パンデミック下で運動負荷試験はしていいの?
みなさん、こんにちは。Nobuです。
緊急事態宣言下の現在、往々にして自粛自粛と言われ、自粛疲れが起こっていることでしょう。しかし、COVID-19の猛威は未だ衰える兆しがありません。
コロナウイルスの発生は、世界的な公衆衛生上の緊急事態をもたらしました。
米国で最初に報告された症例から1年以内に、2500万人以上のアメリカ人がウイルスに感染し、40万人以上の死亡が報告されています。この感染症は、多臓器障害を引き起こし、幅広い臨床症状を引き起こすことが示されています。
重要なことに、COVID-19に特有の心臓血管合併症が一貫して報告されています。また、COVID-19の回復後に、患者さんの多くは、心機能障害、心筋炎、内皮機能不全および動脈硬化の増加が報告されています。
このように、COVID-19関連疾患は急性期を過ぎて、息切れや極度の疲労などの永続的な症状を報告しています。これらの臨床症状は「LONG-COVID-19」症候群と呼ばれ、病態生理が未定義であるため、健康への懸念が高まっています。
心肺運動負荷試験(CPET)は、心疾患を評価するためのゴールドスタンダードのアプローチであり、回復後のCOVID-19患者さんの評価にも今後実施していく必要があると考えます。
主な目的は、①疑わしい心疾患を評価、疾患の重症度を測定、②予後リスクの評価、③安全性で効果のある運動プログラム立案、④運動時の体力や疲労度を生理学的に評価、ことです。
しかし、心肺運動負荷試験では運動時の二酸化炭素(呼気ガス分析装置)などを測るため、パンデミック下ではなかなか実施が出来ない現状にあります。
前置きが長くなりましたが、今回は、2021年5月6日 アメリカ発の文献を紹介致します。パンデミック下での心肺運動負荷試験について、です。その実施手順の安全性や適応例の選定方法などが記載され、いかに感染対策を行いながら実施するのか、というところが報告されています。
以下、COVID-19パンデミック時の運動負荷試験手順と注意事項の概要。
実施者の選定→事前スクリーニング→テスト→感染予防の四つの観点に配慮し、運動負荷試験が実施されます。
以下、実施する患者さんの選定方法。
COVID-19陰性、COVID-19に関連する症状なし、発熱なしなどを経て運動負荷試験が実施されます。
※COVID-19陽性や疑われる所見があると試験は非実施
以下、疾病予防管理センターによって概説されたCPETの準備、テスト、および除染手順中の推奨されるPPE(個人防護具)の要件
以下、テスト後の除菌(機器の使用と除染の推奨事項)
最後に、テスト環境で空気を換気できるように、テストの間に十分な時間を設けることが重要です。欧州呼吸器学会(ERS)は、テストの間隔を少なくとも30〜60分にできるように、テストスケジュールを再調整することを推奨しています。
『With コロナの時代』と言われるように、今後もこのCOVID-19との並存を強いられるかもしれません。長期的にも身体に影響を及ぼすこの疾患に対する情報を、積極的により多く、知識として取り入れていきます。
参考文献:Virginia L. Mihalick et al: Cardiopulmonary exercise testing during the COVID-19 pandemic, Progress in Cardiovascular Diseases. 2021
↑和訳が見たい方は、Google Chromeで見てみて下さい。
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ライター:Nobu
理学療法士:7年目。回復期病院から急性期病院での臨床を経験。
取得資格:循環認定理学療法士、呼吸療法認定士
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