QLSS (Quadrilateral space syndrome:四辺形間隙症候群)への評価と介入
皆さんおはようございます。桑原です。
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本日はQLSS(Quadrilateral space syndrome:四辺形間隙症候群)の評価と介入についてまとめていきたいと思います。
1)QLS(Quadrilateral space:四辺形間隙)とは
QLSとは小円筋・大円筋・上腕三頭筋長頭・上腕骨内側縁で構成される格子状のスペースでここを腋窩神経と上腕回旋動静脈が走行します。
イラストで確認しましょう↓
指を使った簡単な覚え方です↓
このスペースで起こる腋窩神経の絞扼性神経障害をQLSS(Quadrilateral space syndrome:四辺形間隙症候群)と呼びます。
臨床で小円筋や三角筋の筋力低下が顕著なQLSSは少ないかもしれませんが、QLSに圧痛を認めて腋窩神経領域(肩関節外側)に症状を呈する患者さんは多く経験します。
今回このQLSで起こる腋窩神経障害について評価と介入をまとめていけたらと思います。
2)QLSSの特徴的な評価項目
QLSSの特徴的な評価項目です。※個人的な見解です。
特にMMTでは
下垂位外旋で棘下筋が働くため左右左はあまり見られませんが2nd、3rd肢位での外旋動作では左右差が顕著に現れます。これは下垂位より挙上した方が上腕骨長軸に対して小円筋が垂直に近い走行になり筋発揮し易くなることによるものです。
3)SAB由来とQLS由来の鑑別
QLSSと似た症状があります。
腋窩神経の関節枝が肩峰下滑液包を他の神経と共同支配しているのでSAB(肩峰下滑液包)の炎症や機械的ストレスでも同じ部位(肩関節外側)に症状が出現します。
QLSの圧痛所見があり、腋窩神経支配の筋力低下が見られる場合、QLSへの介入を行います。もしこれらの所見は無く腋窩神経領域に症状がある場合、肩峰下滑液包由来を疑いneer testやHawkins testなどの評価を行います。
ある程度的が絞れたら僕の場合、注射が可能であればドクターに相談してinj後の症状の変化をみます。注射後の症状の変化(機能的診断)も大切な所見なのでドクターのカルテも意識して解釈すると良いかと思います。
4)腋窩神経の絞扼部への介入
では介入はどう組み立てるかですが、僕は基本的に抹消神経への介入は絞扼部のリリースと抹消神経長軸上の滑走操作を組み合わせて行なっています。
肩関節屈曲時の腋窩を観察すると小円筋と大円筋の間に上腕三頭筋長頭が関節下結節へと入っていきます。この上腕三頭筋長頭の真下に腋窩神経が走行しているイメージをもつことが大切かと思います。エコーがあれば確認しながら介入できれば尚良しです。なので上腕三頭筋長頭の側方から指を入れて持ち上げたり小円筋・大円筋をⅡb抑制を用いて緩めたり、スペースを広げる様な介入ができると良いかと思います。Ⅱb抑制でなくても反回抑制でも良いですし、このQLSというスペースが広がる介入が出来れば良いと思います。僕は腱部への圧迫や3つの筋を抵抗下で収縮させたりして介入することが多いです。
5)腋窩神経の長軸上の介入
絞扼部のリリースが終わったら長軸上の介入です。
腋窩神経はどの様にして伸長されるかをイメージする必要があります。
腋窩神経はQLSを通過した後、後方から上腕骨頭に巻きついていくので肩関節内旋で緊張します。
またQLSを通過するまでの部分は肩関節外転することで伸長されます。
そして肩甲骨前面から後方へ抜けていく走行なので伸展でも伸長されるかと思います。
なので腋窩神経を効率的に伸長する際は
肩関節「内旋+外転+伸展」
という操作になります。
解剖学的な走行上から解釈して如何にして伸長させるかがポイントかと思います。
以上になります。
抹消神経への介入は他の疾患でも応用出来るので重宝しています。
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