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命の危険がない限りイタズラさせるべき理由

子どものイタズラ。

親にとっては悩みの種だったりしますよね。

何でも触りたい、持ちたい、舐めたい、口に入れたい…

「汚いからやめてー!」というお母さん・お父さんの悲鳴が容易に想像できてしまいます。

このイタズラというもの、子どもの成長・発達のためには非常に重要なものなのです。

今回はイタズラによって得られる子どもの成長・発達について、手の機能の視点から考えてみたいと思います。

この記事を読むと、
●イタズラが手の機能に与える影響がわかる
●子どものイタズラは積極的にさせるべきことがわかる
●親のストレスがちょっと軽減できる(かも)


イタズラは好奇心のあらわれ

子どものイタズラを見ていると、「なんでそんなことするの?」「ちょっとそれは触らんといて欲しいわー」と思うことが多いのではないでしょうか。

大人から見ると意味不明な振る舞いですが、子どもはいたって真剣にそれに取り組みます。

その行動の原動力になっているのが、『動機付け』です。

冒頭にも書いたように、「やってみたい」「触ってみたい」「持ってみたい」といったような、子どもの意志というものがあり、これが何かをするための『動機付け』になります。

『動機付け』には『内発的動機付け』と『外発的動機付け』がありますが、子どもの場合は『内発的動機付け』がメインです。

『内発的動機付け』は自分の内側、つまり自分自身の欲求に基づく『動機付け』です。

「触ってみたい」とか「知りたい」とか、そういった欲求に基づく『動機付け』ですね。

一方の『外発的動機付け』は、「褒められたい」とか「喜んでもらえる」といった、他者の反応に基づく『動機付け』のことです。

他者との信頼関係が結ばれた後はこのような『外発的動機付け』に基づく行動が増えるとも考えられますが、1歳前後のイタズラ全盛期には『内発的同期付け』がメインとなるはずです。

人間は極端な話、この『同期付け』がなければ何もしません。

何もしないということは、成長や発達のための経験の機会もなくなってしまうということです。

子ども、特に赤ちゃんにとっては、『内発的同期付け』ができるということは、非常に重要なことなのです。


イタズラによる手の発達

人はほとんど何もできない状態で産まれ、長い年月をかけてさまざまな動作を獲得していきます。

四足動物は産まれてすぐに立ち上がり、歩けるようになりますが、人は歩けるようになるまで1年程度の期間を要します。

手に関してもそうです。生後すぐは手足をバタバタ動かすだけですが、少しずつ何かに触れることを覚え、何かを掴むこと、掴んだ物を操作することなどを覚えていきます。

人は経験によって、様々な運動や動作を獲得していきます。

そのために必要なのがイタズラなのです。

目に見えたものに対して「触ってみたい」「なんだろう?知りたい」という『内発的同期付け』が生じ、とりあえず手を伸ばしてみる。触れてみる。掴んでみる。引っ張ってみる。振ってみる。

これがイタズラですよね。

最初はその触れ方・掴み方も、非常に拙劣です。

物に対して真っ直ぐ手を伸ばしていくことも難しいし、掴むときの力加減も強すぎることがほとんどです。

物の大きさに指の開きを合わせることも難しいですし、持ち上げる力が物の重さに対して強すぎて放り投げてしまうこともあります。

そして、こんなことを繰り返していくうちに、段々と手の使い方が上達していきます。

最初は目の前の物に対して大振りに手を伸ばしていたのが、直線的に手を伸ばすことができるようになります。

最初は物の大きさに関係なく目一杯に指を開いていたのが、物の大きさに合わせて予測的に指を開くことができるようになります。

最初は全力で掴んで潰してしまっていた柔らかい物も、力を加減して潰さずに持てるようになります。

このような手の操作は、イタズラを通して獲得されるものです。

逆に、イタズラをさせてもらえないと、いつまで経ってもこのような手の動きは獲得できないかもしれません。

手の運動を発達させるために、イタズラはとても重要なものなのです。

そういった環境を整えることが難しい場合、こんなイタズラに特化したおもちゃも売られていたりします。

見るからに好奇心を刺激しそうですね。

ぜひ、子どもの好奇心、『内発的同期付け』を止めることなく、色々な運動を好きなようにさせてあげてください。


まとめ

子どものイタズラについて書いてきました。

イタズラはほとんどの場合が『内発的同期付け』、つまり好奇心に基づいて行われる行動です。

そして、イタズラによって手や手先の動きが獲得されていくのです。

イタズラを止めるということは、子どもの好奇心を制限するということになり、手や手先の運動発達の機会を奪うことになってしまいます。

そう考えると、イタズラはできるだけさせてあげるべきです。

もちろん、触ったら危険なもの、口に入れたら命の危険があるものは止めなければなりませんが、そもそもそういった物は手の届かないところに置いておくべきです。

そういった危険なものでない限り、多少の汚さには目を瞑り、イタズラはどんどんさせてあげたいですね。

それが子どもの成長・発達に繋がるのですから。


もっと学びたい方へ

『子どもの感覚運動機能の発達と支援 発達の科学と理論を支援に活かす』
子どもの発達について学ぶのには最良の書籍だと思います。
今回書いてきた『同期付け』や『手の発達』についても書かれています。


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まじい@マジメな理学療法士・公認心理師
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