖コントロール目標を目安に進めて行けるといいですね。

血糖値正常化を目指す際の目標値:HbA1c 6.0%未満
→適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、または薬物療法中でも低血糖などの副作用なく達成可能な場合の目標値
合併症予防のための目標値:HbA1c 7.0%未満
→対応する血糖値としては、空腹時血糖値130mg/d未満、食後2時間血糖値180mg/dl未満をおおよその目安
にする
治療強化が困難な際の目標値:HbA1c 8.0%未満
→低血糖などの副作用、その他の理由で治療の強化が難しい場合の目標

糖尿病治療の大きな流れとしては、

生活習慣を見直しつつ、食事療法と運動療法から開始し、

血糖コントロール目標を目安に2〜3カ月続けても、血糖のコントロールが目標に達しない場合は、

食事療法と運動療法に加えて薬物療法を検討していきます。

経口血糖降下薬から開始されることが多く、症例によってはインスリン治療も開始されていくので覚えておきましょう。

今回は運動療法についてもう少し深ぼって説明していきます。

食事療法や薬物療法については、リクエストがあれば説明していこうと思います。

コメントや、各種SNSで連絡ください。

ではでは、ポイントを5つにまとめたので、

それぞれ説明していきましょう〜。

①適応と禁忌
②運動種類と強度
③実施時間
⑤運動頻度
⑥運動効果

①適応と禁忌

適応は、

「増殖網膜症や尿中ケトン体陽性などの明らかな合併症がなく、空腹時血糖が 250mg/dl以上の高血糖を認めない糖尿病患者」で、

禁忌は、日本糖尿病学会がだしている、「運動療法を禁止あるいは制限したほうがよい場合」を参考にしましょう。

「運動療法を禁止あるいは制限したほうがよい場合」
糖尿病の代謝コントロールが極端に悪い場合(空腹時血糖値 250mg/d以上、または尿ケトン体中程度以上陽性)
増殖綱談症による新鮮な農底出血がある場合(眼科医と相談する)
腎不全の状態にある場合(血清クレアチニン、弾性 2.5mg/d/ 以上、女性2.0mg/d/ 以上)
虚血性心疾患や心肺機能に障害がある場合(各専門医の意見を求める)
骨・関節疾患がある場合(専門医の意見を求める)
急性感染症
糖尿病性壊疽
高度の糖尿病自律神経障害

②運動種類と強度

運動強度が中程度以下で、大きな筋群を使って行う有酸素運動が基本とされています。

最高酸素摂取量の40~60%の負荷を目指せればOKですね。

具体例としては、ウォーキング、速歩、サイクリング、ラジオ体操、水泳,水中ウォーキングなどがあげられます。

また、近年レジスタンストレーニングも注目されていているので是非取り入れていきましょう。

10〜15回繰り返すと疲れて挙げられない重さから始め、

重さを徐々き増やし8〜10回挙げられるような重さで3〜4セット実施していきましょう。

③実施時間

少なくとも1回あたり 10分以上の長さで、1週間に最低150分を目指しましょう。

1日の運動量としては、1日1万歩の歩行運動も目覚ませるといいですね。

④運動頻度
有酸素運動は少なくても週3回、2日以上あけないで行うことが基本になります。

これは、運動によるインスリン感受性の改善は2日以上運動しないと消失してしまうと考えられているからですね。

近年では「1週間に5回は運動しましょう」と推奨する報告も増えているようです。

⑤運動効果
下記の効果が期待できます。それぞれ確認しておきましょう〜。

運動の急性効果として、ブドウ糖,脂肪酸の利用が促進されて血糖値が低下する。
運動の慢性効果としてインスリン抵抗性が改善する。
エネルギー摂取量の消費量のバランスが改善され、減量効果がある。
加齢や運動不足による筋萎縮や骨粗症の予防に有効。
高血圧や脂質異常症の改善に有効。
心肺機能の改善に有効。
運動能力が向上する。
爽快感、活動気分など日常生活のQ0Lを高める効果も期待できる。

おわりに

訳あって公開してませんが、継続のコツはすぐに身につけられます。

冷静に考えてみると小学生でも継続は可能なので、大人ができないワケないですよね。

継続にはしっかりコツがあり、数あるコツの1つは、

グダグダ考えてないでまず行動する事。

計画を立てて慎重に進むのも大切かも知れませんが、

それで人生を変えられなかった人は、たまには違う行動をしてみましょう。

また一歩踏み出して行動した人用に、その秘訣を公式ライン限定で配布する予定です。

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